先祖を辿る「家系図づくり」は誰に頼むのがベストなのか?
経営者のための「家系図づくり」[第3回]

いま、経営者の間で「家系図づくり」が静かなブームになっています。

一見、経営者と家系図と聞くと、関係ないことのように思えるでしょう。しかし歴代の経営者の教えや功績を大切にする業歴の長い企業では、「経営者の先祖が何者であったのか」「経営者の先祖が何をしたのか」を後世に伝えるために、家系図が用いられているのです。

本連載では、家系図の基礎知識から作り方まで紹介していきます。今回は、家系図づくりを誰に依頼するべきか、考えていきましょう。

完璧な家系図調査はそもそも実現できない

いざ家系図を作成することを思い立ったら、できるだけ完璧に仕上げてみたいと考えるでしょう。しかし一分の隙もない家系図を作成することは、事実上困難です。以下にその理由を見ていきましょう。

・資料が残っていない

もし完璧な家系図を作成するのであれば、どこまで歴史を遡るべきなのでしょうか。たとえば「有史以後」というピリオドを設けたとしても、自身のルーツを正確に探ることは、事実上不可能です。なぜなら資料が残存していないからです。現在の限界点は最長でも大化の改新(645年)と考えられており、それ以前には辿ることはできません。無い袖は振れないというわけです。

・先祖の数が多すぎる

前回もご紹介しましたが、時代を遡れば遡るほど先祖の数も増大していきます。10代遡れば1,000人以上、30代遡れば10億人以上といった具合ですから、完璧な家系図調査をしようとすると、一体どれほどの膨大な家系図に仕上がるのか、想像も付きません。このように量的な意味でも、ひとりの子孫が一生をかけたところで、完璧な家系図を作成することは到底望めないのです。

・地道かつ難解な作業

家系図づくりを進めていくと、どうしても「古文書を紐解く」という作業に突き当たります。正確な情報は、当時の書類に記されているわけですから、当然と言えるでしょう。

しかし古文書に記されている文字や文章は、当時のマナーに則るかたちで記載されています。旧仮名遣いはもちろん、漢字やひらがなも旧字体なので、判読は困難を極めます。これまで古文書はおろか「学校の古文の授業も苦手だった」という人にとっては、非常に難解な作業となるに違いありません。

また作業を進めていくうちに「専門家のアドバイスを受けてみたが、どうしても正確なところがわからない」という表現にぶつかる可能性も大いにあります。この場合、ある程度の推量を基準に判断せざるを得ません。こうした点から見ても、完璧な家系図を作成することがいかに難しいことか、お分かりいただけるのではないでしょうか。

家系図作成を誰かに頼むことはできるのか?

ここまでの内容をお読みいただいて、「完璧な家系図の作成は無理なのか」と落胆された方がいらっしゃるかもしれません。しかし裏を返せば「作成の条件はどの人にとっても、ある程度まで同様」という事実が見えてきます。現在作成可能なのは明治時代~江戸時代までの家系図であることが一般的だと分かれば、作業にも目処が付いてくるのではないでしょうか。必要以上に深追いをせず、可能な範囲で作成を目指せば良いのです。

「そうは言っても、大変な作業を自分で行うのは難しい…」と感じる人もいるでしょう。また企業のモチベーションアップを目指して家系図作成を思い立ったご経営者の中には、「日々の業務が忙しくて、とても家系図作成まで手が回りそうにない」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

そんな時には「家系図作成をプロに依頼する」という方法があります。現在の日本で、謝礼を受け取るかたちで家系図作成に対応しているのは、「行政書士」になります。

なぜ家系図作成代行を請け負う行政書士が増えているのか

行政書士の主な仕事は以下のとおりです。

・官公署へ提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類の作成を受託する。

・それらの書類を、依頼者に代わり提出し、許認可を申請する。

・個人や企業などの経営や法務に関するコンサルティングを行う。

行政書士は国家資格であり、その合格率は平均で10%未満という難関の資格です。「街の法律家」とも呼ばれ、特に民法に関する深い知識を持つ士業になります。家系図の作成と直接的な関係は無さそうですが、近年、家系図作成代行を請け負う行政書士の数が増加しています。

行政書士のなかには、企業で活躍している方もいれば、独立して事務所を構えている方もいます。その一方で、同じ法律家である弁護士に比べ、扱える案件には限りがあるため、新たな業務開拓の必要に迫られています。こうした行政書士事務所の間で、ひとつのトレンドとなっているのが、まさに家系図の作成代行なのです。

行政書士は相続に関する相談を扱う機会が多く、業務として家系図に関する書類を作成します。もちろん通常の業務内において依頼者の何代も前までの家系を遡ることは滅多にないでしょうが、「これまで、まったく家系図を作成したことがない」という一般の人より、頼りになることは明らかです。

家系図づくりの依頼先は目的に合わせて

上記のような背景のもと、近年数多く登場している『家系図作成が可能な行政書士事務所』ですが、その大半は家系図作成に必要な専門知識を持ち合わせているわけではありません。歴史の研究家や学者などと提携するかたちで業務を展開し、行政書士自身は集められた情報をもとに、書類作成業務のみを担当するというのが実態のようです。

料金体系はさまざまですが、以下に一例を見ていきましょう。

・A社:家系図作成一系統5万円~(納期~2ヶ月)、ルーツ調査30万円~(納期1年~)

・B社:家系図作成一系統4万5,000円~、家系図保存22万円(巻物形式) ※納期未定

・C社:巻物家系図(収集戸籍、データCD、霧箱付き)12万6,500円 ※納期未定

上記の中で多く見られるのは、B社やC社の形態。家系図作成の根拠とするのは、戸籍のみです。また家系図は巻物のかたちでまとめられると重みが増したように感じられますが、簡素でも書類作成だけに留めておけば、費用を大きく抑えられることが分かります。

最も専門的な作業を行っているのは、A社です。現地調査にも対応しており、専門スタッフが、長期に渡り調査を続けてくれます。その分費用はかさみますが、より精度の高い家系図が作成できることは、まず間違いないのではないでしょうか。それぞれの要望や予算に応じて、よく比較検討した上で依頼することが何より重要です。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する
調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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