【研究員コラム】GDPはどう決まる?~経営者のためのマクロ経済学

【研究員コラム】日本の2020年度実質GDP、戦後復興期以降で最大の落ち込みでは、GDP(国内総生産)が「一定期間(通常1年間)内に国内で生み出されたモノやサービスの付加価値の総額」であることを説明しました。今回は、マクロ経済でGDPがどのように決まるかについて解説します。

生産者(企業)はモノやサービスを売ることで「所得」を得て、消費者(家計)はモノやサービスを買うことで「支出」します。100円のパンが1つ取引される中で、100円分の生産と、100円分の所得と、100円分の支出が生じます。その合計として1国全体を見たとき、「総生産」と「総所得」と「総支出」は、かならず一致するように定義されています。これを「三面等価の原則」といいます。

経済学には、それがなくては何も語れないキーワードがあり、その1つが「市場(しじょう)」です。モノやサービスの買い手と売り手がいっせいに出会う市場には、買い手が欲しいと願望する「需要」と、売り手が売りたいと願望する「供給」があります。ここでの需要と供給は「願望の量」を表しているに過ぎず、「実際に取引される量」とかならず一致するわけではありません。

ミクロ経済学では、「セリ人が需要と供給が等しくなるまで価格を動かす」、マクロ経済学では、短期的には「需要が取引量を決める」と仮定します。マクロ経済学でいう短期とは、「昨日の新聞が150円だったら、おそらく今日も150円だろう」という価格が動かない世界です。また、需要が取引量を決めるというのは、100個のまんじゅうを製造して販売したいお店があるとして、「1日50個しか売れそうにない場合は早く店じまいし、150個売れそうな場合は追加で製造・販売する」というように、生産者が需要にあわせて生産量を調整する世界です。

1国全体の需要である「総需要」は、「民間消費」「民間投資」「政府支出」「純輸出」の4つの項目からなります。民間消費は、生きていくために最低限必要な「基礎消費」と、「(所得から税を引いた)可処分所得」の一定割合の消費を、家計が行うことを想定します。民間投資は、企業による設備投資や、家計による住宅投資から成り立っています。政府支出は、公共事業の金額や、行政サービスを提供するために公務員を雇う金額の総計です。純輸出は、国外への輸出額から、国内への輸入額を引いた額です。

需要が取引量を決める。つまりマクロ経済学では、総需要を満たすように総取引量が決まり、それがGDPとなります。

【参考文献】
塩路悦朗(2019)『やさしいマクロ経済学』日本経済新聞出版社

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所 上席研究員安田 憲治
株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所 上席研究員 安田 憲治

一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。塩路悦朗ゼミで、経済成長に関する研究を行う。 大手総合アミューズメントメント企業で、統計学を活用した最適営業計画自動算出システムを開発し、業績に貢献。データサイエンスの経営戦略への反映や人材育成に取り組む。
現在、株式会社ボルテックスにて、財務戦略や社内データコンサルティング、コラムの執筆に携わる。 麗澤大学都市不動産科学研究センター研究員。