蒸留酒の最高峰、奥深い「シングルモルト」の世界を学ぶ

※百計オンラインの過去記事(2015/08/30公開)より転載

『シングルモルト』とは、単一蒸留所での原酒のみで作られたモルトウイスキーのことを指します。モルトとは大麦麦芽、つまり、モルトウイスキーとは、大麦の麦芽100%で造られたウイスキーのことです。モルトウイスキーは香り豊かで個性的な味わいがあります。

モルトウイスキーとは別に、トウモロコシなどの穀物を原料にしたグレーンウイスキーという種類もあります。軽やかですっきりとしたシンプルな味わいが特徴です。なお、複数の蒸留所のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたものは『ブレンデッドウイスキー』と呼ばれています。

“ブレンデッド”がバランスのとれた味や香りを追及しているのに対し、“シングルモルト”はその蒸留所の個性やこだわりがそのまま反映されているのが特徴です。

蒸留所のエリアは、大きく分けて5地区

スコットランドには100を超える蒸留所があります。酒類生産免許に関する規制の違いに基づいて、かつてはハイランド、ローランド、キャンベルタウン、アイラの4地区に分類されてきました。しかし、現在ではハイランド地域の、特に蒸留所数の多いスペイサイドを独立させて、5地区に分類する方法が主流です。(オークニー諸島などの島嶼部「アイランズ」を含めて6地区にする場合もあります)

エリア別の特徴を覚えて、こだわりの世界を楽しむ

・ハイランド
約40の蒸留所があります。製造されるウイスキーはさまざまで、共通する特徴を見いだすのは難しいとされていますが、全般的には軽やかで飲みやすい味わいです。

・ローランド
スコットランドの首都エディンバラがあり、かつては多くの蒸留所があったエリアですが、今は衰退し操業しているところはわずかです。他のエリアが蒸留を2回しか行わないのに対して、かつてのローランドは3回蒸留を伝統としていました。しかし、現在3回蒸留を行っているのはオーヘントッシャン蒸留所のみです。穏やかな風味を特徴としています。

・キャンベルタウン
今では2つの蒸留所しか残っていませんが、かつては30を超える蒸留所が存在したモルトウイスキー造りの中心地でした。「香り豊かで、オイリー、塩っぽい風味を持つこと」がこの地域の特徴とされています。

・アイラ
ウイスキーの聖地といわれるアイラ島の海辺には、8つの蒸留所が建てられています。この地域は気候が温暖で大麦の栽培に適しており、ピート(ヒースというスコットランド北部の原野に多い野草や水生植物などが炭化した泥炭のこと)が豊富で良質の水が手に入ります。どの蒸留所も強烈な個性があり、共通点を見つけるのは難しいです。

・スペイサイド
スコットランドに存在する蒸留所の約半数、およそ50の蒸留所がある地域で、大麦の収穫量が多くピートが豊富な場所です。全体的に華やかな甘みをもっているのが特徴で、最もバランスに優れた銘酒が揃っていると評されることもあります。

・アイランズ
オークニー諸島、スカイ島、マル島、ジュラ島、アラン島にある、6つの蒸留所を総称しています。単純に蒸留所がある島の地理的な分類にすぎませんので、共通する特徴はありません。

シングルモルトの素晴らしさを堪能できる飲み方とは

ウイスキーの飲み方に正解はありません。オンザロックでも水割りでも、ハイボールでも構いません。要は、お気に入りのスタイルで飲めばいいのです。ただし、味わい深い『シングルモルト』の世界を楽しむ飲み方はストレートに尽きるといえるでしょう。グラスはロックでもショットでも構いませんが、香りを楽しむという意味では、ワイングラスを小ぶりにしたようなテイスティンググラスが最適です。バーテンダーにリクエストしてみるといいでしょう。

忘れていけないのがチェイサー(ミネラルウォーター)の存在です。もともとシングルモルトはアルコール度数が高いため、ストレートで飲めば当然酔いやすく、舌も麻痺しやすいです。それを避けるためにもチェイサーは必要です。

果てのないシングルモルトの世界へ出かけましょう

限られた字数の中で、シングルモルトを語り尽くすことはとても難しいです。しかし、このコラムの知識で、まずはシングルモルトの世界のドアを開けることは可能です。味覚はもちろん、視覚や嗅覚によっても愛でることのできる奥深い世界を学び、そして何よりもシングルモルトを心から味わっていただきたいと思います。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する
調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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