オープンイノベーションで大企業や自治体から「選ばれる企業」になるには~自前主義からの脱却による課題解決への道[第2回]

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中小企業の生産性を向上させる方法として注目されているオープンイノベーション(他社連携等)。自社だけでなく、他社や大学、自治体などと技術やアイデアなどを組み合わせて、製品やサービス開発、組織・行政改革などにつなげる取組みです。

本連載では中小企業が抱える諸問題を解決するために、自前主義から脱却し、他社とどのように連携していくべきか、その方法を考えていきます。今回は、中小企業が大企業にオープンイノベーションで選ばれるためのポイントを見ていきます。

中小企業とオープンイノベーション

オープンイノベーションとは社外へ目を向け、人材、技術、そしてノウハウを求めていく手法です。中小企業もオープンイノベーションの価値を理解し、新たな展開へ積極的に役立てていかなくてはなりません。

では中小企業は、オープンイノベーションとどのように関わるべきなのでしょうか。オープンイノベーションには、下記のようなふたつの役割が見られます。

[図表1]一般的なオープンイノベーションのイメージ

中小企業が率先して参加者を募るケースも見られますが、多くが上図のような構図になります。主催側は、参加希望社のすべてとコラボレートすることはできませんから、中小企業は選ばれるために対策を講じておく必要があります。

オープンイノベーションで選ばれる企業になるために

ではオープンイノベーションで選ばれる企業となるために、どのような準備を進めておくべきなのでしょうか。以下に見ていきましょう。

■自社の強みを明確にする
これまで自前主義や現場主義で業務を進めてきた中小企業のなかには、「自社の技術が他社と比較してどう優れているのか、論理的に説明できない」というケースが見られます。

しかし選ばれる企業となるためには、自社の強みを明確にし、主導側に納得してもらう必要があります。自社の歴史を振り返り「なぜそのような強みを持つに至ったのか」を客観的に把握したうえで、説明できる資料を用意しておくといいでしょう。

「自社概要や特徴、歴史をまとめる作業」と聞いて連想しやすいのは、ホームページやパンフレットの作成です。すでに用意がある場合でも、オープンイノベーションの主催側を魅了する内容かどうか、一度チェックしてみるといいでしょう。

■業界動向チェックを怠らない
オープンイノベーションに参加する際は、自社が属する業界についての知識が求められます。

特定企業との取引が安定している中小企業のなかには、最新動向に疎くなっているケースも見られるので要注意です。「業界の代表として、豊かな知識を提供できる存在」と認められれば、オープンイノベーションの機会も得られやすくなります。

経営者自らが業界の最新動向に目を光らせ、常に建設的な意見が発信できる態勢を整えておきましょう。

オープンイノベーションの機会を引き寄せるためには

社内のオープンイノベーションの機運が高まってきたら、いよいよ参加を検討することになります。具体的にどのような方法があるのか、以下に見ていきましょう。

■応募やイベント参加
オープンイノベーションに積極的な大企業は、公式サイトに専用ページを設置し、提案を募っています。なかには年度ごとに公募を行い、内容がよければ複数の提案と契約を締結している大企業もあります。自社が目標やベンチマークに定めている大企業があれば、定期的に公式サイトへ訪れてみましょう。そして自社業務を活かせる公募があれば、積極的に応募してみてください。

近年は大企業、中小企業、そしてベンチャー企業が一堂に会す、オープンイノベーションのマッチングイベントが開催されています。特定の技術や産業をテーマとした展示会・商談会へ足を運ぶことで、協業の活路が開ける場合もあります。

また一見、自社とは関係ないと思われる他業界でも、自社の強みを転用し、新しい可能性を求めるようなオープンイノベーションの案件もあります。オープンイノベーションに関するアンテナは、常に張り巡らせておくとよいでしょう。

■産学連携
専門技術の開発や、新事業創出を目的として、大学などの教育研究機関と企業が連携を図るのが、産学連携です。自治体などを加え「産学官連携」と呼ばれることもあります)。政府は「2025年度までに企業から大学・国研(国立研究開発法人)への投資を2014年度の3倍にする」ことを目標に掲げており、推進の機運が高まっています。

産学連携の場合、企業が教育や研究機関に出資するかたちで技術開発をサポートするのが一般的です。産学連携に積極的な機関は専門のコーディネイターが在籍しているので、まずは案件がないか、相談することになります。

ただし現状の国内の産学連携には「複数の企業がひとつの教育機関に出資している」、「機関と企業の常識にギャップがあり、トラブルが生じやすい」といった負の側面が報道されることも珍しくありません。オープンイノベーションには「win-winの関係を築く」という前提がありますので、連携前には充分な検討を重ねるようにしてください。

ここまで「オープンイノベーションで選ばれる企業」となるための備えについて説明してきましたが、中小企業がオープンイノベーションを主導するケースもあります。防災や医療、環境エネルギー、そして高齢者支援など、多数の業種で中小企業の強みを活かし、オープンイノベーションを行うことが可能です。

公益財団法人・東京都中小企業振興公社は、「次世代イノベーション創出プロジェクト」を毎年募集しています。次世代産業を牽引する中小企業主導で、技術開発要素のある大型開発プロジェクトを支援しているのです。開発経費だけでなく、マーケティング費用までが対象となり、最長3年間、限度額8,000万円が助成されます。自社のさらなる成長のために、注目して損はありません。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

経営戦略から不動産マーケット展望まで 各分野の第一人者を招いたセミナーを開催中!

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