コロナ禍に普及…「Zoom」をマーケティングに活用するには?
~経営者こそ知っておくべき、マーケティングのトレンド[第4回]

企業活動においてマーケティングの重要性は誰もが知るところです。しかしその手法は日進月歩であり、時流に合わせて常に進化させなければなりません。

経営者だからこそ知っておきたい、最新のマーケティング事情に迫る本連載。今回は「Zoomを活用したマーケティング」に焦点をあてていきます。

いま、なぜZoomマーケティングなのか?

新型コロナウィルスの流行で、経済に大きな混乱が訪れました。人が密集するオフィスや通勤電車には感染拡大を招く可能性が危惧されたため、テレワークが以前よりも速いスピードで、日本社会に浸透し続けています。

スタッフが一同に会せず、それぞれの拠点から意思疎通を図る際に活用すべきなのは、情報通信技術です。中でもZoomは、Web会議ツールとしての有用性が評価され、一気に知名度を上げました。その特徴を改めて確認してみましょう。

■Zoomの特徴

ZoomはWebコミュニケーションのためのアプリケーションです。中国系アメリカ人のエリック・ヤン氏が2011年に立ち上げた「Zoomビデオコミュニケーションズ社」によって、2013年からサービスが開始されています。コロナ禍以前の2019年12月時点で、すでに1,000万人もの利用者を集めており、ソフトウェア関係のアワードでも数多くの受賞歴があるのです。

Zoomには「ビジネス向けに最適化されている」という特徴があります。高額な初期投資は不要で、手持ちのPCにあらかじめ搭載されているカメラやマイクを活用可能。1つの会議につき最大1,000名までの参加者を受容できるほか、スマートフォンなどのデバイスからもアクセスできます。

また画面共有や参加者による挙手/投票などの機能を備えているほか、録画/録音、そしてミーティングごとのパスワード設定なども可能。ビジネスシーンにおける、さまざまなオンライン会議への活用が容易です。

なおZoomには有料版と無料版があります。有料版には「時間制限なし」、「ユーザーの全体管理」などの機能が付与されており、月額は1ユーザーにつき1,980円からです。他社のミーティングに参加するだけなら無料版でも十分ですが、自社内または自社主催のミーティングやセミナーなどに活用したいなら、有料版が便利です。

また2020年後半から、Zoomを単なる会議ツールではなく、マーケティングツールとして活用する動きが目立ち始めています。コロナ禍が促進したZoom利用の拡大を、ビジネスチャンスとして活用する企業が増えているのです。

Zoomマーケティングの具体的な活用法

中小企業がZoomをマーケティングへ具体的に活用する際には、どのような方法が考えられるのでしょうか。その代表例を以下に見ていきます。

■ウェビナー

ウェビナーとは、Webとセミナーをかけ合わせた造語です。

セミナーは企業マーケティングにおいて、新規顧客獲得や既存顧客フォローに繋がる重要な販促活動のひとつです。長期的な利益達成を目指すのはもちろん、企業やブランドの知名度向上につなげるなど、開催の目的は多岐に渡ります。

これまでセミナーは「特定の会場で開催する」という形式が主体でした。しかしZoomを活用したオンラインセミナーであれば場所(距離)の制約がなくなり、日本国内はもちろん、海外からも視聴が可能。「ウェビナー開催で、参加者が10倍以上に膨れ上がった」という例もあります。

また「Zoomでリアル配信したウェビナーを、YouTubeなどで録画配信する」などの活用法も考えられますので、セミナー自体の可能性は大きく広がっていくでしょう。

■オンライン接客

2021年の年明け早々に、国内の複数地域で2度目の緊急事態宣言が行われました。こうした状況下では、店舗へ赴きショッピングを楽しむという需要が低下し、ECを活用した「巣籠り消費」が活性化します。

しかし店頭スタッフの接客が、購買を大きく左右する商品やサービスもあります。こうしたジレンマを解消すべく、すでに国内のいくつかの企業は、Zoomを活用したオンライン接客をスタートさせました。

流れとしては、事前に公式サイトなどで予約申込を受け付け、定められた日時にZoom会議と同様の手順でオンライン接客を行います。一方的な商品説明動画とは異なり、Zoomでは双方向コミュニケーションが可能ですから、より細やかな接客が実現。消費者もスタッフへ、質問を直接投げかけることができます。

オンライン接客は、単なるコロナ対策ではなく、地方エリアや海外からの問い合わせ、そして外出が難しい高齢者からの問い合わせなどにも柔軟に対応できます。注目して損はないマーケティング手法の1つと言えるでしょう。

中小企業こそZoomマーケティングを取り入れるべき理由

Zoomマーケティングには大きな可能性が秘められていることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。また特に中小企業こそ、Zoomマーケティングに注目すべき理由があります。

■低予算でのスタートが可能

先述のように、Zoomはスタッフひとりあたり月額数千円という低価格で導入できます。またマーケティングの一環として、ウェビナーに活用する場合を考えてみましょう。オフラインのセミナーには会場のレンタル費や交通費、そしてアルバイトの人件費など、多額の費用がかかります。しかしウェビナーは自社スペース/スタッフの稼働のみで開催できますから、予算を大幅に抑えることが可能です。

■消費者との接点作りに役立つ

Zoomはオンラインでの接客や販促イベント開催など、消費者とのダイレクトなコミュニケーションを創出します。その際に丁寧な対応を心がければ、企業やブランドの好感度は大きくアップ。ファン層の創出や、支持の拡大へ繋がっていきます。

Zoomマーケティングの留意点は?

Zoomマーケティングに活用するにあたり、留意すべき点もあります。

その代表は、セキュリティ問題です。Zoomは利用者間でURLを共有するシステムなので、外部にアドレスが漏洩すると、悪意ある第三者から荒らし行為を受ける可能性があります。また「過去のバージョンはセキュリティ対策が不充分」という声も聞かれます。Zoom利用時のセキュリティ対策を、以下に見ていきましょう。

 

【Zoom利用時に心がけたいセキュリティ対策】
・Zoom上で機密情報のやり取りは控える。
・パスワード設定やURL拡散禁止など、利用者間で無理なく適応可能なルールを定める。
・常時最新のバージョンにアップデートする。
・フリーWi-Fi環境での利用は控える。

 

行動が制限されるコロナ禍は、企業活動にも大きな影響を及ぼしました。そのようななかで普及したZoomは、場所(距離)による制約がなくなるなど、新たなメリットをもたらしています。上記のような対策を実践しつつ、Zoomを上手にマーケティングへ活用していきましょう。

 

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所 所長堀内 勉

多摩大学社会的投資研究所教授・副所長
東京大学法学部卒業、ハーバード大学法律大学院修士課程修了、Institute for Strategic Leadership(ISL)修了、東京大学 Executive Management Program(EMP)修了。日本興業銀行、ゴールドマンサックス証券、森ビル・インベストメントマネジメント社長を経て、2015年まで森ビル取締役専務執行役員CFO。田村学園理事・評議員、麻布学園評議員、社会変革推進財団評議員、立命館大学稲盛経営哲学研究センター「人の資本主義」研究プロジェクト・ステアリングコミッティー委員、日本CFO協会主任研究委員 他。
2020年7月、株式会社ボルテックス100年企業戦略研究所所長に就任。
ライフワークは資本主義とソーシャルファイナンスの研究。趣味は料理、ワイン、アート鑑賞、工芸品収集と読書。読書のジャンルは経済から哲学・思想、歴史、科学、芸術、料理まで多岐にわたり、東洋経済などで複数の書評を連載している。著書に、『コーポレートファイナンス実践講座』(中央経済社)、『ファイナンスの哲学』(ダイヤモンド社)、『資本主義はどこに向かうのか』(日本評論社)