経営者にいまおすすめの本6冊 「聞く力」編

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ビジネスにおいて最も重要視されるスキルの1つとして、コミュニケーション力が挙げられます。仕事の起点は、クライアント、上司、部下らとの対話にあり、その対話がスムーズであればあらゆる仕事上のロスが低減されるだけでなく、ビジネスの質が格段に向上するはずです。そうしたコミュニケーションにおいていま注目されているのが「聞く力」。今回はその能力を培うために役立つ6冊をご紹介します。

『いい質問が部下を動かす』

林英利著 三笠書房 1,650円

上司に求められる「聞く力」とは「いい質問」

コーチングのプロとして活動される林英利氏は、「難しいマネジメント理論を学ぶよりも、プレゼンや伝え方のスキルを磨くよりも、まずは質問力を磨いて『いい質問』のやり方を身につけるほうが、ずっと効率よく、もっと確実に、できるリーダーへと成長することができます」と、本書の冒頭で語ります。

トップダウン型のいわゆる昭和型リーダーシップではなく、部下を後ろから支援する「サーバント・リーダーシップ」が必要とされる昨今、「いい質問」こそが上司に求められるスキルだとしています。「いい質問」ができる上司の下では、「自ら答えを出せる部下」「自ら動き出せる部下」「どんどん成長していく部下」が育つと述べており、この考えが本書のメインテーマとなっています。

林氏は、年間3,000名が受講するコーチングスクールの代表であり、大和ハウス工業、トヨタ自動車などを経て、2010年から研修講師として独立。大手企業の経営者や管理職などを対象に、コーチングサポートやリーダーシップ研修を行っています。

本書では、「質問で部下の『自走力』を高める」(第1章)、「この部下には、この質問が効く!」(第2章)、「会議・ミーティングを変える質問法」(第3章)など具体的なノウハウを公開。さらに、この本のもう1つのテーマである「1on1ミーティング」について、その詳細を第4章「これが最高の『1on1ミーティング』」で解説しています。

リモートワークが普及した現在、多くの企業で「1on1ミーティング」が導入されています。しかし、上司の質問力が低ければ、部下との単なる雑談に終始したり、部下との関係が深まらず、部下が気疲れしたりするだけという結果に陥りがちです。こうした状況を改善し、部下の自発的行動や成長を引き出せるコミュニケーション方法を、本書ではわかりやすく解説しています。

会議だけでなく、ちょっとした雑談でも発言がないために、意欲や実行力が欠けるように見える部下でも、さまざまな考えや信念を持っている、というのが著者の主張です。「いい質問」によってそれを引き出すことができれば、部下はきっと変わり、部下が変われば上司を取り巻く環境も、おのずと良い方向に変わるはずです。

『なぜ、あの人には何でも話してしまうのか 心理カウンセラーのすごい「聞く技術」』

山根洋士著 アスコム 1,595円

「何でも話してもらえる人」になる秘訣

かつてノンフィクションライターとして活動していた山根洋士氏は、ある日、激務がたたって救急入院。その入院生活の中で「何のために生きるのか」と模索、心理療法を学び始め、その結果として心理カウンセラーになりました。

山根氏は、「何でも話してもらえる人」は、話を聞くための秘訣を持ち合わせているといいます。心理学(心理療法)的にも説明できるその秘訣とは、「受容」「共感」「自己一致」の3つ。受容とは、相手の価値観を無条件に受け入れること。共感とは、相手の感情を想像して理解すること。自己一致とは、聞き手である自分が自分のままであるとともに、話し手である相手が「自分はこのままでいい」と、思えるようになることです。

カウンセラーは最も人の話を聞く職業の一つであり、その聞き方は、長年の研究で磨かれた確かな「技術」に裏打ちされています。そうした「聞くプロ」である著者が、普段のカウンセリングで使用している聞く技術の中から、仕事や日常生活でも使えるテクニックをまとめています。

これらの技術を駆使することで、相手をイライラさせることも、会話で感情的になることも、聞き役になって疲れることもなくなったと、著者はその効果を実感するとともに、「昔の自分からは想像できないくらい、人間関係が楽になりました」と述べています。

構成は6章立て。第1章では、「口下手でも売れる営業はうまく聞いている」「人は話すことで所属欲求を満たす」など、人の話を聞くとはどういうことなのかを解説、第2章では「話を聞けない人」を7つのタイプに分類して説明、第3章では「聞き手に自己アピールは不要」「5W1Hでどこまでも会話が続く」など、人と話をするときに役立つコツを具体的に伝授します。

続く第4章では「本音を話してもらう聞き方」、第5章では「聞き疲れしない技術」と経験を基にした実践的なテクニックを紹介。最後の第6章で、こうした技術を得た結果として得られる効果が、平易な文章でわかりやすく書かれています。

『聞く力―心をひらく35のヒント』

阿川佐和子著 文藝春秋 990円

ビジネスにも生かせる名インタビュアーの「聞く力」

『週刊文春』の人気コーナー「この人に会いたい」。そのインタビュアーを32年間務める阿川佐和子氏が、聞き手に求められるノウハウを軽妙につづる本書は、発行から13年経ったいまも多くの読者に支持されています。

今となってはインタビューの名手として知られる阿川氏ですが、当初はインタビューに苦手意識があり、嫌いだったといいます。

作家の城山三郎氏をインタビューした際、聞き上手な城山氏に乗せられて自分の話ばかりしてしまった阿川氏。編集者に「今日はずっと1人で話していましたね」と言われ、それ以来、城山氏の人の話を聞く姿勢を手本にしているといいます。そのポイントは「面白そうに相手の話を聞く」ということでした。

同誌の連載のため、対談は週1回のハイペースで行われます。編集者からは大量の資料が渡され、インタビュー相手が作家であれば上中下からなる大作も事前に読まなければいけないこともある。自身は遅読だという阿川氏は、「あまりに資料が多いときは、読む資料を取捨選択することもあり、その場合は対談相手の『作品』を優先しています。なぜなら、作品を読めば素人ながら感じるものがある。それを相手に伝えれば、相手はそれに応えて話をしてくれる」からだといいます。

以前は質問を事前に20ほど用意して、相手の話を聞きながらメモをチラチラと見ていたものの、実はこうするときは、相手の話を聞けていないと気づき、以後は事前に用意する質問は3つに絞り、話の流れによってはそれも捨ててしまうようになりました。

相手が乗って話す話題は、その方にとって重要で面白いことが多い。想定した質問内容から話題が外れ、軌道修正にソワソワするよりも、目の前にいる方の話をしっかり聞いて、おやっと思ったら改めて質問する。こうした柔軟な姿勢のほうが、その方ならではの話が聞ける。話題がズレていても当初聞きたかったことと少しでも内容が重なるなら、後から想定した話の流れに戻せばよいと、対話のコツを伝えます。

1,000人以上の著名人と向き合ってきた阿川氏は、これまでの経験から話の内容を「決めつけないほうが面白い。決めつけてインタビューすることが、いかに危険かと思い知った」と振り返ります。

バイク事故の後の北野武(映画監督・コメディアン)、お遍路を巡った萩原健一(俳優)、不可解な判定によりアテネ五輪で銅メダルに終わった浜口京子(レスリング選手)など、そうそうたる顔ぶれにインタビューを挑んできた阿川氏が対話の裏で何を考え、何を感じてきたのかがわかるユニークな一冊です。

『人は聞き方が9割』

永松茂久著 すばる舎 1,650円

「話させ上手な人」がいつも心がけている相手の気持ちを考えた聞き方を、ベストセラー書籍『人は話し方が9割』の著者が解説。相手が自然と話し始める会話の手法や、相手に好かれる会話の秘訣などを、豊富なイラストとともに紹介。

『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』

ケイト・マーフィ著、篠田真貴子監訳 、松丸さとみ 訳 日経BP 2,420円

人の話を聞けば新しい知識が得られ、聞ける人間は信頼されて特別な関係を結ぶことができる。会話には我慢が必要なものの、その技術を知っておくだけで人生は実り豊かになる。「優秀な人は聞く能力が高い」と説く著者が、自身に有益となる会話法を伝授する。監訳はエール取締役の篠田真貴子氏。

『聞く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な会話力』

いしかわゆき著 クロスメディア・パブリッシング 1,628円

興味を持てない相手と、何を話せばよいのかわからない。こうした思いをかつて抱いた著者は、インタビューライターという仕事を通じ、会話のスキルを身につけたことで、人間関係がラクになったという。そんな著者が「当たり障りのない会話」をするコツを伝える。

[編集] 一般社団法人100年企業戦略研究所
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