共創で未来をつくる。UTスリーエムの新たな人材派遣モデル
~日系ブラジル人材に特化し、持続可能な社会に貢献~

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少子高齢化が進む日本では、2027年に生産工程における労働需要が労働供給を上回ると予測されるなど、深刻な人手不足が見込まれています。そうした中、「日系ブラジル人」に特化した人材派遣によって、人手不足の解消に挑んでいるのがUTスリーエム株式会社です。2023年に代表取締役に就任した筑井信行氏は「誠実さ」と「実行力」を信条に、日系ブラジル人と企業と地域社会が共に発展していくための人材戦略を推進しています。

培ったつながりをもとに、新たなスタートを

UTスリーエムは、日系ブラジル人に特化した人材派遣および製造請負のアウトソーシング企業です。同社の原点は、1987年に創業された株式会社スリーエムにあります。当時の製造業は労働集約型が主流で、テレビやゲーム機器といった製品は手作業で組み立てられていました。そのため人手がつねに不足していたこの時代に、スリーエムはもともと持っていた日系ブラジル人とのつながりを生かして、製造現場向けを中心とした派遣事業をスタートしました。

事業は順調に拡大し、一時は約6,000人もの日系ブラジル人就労者を抱えるまでに成長しました。しかしその後は、製造現場の自動化・機械化が進み、営業活動にも苦戦したことで業績は次第に右肩下がりになっていきました。

ところが2021年に転機が訪れます。将来的な外国人人材の必要性を見据えたUTグループ株式会社がスリーエムを買収したのです。社名を「UTスリーエム株式会社」として2022年に新たなスタートを切ることになり、経営統合作業を経て、UTグループで改革を担ってきた筑井氏が2023年に社長に就任しました。

筑井氏は事業の発展と変革に挑み、スリーエムの創業時から続くブラジルと日本を結ぶネットワークに、UTグループの顧客基盤を掛け合わせ、「日本定住型の人材プラットフォーム」を構築。業績は再び成長に転じ、年々業績を伸ばしています。

4つの強みが実現する唯一無二のモデル

低迷していた業績が持ち直した背景には、同社の4つの強みが大きく関わっています。

1つ目は、高い「採用力」です。影響力のあるプロモーターと代理人をブラジル全土に配置し、現地でのデジタル戦略も展開。さらに、日本国内でも独自のネットワークとSNS戦略、人材と企業をつなぐマッチングシステムを活用することで月間300名の配属を実現しています。

2つ目は人材の「定着支援力」です。住居の手配、役所や銀行等の手続きのサポート、生活相談など、日本での生活をしっかりと支援することで長期戦力化を実現しています。

3つ目が「コンプライアンスへの取り組み」です。犯罪・違反を起こす、あるいは巻き込まれるといったトラブルを未然に防ぐため、日常のコミュニケーションと定期的なコンプライアンス研修等に力を入れています。

そして4つ目が「就業サポート力」です。日系ブラジル人をフォローする管理者は全員、日本語を話せる日系ブラジル人。その管理者をリーダーとして、現場での通訳チーム、翻訳チーム、ライフサポートチーム、教育担当チームを組成し、「言葉の壁」を乗り越えるためのサポート体制を整えています。

さらに、こうした体制が整っていることを生かし、日本語が話せない人材は通訳ができる人材と一緒に派遣する「チーム派遣」や、請負範囲に合わせた人員編成や指揮命令から労務管理まで一括で派遣する「製造請負」も可能です。コミュニケーションにおいて最も大きな「言葉の壁」の問題を解消することで、教育・マナー・ルールの管理もしやすくなり、生産性の最大化を実現しています。

これらの強みにより、「労働力確保×生産性向上×定着支援」を同時に実現する唯一無二のモデルをつくり上げています。

「日系ブラジル人」だからこその事業

UTスリーエムが30年以上にわたり、日系ブラジル人に特化した派遣事業を続けてきた背景には、移民という歴史や、日系ブラジル人ならではの特色があります。

その歴史は、1908年に日本からブラジルへ781名が移民したことにさかのぼります。当時、日本の農村は貧しく、政府は海外移住を推奨しており、一方でブラジルでは奴隷制廃止後の労働力不足を補うために外国人労働者を求めていました。移民後、独自のコミュニティを構築し、今や世界に約500万人いる日系人のうち約270万人が日系ブラジル人です。

日系ブラジル人の特徴について、「日本人の血を引く、血を受け継ぐ日系人としての誇りを持っている方が多く、勤勉で責任感が強い。家族をとても大切にし、陽気でおおらかな性格の方が多い」と筑井氏は話します。

さらに、就労においても大きな利点があります。まず、日系3世までは滞在期間などの要件なしに身分系ビザを取得でき、在留期間が無制限であること。さらに、業種・職種・作業の就労制限もないため、日本人同様の対応が可能です。加えて定住意識も強く、日本に対する思いが強い人が多いために親和性も高いといいます。

このように、日系ブラジル人は日本の社会や企業の課題にフィットしやすい特性があるのです。しかし、まだ「外国人」と一括りで見られがちなため、「日系ブラジル人の特性や親和性の高さをもっと知ってもらいたい」と筑井氏は語ります。

人材が地方創生にも波及する「共創プロジェクト」

現在の働き手不足は日本経済に大きな影響を与えており、これを打開するうえでも、日本のマーケットと親和性のある日系ブラジル人材の活躍がカギとなります。そこでUTスリーエムが主幹事となり、新たに「共創プロジェクト」を立ち上げ、2025年9月よりスタートしました。

このプロジェクトでは、企業・地域社会・日系ブラジル人が共生する社会をつくり、経済成長を目指すモデルを考案。企業は雇用を創出し、たくさんの人材を受け入れる。地域社会は生活環境を整備し、外国人材を受け入れる。そして、日系ブラジル人が日本に定住し、人口を増やす。こうして三者で地域社会を支えるモデルとして、企業や地方自治体の参加を呼びかけています。

実際に、日本のいくつかの地方ですでに取り組みが始まっています。そのうちの1つが、山口県防府市です。人口減少が深刻化し、企業には採用・派遣共に人が集まりにくい中、約2カ月で100名の配属を実現しました。先進的な取り組み事例として、企業向けセミナーの開催を検討中で、地方での企業誘致にもつながる可能性もあるといいます。

「この共創プロジェクトを通じて、持続可能な地域の未来に貢献できると感じています。1つでも多くの地域で人・企業・地域社会に貢献したい。そして、他の企業や地域を巻き込みながら、皆がハッピーになる世界的な団体をつくり上げたい」と話します。

受け継いだ文化と更新したビジョン

UTスリーエムには、創業時から受け継がれてきた企業文化があります。それは「ここまでしてくれるのか」というほどに手厚い社員へのサポート体制です。必要となれば、管理者が社員やその家族の出産の立ち会いに行くこともあるといい、そうした“面倒見の良さ”はブラジル国内でも高く評価され、同社のブランドとして確立されていきました。

そうした企業文化や、ブラジルとの独自のネットワークは、これまで30年以上をかけて培ってきたもの。これを大切に受け継ぎ、さらに磨き上げていきたいと考えています。筑井氏は「地球の裏側から日本へ来る。その覚悟をしっかり当社が支えたい」と、サポートにかける思いを話します。

一方で、筑井氏の下で変えてきたこともあります。社名の「スリーエム(MMM)」の意味を、改めて「働く職場のMatching・生活環境のMatching・働く仕組みのMatching」とし、ビジョンとミッションも新たに策定しました。さらに、ブラジルでの採用にも注力し、将来を見据えて安心して日本に定住できるようキャリアパスの提供を開始。未来への希望を持って働ける環境づくりに努めています。

加えて、筑井氏が経営において大切にしてきたのが、「理想から考え、先入観を捨て、高い目標に挑戦する姿勢」です。そのうえで、誠実に向き合い、実行力を磨き続けることを重視しています。

「誰に対してもホスピタリティを持って接し、本質を見ること。そして、何事もまずは実行すること。実行しなければ何も始まらない。その実行力の高さが経営であり、結果を生む」という信念のもと、日々の業務に邁進しています。

「連携」「共創」が成長をもたらす

「日系ブラジル人の皆さんに『日本に来てよかった』『日本でずっと働きたい』と言ってもらえるプラットフォームをつくり、日系ブラジル人が当たり前に働いている社会にしたい」というのが、筑井氏が描くビジョンです。

最後に、「100年続くために必要なこと」について、筑井氏はこう語りました。

「自分のことだけを考えていては、続けていくことは難しいと思います。いかに視野を広げて、他企業や地域社会と連携できるかが重要です。情報や知見を共有し、新たな連携やプロジェクトを生み出すこと。その繰り返しが、企業にも社会にも成長をもたらすと思います」

UTスリーエムが描く未来は、単なる人材派遣にとどまらず、地域、企業、そして人を結ぶ“共創”の社会づくりそのもの。日系ブラジル人と共に、日本の未来に貢献していこうとしています。

お話を聞いた方

筑井 信行 氏(つくい のぶゆき)

UTスリーエム株式会社 代表取締役社長

1989年、日本ビクター株式会社に入社し、生産現場の実務や管理を経験。2012年にUTグループ株式会社に入社し、執行役員就任。2015年、UTエイム株式会社 代表取締役就任。2023年UTスリーエム株式会社 代表取締役社長兼務。UTグループの新たなチャネル開発として日系人材領域も担当。

[編集]一般社団法人100年企業戦略研究所
[企画・制作協力]東洋経済新報社ブランドスタジオ

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