営業にも効果あり!?「マーケティングオートメーション(MA)ツール」~経営者こそ知っておくべき、マーケティングのトレンド[第7回]
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経営者だからこそ知っておきたい、最新のマーケティング事情に迫る本連載。今回は、昔ながらの「足で稼ぐ」スタイルの営業活動を続けている中小企業が、効率的なマーケティング活動を行う上で有効なマーケティングオートメーション(MA)ツールについて解説します。
マーケティングオートメーション(MA)とは?
企業におけるマーケティング活動の自動化を指すマーケティングオートメーションは、1990年代のアメリカで誕生しました。国土が広いアメリカでは、国内の移動に飛行機が選ばれることも珍しくなく、マーケティング活動の効率化が喫緊の課題だったのです。
2000年代のインターネット高速化に伴い、MAツールは大きく進化を遂げ、導入しやすいクラウド型のMAツールが主流になっています。
その市場規模は年々拡大し、株式会社矢野経済研究所は「2020年版DMP/MA市場に関する調査」において「MAサービスのマーケットは、2025年に737億円に成長するだろう」と、予測しています。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2542
MAツールを活用すれば人力に頼る定型業務や複雑な処理を最適化でき、主にデジタルマーケティングの効率を改善できます。
近年、多くの中小企業が生産性向上のために非効率な訪問営業の変革を迫られているのに加え、昨今のコロナ禍を受けて、営業スタッフが思うように動けない状況に直面しています。
そんな中、「最適化された見込み顧客情報」を提供し、有効な商談を実現させるために役立つMAツールが注目を集めているのです。
MAツールの導入によって中小企業に起こる変化
「インターネットの普及に伴い、従来の営業が功を奏さなくなってきた」と感じる経営者は、少なくないはずです。顧客はいくつかの企業を比較する段階で、インターネットで得る情報を活用しており、必要以上の対面アプローチを避ける傾向にあるからです。
未来の顧客が「どの企業・商品を選ぶべきか」と迷っているとき、MAツールを活用した的確なデジタルマーケティングを提供できれば、最終候補の一角に残ることが可能となります。
以下、MAツールの具体的な効用について見ていきます。
有望な見込み顧客のリスト化してくれる
多くのMAツールでは、さまざまなチャネルによる見込み顧客の情報を一元管理できます。例えば「展示会で名刺交換した後、ウェブサイトにも訪れた」という顧客情報も一つにまとめられるため、精度の高い情報リストが作成できます。
また、見込み顧客情報とウェブサイトのアクセス履歴を紐付けることも可能です。これにより、「誰が何に、どのくらい興味を持っているのか」を、詳しく把握できるようになります。さらに名刺管理やCRMシステムも搭載しており、営業支援ツールとの連携も可能です。
タイミングを逃さない適切な営業が実現
上記のように顧客情報を蓄積するだけでなく、行動を分析し、スコアリングできるMAツールも存在しています。
データを把握した上で「最適化された営業活動」を展開したいところ。例えばあらかじめ設定したスコア(「特定のイベントに参加した」、「ウェブサイトに訪れる頻度が高い、」など)に対応する複数のステップメールを用意しておけば、MAツールが自動送信してくれます。こうした方法なら、見込み顧客の関心度が高まっているタイミングを逃さず、適切なアプローチを実現できるでしょう。
成約の精度が高まる
MAツールを通じて収集した情報の分類やメールなどでのアプローチが進むと、見込み度合いが高い顧客の情報が絞り込まれていきます。この段階で顧客に合わせた具体的な営業活動を行えば、成約のチャンスは高まります。MAツールは「スタッフのスキルや経験だけに頼らない営業体制」の構築に、大きく貢献してくれるでしょう。
参考:List Finder「マーケティングオートメーション(MA)でできることとその効果」
https://promote.list-finder.jp/article/marketing_automation/what-is-ma/
最適なMAツールの選び方
先述のようにMAツールは、現代の日本とは環境が大きく異なる1990年代のアメリカで誕生しました。このため、当初はローカライズが進んでおらず、高額かつ機能も複雑でした。
しかし近年では、比較的リーズナブルで機能もシンプルなMAツールが登場してきています。自社環境に合うツールを選ぶために、以下の点をチェックしましょう。
自社マーケティングの欠点を補う機能があるか
MAツールはBtoBビジネス向けからBtoCビジネス向けまで数多くの商品があり、搭載している機能も実に多彩です。導入にあたっては、ベンダーと相談の上でシステム設計を行うことになります。
そこでまず、自社がこれまでに行ってきたマーケティングを振り返り「見込み顧客の獲得や、継続的なコミュニケーションについて、どのような課題があるのか」を考えてみましょう。その上で課題解決に繋がる機能の有無を確認し、ツールを選択していくようにしてください。
なおMAツールの効果を実感するまでには、一定の時間がかかることもありますから、ツール導入による成果を測る上では経営者にも粘り強い姿勢が求められるのです。
集客機能はあるか
先述のように、MAツールは近年主体となってきたデジタルマーケティングをサポートします。このため、自社公式サイトやSNSなどの運営管理体制が脆弱だと、本来のポテンシャルを充分に発揮できない恐れがあるため、並行して有益なコンテンツを制作する体制を整えることが重要です。
さらに、見込み客の獲得を重視する場合には、SEO対策機能を備えたMAツールを選ぶようにしましょう。
セキュリティ対策もチェックを
近年のMAツールはクラウド型が主体となっているため、セキュリティ対策にも細心の注意が必要です。ツールを提供するベンダー企業の情報を精査し、セキュリティに関する認証をきちんと取得している会社を選ぶようにしてください。
またMAツールは、顧客情報管理や活用が主な利用目的となっています。導入にあたっては、自社のプライバシーポリシーとの整合性がとれるか、きちんと確認するようにしましょう。
サポート体制は充実しているか
MAツールを効果的に運用するためには、運営責任者をはじめ、メールマーケティングや効果測定、顧客管理、そしてマーケティング・コミュニケーションの担当者など6~7人の人員が必要になります。
とは言え、中小企業では適当な人材を十分に配置できない場合もあります。このため不具合や不明点が発生した場合に、迅速かつ柔軟に対応してくれるベンダーを選ぶことが大切です。
まずは自社の課題を明確にすることが重要
世界には多くのMAツールが存在します。その中で自社に最適なものを選ぶのは至難の技です。まずは、「自社がどんな課題を解決したいか」を明確にすることが大切です。そして、その課題解決のためには「どのような機能が必要か」を洗い出してみてはいかがでしょうか。
参考:List Finder「マーケティングオートメーションツール(MAツール)の選び方」
https://promote.list-finder.jp/article/marketing_automation/choice/
著者
株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所
1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。