経営者の必須科目?トライアスロンとマネジメントの関係性
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※百計オンラインの過去記事(2019/02/27公開)より転載
トライアスロンは「金持ちのスポーツ」か
トライアスロンは、水泳、自転車ロードレース、長距離走の3種目を連続して行うレースです。「オリンピック・ディスタンス」のレースは、水泳(スイム)1.5キロメートル、バイク(自転車ロードレース)40キロメートル、長距離走(ラン)10キロメートルにも及びます。男子であれば1時間45分、女子は2時間程度でこのコースを駆け抜けるのです。
トライアスロンが「金持ちのスポーツ」と揶揄される理由のひとつに、装備をそろえるためのコストがかかるという点があります。水泳ならウェットスーツやゴーグル、自転車はロードバイクやヘルメット、シューズ、長距離走にはランニングシューズなどが必要です。全て一からそろえるとなると、最低でも20万円程度はかかります。中でも、ロードバイクはハマればハマるほど高性能なものが欲しくなり、お金や手をかけたくなるといい、まさに「底なし沼」です。
どのスポーツにもいえることですが、本格的にやるとなると大会にエントリーして自分の実力を測りたくなります。トライアスロンはマラソンなどに比べて、競技の性質上、大会のエントリーフィーも高額になりがちです。加えて遠征するとなると、交通費や宿泊費もかかってきます。また、トライアスロンは一朝一夕に好結果が出せる競技ではありません。装備も重要ですが、それ以上に日ごろからのトレーニングの積み重ねがモノをいいます。
ただ、練習時間を捻出しようにも、日々の生活や仕事に追われる庶民層にはなかなか難しいこともあります。その点、経営者や芸能人、専門職などは自分で自分のビジネスやスケジュールをコントロールしやすい分、トレーニング時間も確保しやすいでしょう。実際、トライアスロンの最高峰、「アイアンマンレース」出場者の平均世帯年収は約25万ドルともいわれます。
トライアスロンで集中力や持続力を育成
最近では、トライアスロンに挑戦することでマネジメント力に好影響を及ぼすと発言する経営者も多いのです。ベネッセコーポレーション、日本マクドナルドなどの社長を歴任し、「プロ経営者」と呼ばれた原田泳幸氏は64歳にしてトライアスロンへの挑戦を始めました。原田氏はトライアスロンの魅力について「素質に関係なく、努力あるのみ」という点を挙げています。
野球やその他のスポーツは、もともとの身体能力などの素質が結果に影響してきますが、トライアスロンはトレーニングすればするだけ結果が追い付いてきます。目標を設定し、それを乗り越えたときの達成感や充実感が、経営者に求められる集中力や持続力にもつながるといいます。
体力や根性だけでなく戦略的アプローチも重要
トライアスロンは、過酷なレースを戦い抜くだけの精神力や自己規律が求められるだけでなく、戦略立案も重要になってきます。また、スイム、バイク、ランの3種目それぞれで求められる筋力も異なります。
・どの種目が得意で、不得意な分野をどう伸ばしていくか
・レースではどのようにペース配分し、スタミナを維持するか
・どのようにすれば完走できるか
・タイムを縮めることができるかなど
原田氏の指摘するように、日ごろのトレーニングの積み重ねが重要なのはもちろんですが、単なる根性論では解決しません。戦略的アプローチも勝負を左右するのです。トライアスロンは個人競技ですが、同時にトレーニングや遠征を行う仲間づくりも重要になります。チームで励まし合って厳しいトレーニングや過酷なレースを戦い抜くのです。
こうしたチームワークの醸成も、経営者として組織を引っ張っていくうえでプラスの経験になるのでしょう。このように、トライアスロンは単にコストがかかるから富裕層に愛好者が多いというだけではありません。競技を続けることで、経営者に必要なマインドセットも育成できるのでしょう。
著者
株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所
1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。