IPOとPOの違いをご存知ですか? それぞれのメリットとデメリット

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※百計オンラインの過去記事(2016/01/02公開)より転載

IPOとPOの概要について

IPOとはInitial Public Offering の略称であり、新規公開と同じ意味のものです。未公開株が新規上場されるとき、応募倍率や市場動向などを参考に幹事証券会社が決める売り出し価格は「公募価格」と呼ばれています。

一方のPOは、Public Offering の略称で、公募株と同じ意味になります。これには資金調達を伴う「公募増資」と、単純に既発行株式を売り出す「売り出し」とがあります。

つまりIPOはこれまで市場に出ていなかった株式をはじめて取引する場合の募集、または売り出しのことを指し、POはすでに市場で取引されている株式を当該企業の資金調達のために新たに発行する、または企業の保有する自社株や大株主が保有している既発行株式を市場に売り出すことを指します。

それぞれのメリットとデメリットの比較について

一般にIPOのメリットとしては、需給が挙げられます。IPOは今まで取引されていなかった株式を募集、売り出しをすることから、公募や売り出しの株数は限られてきます。そのため購入を希望する投資家が多くなることが考えられ、IPO株数に対して応募する株数が多くなりやすいです。抽選になればその倍率も高くなるため、上場初値はIPO価格より大きく上昇しやすくなります。また、その後の株価形成も順調な右肩上がりを見せることが多く、投資妙味も増します。

デメリットとしては、未公開株を購入することになるため、その企業の業績推移などは上場時提出されたものを参考にするしかないことです。詳細を把握することは難しく、上場後の業績の予測もしにくいことから、結果不相応に高いIPO価格となる場合もあります。また需給のみで買い上がるため、いったんIPOの熱狂が冷めてしまうと、株価推移に業績が追い付かず株価急落となる危険もはらんでいます。

POの場合は、既に上場している株のため業績推移などを把握しやすいというメリットはあります。しかし需給の観点で見ると、公募増資などの場合には発行株式が増えるため、希釈化が起きます。そのため株価については希釈分が下落することになるというデメリットが発生してしまいます。またPOでは一部の第三者に割り当てられる増資もあり、そうなると既存株主との間で不公平が生じるという懸念も考えられます。

それぞれの投資を行う場合での重要なポイント

上述のようにIPOとPOとはそれぞれにメリットとデメリットが生じ、投資を行う場合はその点に十分注意しましょう。IPOの場合、株式市場の地合いが悪化しつつある時の新規上場になると、IPO価格に比べて初値が大きく下がる場合もあり、特に気をつけるべきです。

また初値がIPO価格を大きく上回った場合、当然IPOで購入した投資家は利益確定売りを出します。短期で売却益を狙う場合、ここで売り損なうと株価はズルズルと下落することもあるため、売りのタイミングをうまく捉えなければなりません。従ってIPO価格で購入した場合は、できるだけ短期間のうちに利益確定する必要が出てきます。また新規公開株を上場後に買った場合は、高値掴みになる可能性もあります。いったん利益確定売りが終わってからの下値を買う方が良いのですが、そのタイミングをつかむのは実に難しいです。

POでは希釈化が起こるため、ヘッジファンドなどが当該株式を借りて空売りをすることが考えられます。PO価格で購入する場合、理論的希釈分を差し引いた株価近くで購入したとしても、さらに空売りが増えて下げが加速することもあります。ここでも下値を買うタイミングはやはり見極めが困難です。従って公募増資を発表後、ある程度時間をおいて購入時期を選択する、ということも重要になります。さらには公募増資の資金使途がM&Aによる業務拡大や設備投資のためなのか、それともM&Aなどで買収した会社ののれん代償却なのか、単に銀行借入を減らすためなのかを見極める必要もあります。その資金調達が積極的なものか、消極的なものかを十分に判断しておかないと、その後の資産形成に大きな影響が出ることにもつながりかねません。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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