「日本一高いビル」竣工!インバウンド消費なども念頭に様変わりする東京・虎ノ門

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記事公開日:2019/04/25    最終更新日:2023/07/10

ここ数年、東京都内の中でも大きく様変わりしたエリアのひとつが、虎ノ門ではないでしょうか。麻布の台地と愛宕山にはさまれ、ホテルオークラ東京や政府系機関のオフィスが軒をつらねる閑静な高級エリアだった虎ノ門がいま、国際色ある街づくりを目指しています。

虎ノ門は江戸時代から続く由緒ある地名

虎ノ門の地名は、江戸城の南端にあった門の名前に由来しています。所説ありますが、当時は青龍、白虎、朱雀、玄武の四獣神が四方を守るという中国由来の考え方にちなんで「虎ノ門」が置かれたとされます。

2014年には、虎ノ門~新橋間で第2次世界大戦後に米国のマッカーサー元帥が建設を命じたという伝説がある「マッカーサー道路」が完成しました。これは計画から実に68年もかかった計算になります。約1.4キロが結ぶこの道路は、江東区有明から千代田区神田佐久間町に至る「環状第2号線」の一部。都心の慢性的な渋滞解消につながるほか、2021年の東京五輪では、選手村と各競技場を繋ぐ大動脈になるはずでしたが、築地市場の移転が延期された影響を受け、新橋~築地間のトンネル道路の工事も延期されました。
ちなみに環状第2号線が全線開通となったのは2022年12月18日で、予定から約2年遅れとなりました。

お手本はシャンゼリゼ、虎ノ門で進む国際色豊かな街づくり

虎ノ門から麻布、六本木といった付近一帯は、各国の大使館や領事館、国際組織、外資系のオフィスや外国人駐在員が多く住む高級レジデンスが立ち並ぶ国際色豊かなエリアです。

虎ノ門の再開発は、このマッカーサー道路の完成と52階建ての超高層ビル「虎ノ門ヒルズ」の開業が契機になりました。虎ノ門ヒルズの開発を手掛けたのは、付近一帯で多くのオフィスビルを所有する森ビル。森ビルは、周辺で所有するビルが古くなってきていることを受けて、東京都から国際戦略特区、特定都市再生緊急整備地域の指定を受け、虎ノ門から麻布台地区までの再開発を進めています。
また、先行して地下鉄日比谷線に「虎ノ門ヒルズ駅」が2020年に開業しています。

虎ノ門のオフィス街

取り組みのひとつとして、新橋から虎ノ門ヒルズまでの「新虎通り」は、その広い沿道を生かして、オープンカフェが立ち並ぶパリのシャンゼリゼ通りのような景観を目指しています。

日本屈指の老舗ホテルであるホテルオークラ東京は4年におよぶ建て替え工事を経て、2019年9月に「The Okura Tokyo」として開業しました。世界のセレブに愛された由緒あるたたずまいは残しつつ、最高級ブランドの「オークラ ヘリテージウイング」とコンテンポラリーラグジュアリーの「オークラ プレステージタワー」の2つのブランドを運営。世界水準を意識した最高級スイートルームを設けたほか、大型の宴会場を併設し、国際会議や展示会の誘致も目指しています。

同じ年の5月には虎の門病院の新築移転もありました。旧病院の隣接地に、地上19階、地下3階の高層ビルへとリニューアルすることで、延床面積は約1.4倍に拡大されました。外国人住民が多いことから、虎の門病院は多言語化を進めるとともに、人的通訳サービスや、医療滞在ビザへの対応、医療費の支払い方法等について整備していく予定だといいます。医療ツーリズムが注目される中で、重要な取り組みとなるでしょう。

虎ノ門ヒルズには、2014年にハイアットホテルアンドリゾーツの高級業態「アンダーズ東京」が開業しましたが、さらにその横で建設される49階建てビル「虎ノ門ヒルズステーションタワー」にも外資系の一流ホテルが入居する見通しです。

日本一高いビルの変遷

ここで日本一高いビルのおおまかな変遷をみてみましょう。

1964年の東京五輪を前に建築基準法が改正され、31mを超えるビルが建てられるようになりました。

日本で最初の超高層ビルとされるのは1968年に竣工した霞が関ビルディング(147 m)です。これ以降は都心部の開発計画が本格化したこともあり、100mを超えるビルが複数登場しています。

長く日本一の座にあったビルとしては、1978 年に竣工した東京都豊島区のサンシャイン60(240m、当時は東洋一の高さを誇った)、1993年に竣工した横浜市西区の横浜ランドマークタワー(296m)、2014年に竣工した大阪市阿倍野区のあべのハルカス(300m)があげられます。

2023年6月、日本一高いビルが虎ノ門・麻布台エリアに登場!

麻布台ヒルズ一帯

2023年6月末には、旧郵政省本庁舎跡の日本郵政グループ飯倉ビルを解体し、地上64階、地下5階、塔屋2階建ての「麻布台ヒルズ森JPタワー」が竣工しました。東京タワーとほぼ同じ高さの325mで、日本一高いビルとなります。ビル内には商業施設や医療施設、大規模オフィス、都市型レジデンス「アマンレジデンス東京」(全91戸)が入ります。再開発を行った森ビルは、人々の営みがシームレスにつながる街を目指して、周辺に2棟のレジデンスビル、インターナショナルスクール、約6,000㎡の中央公園等も形成しています。

しかし、三菱地所が大手町に地上63階、地下4階、高さ約390mの「Torch Tower(トーチタワー)」を2023年10月に着工する予定です。計画上、2028年竣工予定なので、「麻布台ヒルズ森JPタワー」が日本一高いビルとして存在できるのは、約5年ということになります。

古き伝統と国際色豊かな街並みが並び立つ

一方で、このエリアは江戸時代から続くお屋敷町でもありました。明治5年創業のそば屋「虎ノ門大坂屋砂場」、大正元年創業の和菓子店「岡埜栄泉」、大正7年創業の「松屋珈琲店」といった老舗も立ち並びます。また、サラリーマンの「聖地」である新橋にも近いことから、昼夜ともに使い勝手のよい立地です。虎ノ門のオフィスやホテルで商談を進め、昼は老舗の味を楽しみ、夜は六本木のエンターティメントや新橋の喧騒を味わう、そんなプランも考えられるでしょう。古き伝統と国際色豊かな街並みが並び立つ魅力は、都内のほかのエリアには見られないものです。伝統ある国際都市・東京の顔として、虎ノ門エリアの今後の発展にますます期待したいところです。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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