100年企業レポート vol.32 山口編

「100年企業レポート vol.32 山口編」のアイキャッチ画像

目次

はじめに

日本は創業100年を超える長寿企業(本レポートでは『100年企業』と呼ぶ)が世界で最も多い国である。その理由や影響を与える要素が何であるかを探ることを、本研究のテーマにした。そして各都道府県の100年企業の特性や傾向を明らかにし、100年企業を創出しやすい環境や要因について分析を行うことが本研究の目的である。

山口県の100年企業に関する分析

山口の街並み

山口県は、室町時代に大内文化が花開き、繁栄したことから「西の京」とも呼ばれるようになった。大内文化の中でも最高傑作といわれ、日本三名塔のひとつとして数えられる国宝・ 瑠璃光寺五重塔。室町時代の建築物の中でも装飾が少なくすっきりとした塔である一方、 屋根の勾配が緩やかであるが軒先は軽快に反り上がり、上にいくにつれて塔身の幅が細くなり実物よりも高く見せる工夫がされるなどの建築美が魅力である。

山口県の100年企業数は、405社であり、全国31位である。

また歴史に名を刻む偉人を多く輩出した地としても有名で、県北部に位置する萩市には幕末の思想家・吉田松陰が主宰した松下村塾があり、日本の初代内閣総理大臣を務めた伊藤博文など数々の若手志士たちが門を叩いた。現地には、いまもなお松下村塾が現存しており、当時のままの空気感を肌で感じることができる。

本レポートでは、100年企業数に相関の高い指標別にレーダーチャートを用いて、山口県の特性を分析した。

貿易拠点として発展する一方で
高齢化問題や後継者不足が課題

山口県は古くから本州と九州を結ぶ交通の要衝であり、また東アジアとの国際交流の窓口になるなど貿易の拠点としても発展してきた。しかし現在では、高齢化による人口減少が進み、生産年齢人口数は全国29位であるものの、生産年齢人口の割合は全国45位である。
また、高齢化の影響は企業にも出ており、2018年の後継者に関する調査においては、山口県の企業の後継者不在率は全国で2番目に高かった。人口減少対策として企業の創業支援に注力することはもちろん重要であるが、技術やノウハウを持つ企業の事業承継対策も地域経済発展のためには重要である。

2.山口県の100年企業データ

① 創業年は『明治後期』が最多

創業年の時代別では、最多が『明治後期』の構成比41.2%であった。次いで『大正以降』の28.3%、『明治前期』の22.2%、『江戸時代』の8.0%の順である。
江戸時代以前から、多くの公家や文化人が滞在する山口は「西の京」と呼ばれ、国内有数の都市として栄えていた。江戸時代になると、織物業における綿栽培など、さまざまな産業で技術開発が進んだ。そのため呉服などの日用品や酒や菓子などの食品関連業が、萩城下町や宿場町で商業として栄えた。

② 創業年TOP5

山口県の創業年TOP5は下記の5社である。
第1位の石川石材工業株式会社は、全国で102位となっている。

③ 市町村別は『下関市』が最多

市町村別100年企業数では下関市が82社で最多であった。
1位の下関市では、『生菓子製造業』、『船舶製造・修理業』の2業種がそれぞれ4社と最も多い。
2位の山口市は、100年企業数49社であり、業種別に見ると『旅館・ホテル』が5社と最も多く、次いで『土木工事業』や『呉服・服地小売業』を含む8業種がそれぞれ2社である。
3位の防府市は、100年企業数36社であり、業種別に見ると『園芸サービス業』や『水産練製品製造業』を含む5業種がそれぞれ2社で最も多い。

④ 産業は日本有数の工業県

産業別では、『卸売・小売業、飲食店』が197社(構成比48.6%)と最も多かった。次いで、『製造業』90社(同22.2%)、『建設業』48社(同11.9%)の順である。
山口県は、瀬戸内海沿岸地域での重化学工業の発展により、造船、化学、機械、金属などのさまざまな工場が集積しているため、全国有数の工業県として知られている。こうした工業化の背景には、明治時代に主要であった石炭産業が衰退した後、同じ地域の石灰岩をベースにセメント製造業を発展させたことが大きく影響し、現在の重化学工業の発展につながった。このように地域資源を活かしながら、産業構造の転換を図ることで県の主要産業を築いてきたのである。

⑤ 業種は『呉服・服地小売』が最多

業種別では、『呉服・服地小売』が14社で最多であった。山口県では江戸時代に綿栽培が進み、織物業が発展した。商品運搬に便利な航路により各地で取引され、山口の織物は全国的に広まった。伝統工芸品である「柳井縞(やないじま)」は品質に定評があったとされている。
2位は『酒類卸』が17社であり、3位に『清酒製造』が11社であった。山口県には岩国地区をはじめ、萩地区や周南地区、下関地区など県内各地に古くから続く比較的小規模な酒造が多数ある。かつては、日本酒消費量の減少や競争激化により衰退の危機にも直面したが、ブランド力の向上、製品の品質向上に地道に取り組み、近年では全国で唯一出荷量を伸ばしている県となった。

⑥ 資本金は『1千万円以上~5千万円未満』が最多

資本金別では、『1千万円以上~5千万円未満』が構成比52.7%と最も多かった。次いで、『1千万円未満』が23.0%、『5千万円以上~1億円未満』が4.5%の順である。
資本金トップは西中国信用金庫(業種:信用金庫)が22億円。以下、山口合同ガス株式会社(業種:ガス供給所)が4.8億円、彦島製錬株式会社(業種:亜鉛第1次製錬・精製業)が4.6億円の順であった。
上位10社のうち製造業が3社である。

⑦ 従業員数は『10人未満』が5割超え

従業員別では、『4人以下』が構成比32.1%と最も多かった。次いで、『10~49人』が30.7%、『5~9人』が23.5%の順である。10人未満で5割を超える。
山口県の100年企業の多くは小規模企業であるが、西中国信用金庫は従業員600人を超え、山口合同ガス株式会社は従業員400人を超える。

⑧ 売上高は『1億円未満』が最多

売上高別では、『1億円未満』が構成比43.3%と最も多かった。次いで、『1億円以上~10億円未満』が40.6%、『10億円以上~100億円未満』が13.9%の順である。 売上高上位10社のうち卸売・小売業が4社である。

⑨ 本業以外に貸事務所業を行っている企業は11社

山口県で本業もしくは副業にて不動産業を行っている企業は22社であり、構成比では全国20位となっている。
そのうち、本業以外に貸事務所業を行っている企業は11社存在しており、上場企業は0社であった。
貸事務所業との組み合わせは、卸売・小売業が5社と最も多い。

データについて
・本レポートにおいて、創業100年以上経過した企業を『100年企業』と定義する。
・本レポートでは、信用調査機関の企業データから、創業年が1919年(大正8年)以前の企業を抽出した。

※創業年について
創業年が「○○年間」等のように元号もしくは時代のみ判明している場合は、その元号もしくは時代の最終年を創業年としている。ただし、江戸時代は前・中・後期に分けている。

※対象企業について
営利企業を中心としているが、非営利団体(学校、病院など)も含む。ただし、宗教法人は除いている。

※クラスター分類について
・本レポートの全国編にて、47 都道府県を7 クラスターに分類している。各クラスターについての詳細は全国編参照。

※本レポート記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本レポートは情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。

PDFでもご覧いただけます。ダウンロードには会員登録が必要です。

ダウンロードはこちら

メンバー登録されていない方はこちら

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

経営戦略から不動産マーケット展望まで 各分野の第一人者を招いたセミナーを開催中!

ボルテックス グループサイト

ボルテックス
東京オフィス検索
駐マップ
Vターンシップ
VRサポート
ボルテックス投資顧問
ボルテックスデジタル

登録料・年会費無料!経営に役立つ情報を配信
100年企業戦略
メンバーズ