100年企業レポート vol.04 新潟編

はじめに

日本は創業100年を超える長寿企業(本レポートでは『100年企業』と呼ぶ)が世界で最も多い国である。その理由や影響を与える要素が何であるかを探ることを、本研究のテーマにした。そして各都道府県の100年企業の特性や傾向を明らかにし、100年企業を創出しやすい環境や要因について分析を行うことが本研究の目的である。

1.新潟県の100年企業に関する分析

新潟県 景色
新潟県は全国トップクラスの米どころであるが、昔から農業が盛んだったわけではない。
かつては広大な低湿地であったところを灌漑(かんがい)用水工事や干拓を行い、さまざまな形で新田開発を進めていったのである。

その後次々と新しい田が開墾され、収穫高が増えたことにより、新潟県には人口が増えていった。
新潟県の100年企業数は、1,379社であり、全国5位である。

新潟県は古くから酒造りも盛んであり、88の酒蔵が存在している。1548年創業の吉乃川株式会社は、創業時の「若松屋」から「泉屋」、「中越醸造」など屋号を変え、470年以上の間伝統を守りながら酒造りを続けている。他にも地域の気候風土を生かした工芸品も多く、新潟県には伝統を守り続ける企業が多い。

本レポートでは、100年企業数に相関の高い指標別にレーダーチャートを用いて、新潟県の特性を分析した。

100年企業が多い一方、働き世代や働き先は平均的である

新潟県は1874年から1896年までは日本一人口が多かった。この頃は農業で生計を立てていたため、新潟県に人口が多く集まった。『100年企業輩出率』が高いのはそれが理由と考えられる。現在は働き世代(生産年齢人口数)と働き先(事業所数)は平均程度であり、雇用環境も良好であるが、人口減少対策が課題となっている。不動産業があまり多くないため、貸事務所業を活用した相続・事業承継対策も行っていくと良いのではないか。

【図表1】新潟県の指標別偏差値と順位

【図表1】新潟県の指標別偏差値と順位

指標 偏差値 平均との差 順位
100年企業輩出率 69.6 19.6 3
生産年齢人口数 48.1 -1.9 15
有効求人倍率 54.4 4.4 14
商業地平均価格 46.6 -3.4 25
事業所数 49.9 -0.1 14
相続税課税割合 46.8 -3.2 28
合計スコア 315.4 15.4 11

2.新潟県の100年企業データ

①創業年は『明治後期』が最多

創業年の時代別では、最多が『明治後期』が構成比41.5%であった。次いで『明治前期』、『大正以降』の23.1%の順である。
米どころの新潟県では、古くから酒造りが盛んであった。旅館や和菓子製造なども多い。明治に入り、産業発展やインフラ整備に伴い建築工事業などが増えたと思われる。

【図表2】創業時期別構成比

【図表2】創業時期別構成比

【図表3】創業時期別TOP業種
江戸時代 明治前期 明治後期 大正以降
1位 清酒製造業 清酒製造業 金物卸売業 土木工事業
2位 旅館・ホテル 生菓子製造業 木造建築工事業 木造建築工事業
3位 呉服・服地小売業 呉服・服地小売業
木造建築工事業
旅館・ホテル
清酒製造業 酒小売業

②創業年TOP5

新潟県の創業年TOP5は下記の5社である。
第1位の株式会社高半ホテルは、全国で12位となっている。

【図表4】 創業年TOP5
順位 企業名 業種 創業年
1 株式会社高半ホテル 旅館・ホテル 1075
2 株式会社大杉屋惣兵衛 その他のパン・菓子製造業 1592
3 株式会社種権種苗店 その他の各種商品卸売業 1603
4 株式会社本陣リゾート 旅館・ホテル 1610
5 有限会社油屋久助商店 雑穀・豆類卸売業 1616

③市町村別は『新潟市』が最多

市町村別100年企業数では新潟市が347社で最多であった。
1位の新潟市では、『土木工事業』が10社と最も多く、次いで『木造建築工事業』、『清酒製造業』が各5社であった。
2位の長岡市は、100年企業数192社であり、業種別に見ると『清酒製造業』が11社と最も多く、次いで『米穀類小売業』が9社、『土木工事業』が7社の順である。
3位の上越市は、100年企業数116社であり、業種別に見ると『清酒製造業』が9社と最も多く、次いで『木造建築工事業』が6社、『建築工事業』、『酒小売業』が各4社の順である。

【図表5】市町村別100年企業TOP10

【図表5】市町村別100年企業TOP10

④産業は『建設業』が全国2位

産業別では、『卸売・小売業、飲食店』が702社(構成比50.9%)と最も多かった。次いで、『製造業』315社(同22.8%)、『建設業』204社(同14.8%)の順である。
『建設業』の割合が全国2位であり、建設業が盛んであると言える。そして米どころである新潟県では、『農業』は全国3位である。

【図表6】産業別件数

【図表6】産業別件数

⑤業種は『清酒製造』が最多

業種別では、『清酒製造』が57社で最多であった。米どころである新潟県では、古くから酒造りが盛んであり、『酒小売』も34社で6位である。
2位が『木造建築工事業』、3位が『一般土木建築工事業』と建設業が多い背景には、新潟県の発展に伴い、生活基盤の道路、信濃川をはじめとする河川の整備、港や鉄道などの交通基盤の整備などが進んだためと考えられる。

【図表7】業種別TOP10

【図表7】業種別TOP10

⑥資本金は『金融業』が上位

資本金別では、『1千万円以上~5千万円未満』が構成比55.5%と最も多かった。次いで、『1千万円未満』が20.1%、『5千万円以上~1億円未満』が5.4%の順である。
資本金トップは国立大学法人新潟大学(業種:大学)が652億円。以下、株式会社第四銀行(業種:普通銀行)が327億円、株式会社北越銀行(業種:普通銀行)が245億円の順であった。上位10社のうち4社が銀行等の金融業であり、次いで建設業と製造業が各2社であった。

【図表8】資本金別構成比

【図表8】資本金別構成比

※2018年10月時点データを使用

⑦従業員数は『10人未満』が5割超え

従業員別では、『4人以下』が構成比36.3%と最も多かった。次いで、『10~49人』が35.0%、『5~9人』が18.9%の順である。10人未満で5割を超える。
新潟県の100年企業の多くは小規模企業であるが、国立大学法人新潟大学、株式会社第四銀行の2社が従業員2,000人を超える。

【図表9】従業員規模別構成比

【図表9】従業員規模別構成比

※2018年10月時点データを使用

⑧売上高は『1億円未満』が最多

売上高別では、『1億円未満』が構成比45.8%と最も多かった。次いで、『1億円以上~10億円未満』が38.8%、『10億円以上~100億円未満』が12.9%の順である。
売上高上位10社のうち、卸売・小売業が4社と最も多く、次いで建設業が3社であった。

【図表10】売上高規模別構成比

【図表10】売上高規模別構成比

※売上高は直前3期分の平均値データを仕様(2018年10月時点データ)

⑨本業以外に貸事務所業を行っている企業は20社

新潟県で本業もしくは副業にて不動産業を行っている企業は39社であり、構成比では全国41位となっている。
そのうち、本業以外に貸事務所業を行っている企業は20社存在しており、上場企業は0社であった。
貸事務所業との組み合わせは、業種で見ると様々であった。産業別で見ると、『卸売・小売業』が7社と最も多く、次いで『製造業』が5社であった。

【図表11】本業以外で『貸事務所業』を行っている主な企業

No 企業名 業種
1 株式会社東亞 他に分類されない専門サービス業、貸事務所業、木造建築工事業
2 永田精機株式会社 その他の生産用機械・同部分製造業、その他のはん用機械・装置製造業、貸事務所業
3 金清木材株式会社 木材・竹材卸売業、貸事務所業
4 株式会社スタッフサイトウ 一般貨物自動車運送業、自動車一般整備業、貸事務所業
5 頸城自動車株式会社 一般乗合旅客自動車運送業、一般貸切旅客自動車運送業、貸事務所業
6 株式会社関芳 絹・人絹織物業、貸事務所業、ガソリンスタンド

※上記は一部抜粋

データについて
・本レポートにおいて、創業100年以上経過した企業を『100年企業』と定義する。
・本レポートでは、信用調査機関の企業データから、創業年が1919年(大正8年)以前の企業を抽出した。
※創業年について
創業年が「○○年間」などのように元号もしくは時代のみ判明している場合は、その元号もしくは時代の最終年を創業年としている。ただし、江戸時代は前・中・後期に分けている。
※対象企業について
営利企業を中心としているが、非営利団体(学校、病院など)も含む。ただし、宗教法人は除いている。

日本酒

※本レポート記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本レポートは情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。

 
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著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する
調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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