4年で2倍の成長を見込む「動画コンテンツ」活用のポイントは?
~経営者こそ知っておくべき、マーケティングのトレンド[第2回]

企業活動においてマーケティングの重要性は誰もが知るところです。しかしその手法は日進月歩であり、時流にあわせ常に進化させなければなりません。

本連載では、経営者だからこそ知っておきたい、最新のマーケティング事情について焦点をあてていきます。今回は「動画マーケティング」に焦点をあてていきます。

動画マーケティングの現状

動画を活用したマーケティングと聞くと、まず多くがテレビCMを思い浮かべるでしょう。しかしその制作や出稿には莫大な費用がかかるうえ、効果を正確に計測することが難しいといわれています。中小企業にとってハードルの高い選択肢ですが、インターネットの普及により、動画マーケティングの状況は大きく変わりました。企業が発信したい情報を映像コンテンツとしてまとめ、インターネット上に出稿するという方法は、新たな動画マーケティングのかたちとして定着しつつあります。

株式会社サイバーエージェントが株式会社デジタルインファクトと共同で行った『国内動画広告の市場動向調査』によると、その市場規模は2019年で2,592億円。2020年には3,289億円、2023年には5,065億円に達するとしています。

インターネットを活用した動画マーケティングにおいては、PCだけでなく、スマートフォンという生活に密着したデバイスで消費者にリーチすることが可能です。サイバーエージェントは「今後はスマートフォン動画広告が、需要全体の成長を牽引していくだろう」との見解を示しています。

中小企業が動画マーケティングを取り入れるメリット

テキストや静止画像に比べて訴求力が高い動画マーケティングは、中小企業にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。

■制作コストの低下
これまで企業が動画広告を制作する際は、広告代理店や映像制作会社に高額な費用を支払わなくてはなりませんでした。しかし近年は動画マーケティングの活況を受け、低コストで高品質な動画制作を請け負う会社が増加。数十万円程度でプロ仕様の動画広告制作ができるようになっています。また動画制作ソフトも発達し初心者でも使いやすくなっているので、内製のハードルも低くなっています。

■ターゲティングが正確で、拡散しやすい
インターネットを活用した動画広告は、詳細なターゲット設定で、表示するユーザーを指定できます。出稿メディアによって異なりますが、年齢や性別のほか、属性(職業や住宅所有の有無等)、興味・関心などにより、かなり細かくターゲットを絞り込むことができます。また動画広告のURLは、TwitterやLINEなどのSNSを通じ、簡単に拡散可能です。

動画マーケティング実施までの流れ

動画マーケティングへ進出するには、活況を呈する広告出稿先を選択するのが早道です。代表例をみていきましょう。

■YouTube
・30秒か6秒の広告を選べるほか、ディスカバリー(YouTube検索ページと動画再生ページ、モバイルアプリのトップページに掲載)やマストヘッド広告(YouTubeのホーム画面最上部に掲載される予約型の動画広告)など、種類が豊富である。
・YouTubeはGoogleの傘下にあるため『Google広告』を開設したのち、新しいキャンペーンを開始し、出稿する。
・広告動画再生1回につき3~20円が課金される。ただし「ユーザーが途中でスキップした場合はカウントされない」などのシステムが整備されている。

■Instagram
・ストーリーズ広告とフィード広告の2種類がある。
・InstagramはFacebookの傘下にあるため『Facebookビジネスマネージャー』を開設したのち、広告アカウントを作成、出稿する。

■Twitter
・プロモツイート(企業がターゲティングしているユーザーに対して表示させる広告)、プロモアカウント(「おすすめユーザー」やアカウント検索画面、スマートフォンアプリのタイムラインに表示され、視聴者にフォローを促すことができる広告)、プロモトレンド(トレンドトピックの、ユーザーのタイムライン、ユーザーのプロフィールページに表示される、1日1社買い切り制の広告)の3種類が用意されている。
・まず広告動画を投稿したうえでメニューから『Twitter広告』を選び、各種の設定を行う。
・出稿費は入札形式で、上限額の設定も可能。

■TikTok
・起動画面(アプリを起動した際に表示される広告)、#チャレンジ(SNSでも多く活用されているハッシュタグを使用する広告)、インフィード(各ユーザーの関心によって表示される広告)の3種類がある。
・運営会社や代理店に問い合わせを行い、配信内容を決める。
・課金法はインプレッション、クリック、再生の3種類が用意されており、1回につき5円~1,000円が課金される。

上記の中でTikTok以外は、すべて社内で出稿の手続きを進めることができます。事前に動画広告の制作を済ませておけば、あとはアップロードをするだけです。また出稿費用についても、広告主に裁量が委ねられているため、小額からのスタートが可能です。

■チャンネル制作という選択肢もある
動画マーケティングでは、広告の出稿だけでなく自社チャンネルを持つという選択肢もあります。YouTubeやInstagramなど、動画コンテンツが豊富なSNSは、企業でもアカウントが作れます。YouTubeの自社チャンネル内に、視聴価値のある動画を豊富にアップロードするだけでも、企業認知度はグッと高まります。最近では、数十万人のチャンネル登録者数を誇る地方都市の中小企業も登場しています。

中小企業が動画マーケティングを行う際のポイント

動画マーケティングに初めて取り組む、というケースも多いでしょう。効果を出すためにも、注意すべきポイントを整理します。

■有能な担当者を選出する
インターネットを活用する動画マーケティングには、基本的なマーケティング知識はもちろんのこと、最新の知識やマーケットの動向に敏感に反応できる人材が適任です。知識や経験を新しいものに応用できる柔軟性をもった人材を選出することが、成功のカギになります。

■コンセプトは明確に
動画マーケティングは、企画段階でしっかりとコンセプトを確立しておくことが大切です。短い尺の中にポイントをいくつも盛り込もうとすると、動画の訴求力は著しく低下してしまいます。「商品の魅力を伝えたい」、「ブランドイメージを向上させたい」、「企業の知名度を上げたい」など、コンセプトを明確にしておきましょう。

■分析は怠らない
テレビCMとは異なり、インターネットを活用した動画広告は出稿先のシステムを活用して分析を行うことができます。動画の再生回数やクリック率、そして視聴維持率などを分析することで、ある程度正確に効果を測定できます。その結果を以降の動画マーケティングに反映させていきましょう。

 

インターネットを活用した動画マーケティングには、テレビCMとは異なる可能性が大きく広がっています。動画広告のコンセプトを明確にし、最適な出稿先を選ぶことでターゲット層に絞って配信することができ、高い費用対効果を狙うことができるのです。

あとはアイデア次第。さらなる市場規模拡大が見込まれている動画を活用したマーケティングを、積極的に検討してみる価値は大いにあるのではないでしょうか。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する
調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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