100年企業レポート vol.15 山梨編

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目次

はじめに

日本は創業100年を超える長寿企業(本レポートでは『100年企業』と呼ぶ)が世界で最も多い国である。その理由や影響を与える要素が何であるかを探ることを、本研究のテーマにした。そして各都道府県の100年企業の特性や傾向を明らかにし、100年企業を創出しやすい環境や要因について分析を行うことが本研究の目的である。

1.山梨県の100年企業に関する分析

本州の内陸に位置し、盆地が多い山梨県。昼夜の寒暖の差が大きい、年間の日照時間が長い、年間の降水量が少ないという気候を生かして、古くからブドウや桃といった果樹が栽培されている。なかでも、「巨峰」や「甲州」など複数の品種ブランドがあるブドウは、山梨を代表する特産品として知られている。また、山梨県はワインの醸造も盛んであり、甲州ワインの生産量やワイナリー数は国産ワインのトップクラスともいわれている。

山梨県の100年企業数は、356社であり、全国40位である。

旧山梨県は甲斐国と呼ばれ、戦国時代の武田信玄をはじめ、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった名武将の要所として存続し発展した。明治時代になり、甲斐府から甲府県を経て、山梨県となった。またその頃には、新たに勧業政策として製糸業やぶどう酒醸造業が育成され、産業や文化がさらに発展したのである。

本レポートでは、100年企業数に相関の高い指標別にレーダーチャートを用いて、茨城県の特性を分析した。

多様な産業の発展により、
100年企業輩出率が平均を上回る

山梨県は、他の都道府県と比べ経済規模は決して大きくないものの、特徴的な産業が多く、『100年企業輩出率』が高い地域である。一方で人口減少が進んでおり、働き世代(生産年齢人口数)は少ない。そのため県は積極的に移住施策や雇用創生などの対策に取り組んでいる。また近年、製造業を中心に、国内の生産拠点集約や海外移管による工場撤退等が相次ぎ、働き先(事業所数)の減少も見られている。しかし、今後の中部横断自動車道やリニア中央新幹線の開通により、東京都心や他の地域と短時間で結ばれることで、産業や経済の発展が期待される。

2.山梨県の100年企業データ

①創業年は『明治後期』が最多

創業年の時代別では、最多が『明治後期』の構成比40.2%であった。次いで『大正以降』の29.9%、『明治前期』の18.8%、『江戸時代』の9.4%の順である。
自然に囲まれた山梨県には、武田信玄の隠し湯といわれている温泉や、山間の秘湯や歴史ある名湯がいくつもあるため、古くから営まれている『旅館・ホテル』が多い。その中でも最も古い西山温泉慶雲館は「世界で最も古い歴史を持つ宿」として、2011年にギネスブックに認定された。

②創業年TOP5

山梨県の創業年TOP5は下記の5社である。
第1位の株式会社西山温泉慶雲館は、全国で4位となっている。

③市町村別は『甲府市』が最多

市町村別100年企業数では甲府市が137社で最多であった。
1位の甲府市は、『貴金属・ジュエリー製品製造業』が6社で最も多く、次いで『旅館・ホテル』が5社である。
2位の南アルプス市は、100年企業数21社であり、業種別に見ると『建築工事業』、『鉄骨工事業』、『清酒製造業』の3業種がそれぞれ2社で最も多い。
同じく2位である富士吉田市では『燃料小売業』が2社で最も多く、それ以外の業種は各1社であり、さまざまな業種が存在している。

④産業は『卸売・小売業、飲食店』が最多

産業別では、『卸売・小売業、飲食店』が185社(構成比52.0%)と最も多かった。次いで、『製造業』72社(同20.2%)、『建設業』45社(同12.6%)の順である。
山梨県はぶどうや桃などの農産物だけでなく、ワイン、ジュエリーなども有名である。かつて水晶原石の産地であったことから、ジュエリー産業の集積地として発展した。その技術は通信用・光学用の高機能単結晶製造技術やシリコンウェハーの研磨技術などに生かされ、世界的にも認められている。

⑤ 業種は『酒類卸』、『貸事務所業』、『旅館・ホテル』が最多

業種別では、『酒類卸』、『貸事務所業』、『旅館・ホテル』の3業種がそれぞれ12社で最多であった。山梨県は日本のワイン生産発祥の地であり、多くのワイナリーが存在する。江戸時代後期から甲州ブドウの栽培が行われ、明治初期にワイン醸造が行われたとされている。ワインに限らず日本酒やウイスキーなども多く造られており、酒関連の産業が多い。
同じく1位である『旅館・ホテル』は創業以来、本業として事業を続けてきており、『貸事務所業』は、もともと本業ではなかったが、時代と市場環境の変化に対応して、業態変化をしてきたのである。こうして見ると対照的な形で事業継続をしていることがうかがえる。

⑥資本金は『1千万円以上~5千万円未満』が最多

資本金別では、『1千万円以上~5千万円未満』が構成比49.3%と最も多かった。次いで、『1千万円未満』が25.6%、『5千万円以上~1億円未満』が3.4%の順である。
資本金トップは国立大学法人山梨大学(業種:大学)が342億円。以下、山梨県信用農業協同組合連合会(業種:信用農業協同組合連合会)が156億円、株式会社山梨中央銀行(業種:普通銀行)が154億円の順であった。
上位10社のうち製造業と金融業がそれぞれ3社である。

⑦従業員数は『4人以下』が約5割

従業員別では、『4人以下』が構成比49.9%と最も多かった。次いで、『10~49人』が23.4%、『5~9人』が17.7%の順である。4人以下で約5割を占めている。
山梨県の100年企業の多くは小規模企業であるが、国立大学法人山梨大学、株式会社山梨中央銀行の2社は従業員1,000人を超える。

⑧売上高は『1億円未満』が最多

売上高別では、『1億円未満』が構成比50.7%と最も多かった。次いで、『1億円以上~10億円未満』が38.7%、『10億円以上~100億円未満』が9.1%の順である。
売上高上位10社のうち卸売・小売業が4社である。

⑨本業以外に貸事務所業を行っている企業は5社

山梨県で本業もしくは副業にて不動産業を行っている企業は16社であり、構成比では全国31位となっている。
そのうち、本業以外に貸事務所業を行っている企業は5社存在しており、上場企業は0社であった。
貸事務所業との組み合わせは卸売・小売業が4社、製造業が1社であり、本業以外に貸事務所業を行っている企業は少ない。

データについて
・本レポートにおいて、創業100年以上経過した企業を『100年企業』と定義する。
・本レポートでは、信用調査機関の企業データから、創業年が1919年(大正8年)以前の企業を抽出した。

※創業年について
創業年が「○○年間」等のように元号もしくは時代のみ判明している場合は、その元号もしくは時代の最終年を創業年としている。ただし、江戸時代は前・中・後期に分けている。

※対象企業について
営利企業を中心としているが、非営利団体(学校、病院など)も含む。ただし、宗教法人は除いている。

※クラスター分類について
・本レポートの全国編にて、47 都道府県を7 クラスターに分類している。各クラスターについての詳細は全国編参照。

※本レポート記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本レポートは情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。

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著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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