経営者にいまおすすめの6冊 「カリスマ経営者」編

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目次

経営における意思決定に明確な解答が見つかることは少なく、しかし経営者の誰もが常に判断を迫られています。何か拠り所が欲しいとき、参考になり励みになるのが先人の軌跡。カリスマと呼ばれた経営者たちが、どのようなケースでどんな判断を下し、どのように行動したのか。多くのビジネスパーソンに共感され、支持されてきた6冊を紹介します。

『ソニー創業者の側近が今こそ伝えたい 井深大と盛田昭夫 仕事と人生を切り拓く力』

郡山史郎著 青春出版 1,078円

違うから共鳴する、伝説のカリスマコンビ

ソニーの創業者として知られる井深大氏と盛田昭夫氏。その側近として働き、同社の常務取締役まで務めた郡山史郎氏が、2人のカリスマ経営者に関して綴ったエッセイです。

第1章は、郡山氏が伊藤忠商事からソニーに転職したところから始まります。1959年当時、郡山氏は24歳、社長の井深氏は51歳。面接官として対応した役員の盛田氏は38歳であり、東京通信工業からソニーに社名変更して1年後のことでした。

技術集団を束ねて新製品の開発に集中する井深氏と、製品開発以外のすべてを取り仕切る盛田氏という布陣において、外国部に配属された郡山氏は通訳として井深氏に接する機会を持ち、また、スイスやアメリカに赴任した際には盛田氏とともに働きます。その中で郡山氏は、「井深さんからは人間としての生き方を、盛田さんからはビジネスで成功するための働き方を学んだ」と回想します。

第2章は、井深氏に関して言及。天才的な発明家である井深氏は、人前で部下を叱ることもなく、悪口を言うこともなく、会社よりも個人を尊重する人物。その言動には「私」がなく、その脳裏には常に世界、人類、社会がある。そんな井深氏に接して郡山氏は、「イエス・キリストは、ああいう人だったのかもしれない」と感じます。

続く第3章では、内外に対して常にヒール役を演じた盛田氏を追想。盛田氏は、ビジネス上の失敗を決して井深氏の責任にはせず、危機管理術にも優れるという人物。「相手を責めるのは間違いだ。信用してだまされるほうが悪い」というのが口癖であり、「世界はアンフェアであり、誰も信用できない」というマイナス思考が、実は盛田氏の強みだったと郡山氏は分析しています。

晩年に盛田氏は、「わしには哲学や思想といったものはないんだよ、これまでずっと井深さんの思想を実現することだけをやってきたんだから」と、郡山氏に漏らしたといいます。第4章では井深氏と盛田氏のそうした関係性が、2人を支えた郡山氏からの視点で語られています。

『一勝九敗』

柳井正著 新潮社 693円

カリスマ経営者が家業をグローバル企業に育てるまで

本書は柳井正氏が2003年に記した自伝的エッセイであり、ファーストリテイリングが世界的企業に発展するまでの過程が、時系列に沿って克明に綴られています。

第1章「家業からの脱皮」では、家業の洋品店「小郡商事」を継いだ柳井氏が、それまでのオーダーメイドではなく、ユニセックスなカジュアルウェアに着目し、広島や福岡、岡山などを中心に、店舗を拡大していく様子が描写されています。

当時の柳井氏はさまざまな変革を断行。取扱商品をメーカーの仕入れ品からオリジナル製品に転換し、その品質を自社管理するための現地法人を香港に立ち上げ、さらにバイイングパワーをつけるために直営店だけでなく、フランチャイズ店を募集して店舗数を増やすなど、今日のユニクロに通じるエピソードが数多く記されています。

第2章「挑戦と試行錯誤」では、社員数が100人近くになった会社の構造改革に乗り出すとともに、柳井氏の意識が「商売人」から「経営者」に変わる過程が追想されています。1991年には、同社が急成長したことによって、予定納税のための資金繰りに苦慮するようになり、株式公開しか道がないと判断。その実現のため、当時29店舗だった系列店を、3年後には100店舗にすることを社員に宣言し、社名も「小郡商事」から「ファーストリテイリング」に変更します。

続く第3章では、ユニクロ最大のヒット商品となったフリースの開発販売の話題を軸とし、ユニクロの名を圧倒的に高めた原宿店のオープンや、CM制作など広告展開に関して言及。第4章では組織や従業員、会社のあり方が語られ、第5章ではさまざまな局面における失敗を振り返ります。

「自分自身を客観的に分析・評価できる」と自任する柳井氏の文章からは、当時の状況をリアルに知ることができると同時に、その各局面で氏がどのような思考のもと、どんな判断を下したか、それによってどんな成功を成し遂げ、または失敗したかを読み取ることができ、柳井氏というカリスマ経営者の哲学を、存分に感じることができます。

『スティーブ・ジョブズ Ⅰ』

ウォルター・アイザックソン著、井口耕二訳 講談社 2,090円

自分の伝記に目を通すことなく亡くなったカリスマ経営者

スティーブ・ジョブズ氏が「僕の伝記を書いてくれ」と、ウォルター・アイザックソン氏に執筆を依頼したのは2004年のこと。ただし、ジョブズ氏のキャリアが途上であると考えたアイザックソン氏は、この申し入れを断ります。しかし2009年、ジョブズ氏ががんを発症していることを夫人から聞かされると、アイザックソン氏は取材と執筆を開始します。

本書『スティーブ・ジョブズ』は、上巻「I」と下巻「II」で構成され、上巻だけで21章、計450ページの重厚な作品です。プライバシーを固く守ることで知られたジョブズ氏の人生を、これほど詳細かつ鮮明に描いた自伝はほかになく、ジョブズ氏について書かれた公式かつ唯一の伝記と言えます。

著者のウォルター・アイザックソン氏は、ハーバード大学で歴史と文学の学位を取得し、オックスフォード大学では哲学、政治学、経済学の修士号を取得。英国の『サンデー・タイムズ』紙や、米国の『TIME』誌の編集長を経て、2001年にはCNNのCEOに就任した人物です。ジャーナリストであるとともに伝記作家でもあり、アインシュタインやキッシンジャーについても著したベストセラー作家としても知られています。

ジョブズ氏から絶対的な信頼を得ていた彼は、約2年の間に50回のインタビューを行うと同時に、本人から聞いた話の裏取りや肉付けを行うため、友人、親族、競争相手、敵対者、仕事仲間など、100人以上を取材。ジョブズ氏自身がかつてのライバルや恋人に連絡を入れ、アイザックソン氏の取材を受けるよう促したとされています。

シリア系移民の父親と、ドイツ系移民の母親から生を受けたジョブズ氏は、生後すぐに若すぎた両親のもとから育ての親に引き取られて、カリフォルニア州のシリコンバレーで育ちます。その複雑な生い立ちはジョブズ氏のその後に強く影響したことは、この物語のさまざまなシーンで感じさせられます。

「これは君の本だ。僕は読みもしないよ」。そうアイザックソン氏に告げ、世界のカリスマ経営者ともいうべきジョブズ氏は2011年、最後の取材を受けた数週間後、この作品に目を通すことなく逝去しています。

『フェイスブック 若き天才の野望』

デビッド・カークパトリック著、滑川海彦、高橋信夫訳 日経BP 1,980円

マスコミ嫌いで有名なマーク・ザッカーバーグ氏。彼から絶対的な信頼を得たベテランジャーナリストは本書を執筆するために『フォーチュン』誌 からフリーに転身して独占取材を敢行。成功、苦悩、野望など、当時26歳の天才CEOの生の声をリアルに描き出す。

『道をひらく』

松下幸之助著 PHP研究所 1,210円

松下幸之助氏が自身の体験と深い洞察をもとにつづった短編随想集。1968年の発刊以来、時代を超えて読み継がれる本書の累計部数は560万部を超える。氏が自らの指針とした不変の真理は、現代のビジネスパーソンの迷いを払拭し、自信を与えるはず。

『私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ』

サム・ウォルトン著、 渥美 俊一 、桜井 多恵子監訳 講談社  1,034円

創業40年で売上高世界1位に成長した米国の小売業チェーン「ウォルマート」。その創業者であるサム・ウォルトン氏が記したこの自伝は、彼の理念、経営哲学、発想法、顧客や従業員への愛など、現代のビジネスパーソンにも必須とされる話題を網羅。

[編集]一般社団法人100年企業戦略研究所
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