ロボットアドバイザーは資産形成に有効?

※百計オンラインの過去記事(2019/05/20 )より転載

ここ数年、日本でも認知・普及が進むロボットアドバイザーとは、投資に関するいくつかの質問に答えると、AI(人工知能)がおすすめのポートフォリオを提示してくれるというものです。これから投資を始めたいという初心者や、忙しくてなかなか時間がないという人などを中心に人気を集めていますが、ロボットアドバイザーは資産形成に有効なのでしょうか。

ロボットアドバイザーは投資の基本「長期投資」「積立投資」「分散投資」に向いている

ロボットアドバイザーには「アドバイス型」と「投資一任型」の2種類があります。前者はポートフォリオの診断など、投資のアドバイスだけを行うタイプ、後者は、売買や運用資産の最適化までAIが自動で行ってくれるタイプです。日本で人気があるのは主に、後者のタイプになります。

最初の質疑応答でAIに「リスクを取るのが平気な人」と判断されれば、株式などリスクが高い商品の資産配分が高く設定されます。一方、低リスクを好むと判断されれば、債券など安定した商品が多くなります。

ロボットアドバイザーを利用するメリットは、「心理的な罠に陥らず、淡々と投資を継続できること」です。人間はやはり、どこかで自らの選択に迷う場面が出てきます。特に、少し投資に慣れて成果が出始めると、「もっと儲けられるのでは」という欲が出てきて、自ら決めたルールを逸脱してしまうこともあるかもしれません。そういう時ほど冷静さを失って失敗しがちなものです。FX(外国為替証拠金取引)のシステムトレードにも言えますが、ロボットアドバイザーはあらかじめ組まれたアルゴリズムに従って運用しますので、人間のような認知のバイアスがありません。

また、ロボットアドバイザーに資産運用を任せるということは、長期投資が前提になります。自分で運用していると毎日チェックして、少しでもマイナスになりそうなら利確してしまいたくなるものですが、それでは長期投資には向かないでしょう。

成功する投資の基本は「コツコツと継続的に続けること」にあります。ロボットアドバイザーは、一発逆転の大勝利は難しいかもしれませんが、長期的な継続投資には向いているといえます。

投資のもうひとつの基本は「分散投資」です。「卵はひとつのカゴに盛ってはいけない」という相場格言を聞いたことがあるかもしれません。リスクヘッジのために、資金は一カ所に投入せず、投資時期や投資国、投資対象を分散させるのがセオリーです。初心者はなかなか資産ポートフォリオの分配加減がわからないものですが、ロボットアドバイザーはAIが自動的に決定してくれます。

「手数料1%」をどう見るかで賛否両論

ただ、ロボットアドバイザーを利用する際に着目すべきなのは手数料です。主要サービスを比較すると、手数料は預かり資産の1%前後というものが多いようです。この「1%」の手数料をどう見るかで、ロボットアドバイザーが資産形成に有効かどうか、判断が分かれるでしょう。

たとえば、オンライン証券やFXの手数料は、近年かなり安くなってきています。取引条件によっては手数料無料という業者もあるほどです。

また、ロボットアドバイザーと比較対象になりやすい投資信託は、プロのファンドマネージャーに投資を委託するだけに、他の商品よりも手数料が高くなりがちですが、最近は信託報酬が低い「インデックスファンド」などもあります。

それらを踏まえると、手数料が低い金融商品を中心に自らポートフォリオを考えて投資する人、いわゆるセミプロ以上の投資経験者にとって、ロボットアドバイザーの手数料1%は高く映るでしょう。

ただ、こういう人はある程度の投資の知識や経験があり、ポートフォリオの検討や資産のリバランス(組み換え)などに労力を割けるという前提があります。
そもそも投資に関する情報を日々、ブログやSNSで発信しているくらいですから、時間的余裕もあるのでしょう。

一方、まったくの投資初心者や、仕事が忙しくて投資に労力は割けないが銀行口座に資金を寝かせておくよりは多少運用してみたいという層にとっては、自動で資産配分の決定から売買までやってくれるロボットアドバイザーは検討する価値があるかもしれません。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する
調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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