投資の神様ウォーレン・バフェットの投資哲学~資産を1,000万倍に増やす戦略とは

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記事公開日:2020/03/25    最終更新日:2024/02/29

※百計オンラインの過去記事(2015/08/16公開)をもとに加筆

ウォーレン・バフェット。株式投資をなりわいにする人であれば知らない人はいないでしょう。経済誌「フォーブス」の2023年世界長者番付で、第5位に入る大富豪にして「オマハの賢人」「投資の神様」ともいわれる著名な投資家です。バフェットの投資哲学とは一体どのようなものなのか、株式投資の極意から成功の秘訣に迫ります。

ウォーレン・バフェットのプロフィール

最初に、世界一の投資家と称されるバフェットの印象的な経歴と業績、独自の投資哲学、どのようにしてその巨大な資産を築き上げたのかを見ていきます。バフェットの人生は、幼い頃の投資に関するエピソードから始まり、その成功は彼が持つ明確なビジョンと絶えず進化する金融市場への深い理解から生まれています。

ウォーレン・バフェットの経歴と業績

バフェットは1930年にアメリカのネブラスカ州オマハで生まれました。父が証券会社を営んでいたことも影響し、若くして投資に興味を持ちました。バフェットが初めて株式投資の行ったのは11歳のときでした。姉とともに1株38.3ドルで3株購入したが株価は一時大きく割り込んだ末、40ドルまで回復した段階で売却したのです。しかしその後の急騰で株価は202ドルまで上昇しました。このときの教訓が短期的な売買のリスクを避ける戒めになっているかもしれません。

ネブラスカ大学を卒業した後、『賢明なる投資家』の著者であるベンジャミン・グレアムが大学で教鞭とっていること知ったバフェットは、コロンビア大学ビジネススクールに進学。これがバフェットの投資哲学に大きな影響を与えることとなりました。

学業を終えた後、バフェットはグレアムに無給でも構わないので働かせてほしいと嘆願しますが、事情によって断られます。結局はオハマにある父の経営する証券会社で働くことになりました。1954年にグレアムから声がかかり念願叶って彼のもとで働くこととなりましたが、2年後にグレアムが引退してしまいます。その後1956年にバフェット・パートナーシップを設立、その成功を通じて彼は自身の資産を増やし、1965年にはバークシャー・ハサウェイ(以下「バ社」)を買収しました。

バフェットはCEOとして、その資産を増やし続け、2023年3月時点での米SEC(証券取引委員会)の提出書類によれば、その総資産価値は約3,000億ドルにのぼります。バフェットの投資哲学は「バリュー投資」「成長株投資」で知られ、長期的な視点から企業の価値を評価し、その企業の株を購入するというものです。

ウォーレン・バフェットの資産と投資哲学

毎年5月に開催される、バ社の株主総会には3~4万人が詰めかけ、「賢人」「神様」と呼ばれるバフェットが発する投資や経営にまつわる数々の金言に耳を傾けます。

1,000億ドル以上といわれるバフェットの資産のほとんどは、最大株主となっているバ社の株式です。バフェットが学生時代にコツコツためた1万ドルを元手と考えるなら、1,000万倍という途方もない数字です。奇しくもバフェットについて書かれた伝記のタイトルは『THE SNOWBALL』。雪ダルマ式にふくれ上がった資産を象徴するにふさわしい書名といえます。

バフェットの投資哲学はいわゆる「バリュー株投資」「成長株投資」が基本です。多くの情報を集めた上で企業本来の価値と比較して株価が低水準にあり、中長期的に成長が見込まれる企業が選ばれています。元々は繊維会社だったバ社も典型的なバリュー株投資先の一つです。バ社の資産内容と比較した株価が極端に安値だったことから、1960年代半ばに株を買い集めて経営の支配権を握ったのです。

一方で不確定要素が大きく業績の変動が極端になりがちなベンチャー企業は敬遠されます。「何をしているのかよく分からない」企業は投資対象にならないということです。それよりは長年安定成長を続けてきた、消費者に身近な商品やサービスを提供する企業の方が安心して投資対象に選ぶことができます。バフェットの好みは、市場で独占的あるいは優位に立つ事業を持つ企業や高いブランド力を持つ企業です。

ウォーレン・バフェットの成功の秘訣

バフェットの成功は偶然の産物ではなく、長年の洞察に基づく資産運用戦略とその実行力によるものと考えられます。ここでは、そのバフェットの投資手法を探っていきます。バフェットがどのようにして膨大な富を築き上げ、何十年にもわたりその地位を維持し続けることができたのか、その成功の秘訣を探求します。

ウォーレン・バフェットの投資手法

例えばバ社の保有銘柄であればIBM、コカ・コーラ、P&G、アメリカン・エキスプレス、ウォルマートなどは、社名を聞けば事業内容や商品、市場での優位性が容易に思い浮かぶでしょう。またバ社の最大投資先となるウェルズ・ファーゴは、日本での知名度は低いが個人向けローンでは米国内トップクラスの優良銀行です。

これは、株式の価値を評価する際に、会社の本質的な価値を見定めるという方法です。バフェットは、株式を単なる取引の対象としてではなく、会社そのものを所有するという視点から見ます。また、優れた経営陣を持つ会社なのかを調査します。バフェットが経営陣の能力と誠実さを重視しているからです。

そして短期の値上がり・値下がりに惑わされず中長期にわたる保有で企業の成長に見合う配当を手にする一方、投資判断に変更があれば売却して十分な利益を確保しています。近年バ社が買い増ししているIBM株は高値圏での購入と疑問視する声もありますが、こちらはバリュー株というより成長株としての評価といえるでしょう。「並の企業を安く買うよりも、優良企業を適正な値段で買う方がずっと良い」というバフェットの言葉がそのまま当てはまる事例です。

バフェットの投資法は単純に数字だけを見て判断できるものではありませんが、あえて挙げるなら株主資本利益率(ROE)や売上高営業利益率が継続的に高いこと、安定成長が継続していること、利益に対して有利子負債が適性範囲に収まっていることでしょうか。数値以外の面では事業内容の分かりやすさ・単純さや経営者の能力・意欲、事業の将来性が材料となります。

また、バフェットは長期保有を推奨しています。彼の有名な言葉に「好きな保有期間は永遠」というものがあります。これは、短期的な市場の上下に惑わされず、長期的に価値を増やしていく会社に投資するという彼の考え方を示しています。

ウォーレン・バフェットの資産運用戦略は、深い洞察力と堅実さに基づいています。それは、時間をかけて価値を築くという信念の表れであり、その成功はバフェットのこの戦略の証明といえるでしょう。

ウォーレン・バフェットの投資哲学から見る日本の新NISA

ここでは、株式投資の基礎知識に触れ、世界最高の投資家と称されるウォーレン・バフェットの投資哲学を通して、日本の個人投資家にとって重要な制度である新NISA(少額投資非課税制度)について解説していきます。

株式投資の基礎知識

株式投資は、企業の株式を購入し、その成長や利益を共有することを目指す投資手法です。投資家は、企業が利益を出した際に配当として分配される利益(インカムゲイン)を得るか、株式の価格が上昇した際にそれを売却して利益(キャピタルゲイン)を得ることを目標とします。

株式投資には、主に2つの戦略があります。1つ目は、先に述べたバフェットが用いている手法で、長期的に価値を増やす企業の株式を購入し、その成長を待つ「バリュー投資」です。2つ目は、短期的な市場の動きを利用する「トレード」で、株価の上昇や下降を予測して利益を得ます。トレードの種類として「デイトレード」、「スイングトレード」、「スキャルピング」などがありますが、市場の変動性を利用して利益を出すため、経済的な知識や技術的なスキルが必要となります。

株式投資を行う際は、リスク管理が重要です。すべての投資はリスクをともないますが、それを理解し、自分の投資目標とリスク許容度に合わせて投資することが求められます。また、投資先の企業をしっかりと理解し、その業績や市場環境を常にチェックすることも大切です。

株式投資は、資産を増やす手段の1つですが、その成功は知識と経験、そして適切な戦略によるものです。基礎知識を身につけ、慎重に投資を行うことで、株式投資の世界で成功を収めることが可能になります。

バフェット流投資法と新NISAの相乗効果

NISA(少額投資非課税制度)とは、日本の個人投資家が一定の範囲内で行う株式や投資信託の投資金における売却益と配当にかかる税率を非課税にする制度です。

2014年に開始された「一般NISA」は、年間120万円までの投資に対する利益が非課税となる制度でした。しかし、この制度は5年間の期限付きで、その期限が過ぎると原則として課税されるという問題がありました。

これに対して、2018年に「つみたてNISA」が導入されました。「つみたてNISA」では、年間40万円までの投資に対する利益が非課税となり、この制度の利用期間は20年間と長期にわたって投資することが可能となりました。

これらを一部改定し拡充したのが、2024年1月から始まった新NISAです。それまでの「つみたてNISA」は「つみたて投資枠」、「一般NISA」は「成長投資枠」となり、年間投資枠が拡張されるだけでなく、併用もできるようになりました。

また、非課税保有期間が無期限となったことで、投資家はより長期的な資産形成が可能となり、バフェットの投資手法である長期保有とも合致します。投資家はバフェットの「購入した株式は永遠に保有し続ける」という哲学を追求しやすくなりました。長期間保有することで複利効果を最大限に利用し、資産を増やすことが可能となります。

新NISAの「成長投資枠」を利用して投資を始めるためには、まず投資対象企業の選定が必要です。その際、バフェットの投資哲学に基づき、企業の財務情報を理解し、将来性を評価するスキルが求められます。また、市場の一時的な動きに惑わされず、自己の判断に基づいて冷静に投資を行う姿勢も重要となります。

ウォーレン・バフェットの言葉

バフェットの知恵と人間性は、金融の世界だけでなく我々の生活にも影響を及ぼしています。ここでは、バフェットの妻に対しての言葉と、彼の慈善活動に対する独自の考え方を紹介します。これらのエピソードからも、バフェットの深い洞察力と人間愛、そして社会への貢献への強い意志が伺えます。

妻への遺言

2014年のバ社の株主への手紙の中で、自分が亡くなった後に妻が受け取る遺産について、その90%をS&P 500の低コストインデックスファンドに、残りの10%を短期国債へ投資するよう依頼したことが触れられています。この遺言は、バフェット自身が生涯を通じて採用してきた投資哲学を反映しています。つまり、長期的に見て、広範な株式に分散投資を行う低コストのインデックスファンドは、一般的な個別株投資や高額な運用料を取るアクティブファンドよりも優れたパフォーマンスを発揮するという信念です。

ウォーレン・バフェットの慈善活動

ウォーレン・バフェットはまた慈善活動にも熱心で、世界でも最も寛大な慈善家の一人として知られています。

彼は2006年に、自身が保有するバ社の株式を段階的に慈善団体に寄付することを発表しました。その大部分は「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」へ寄付されていく見通しです。

また、バフェットはビル・ゲイツと共に「ギビング・プレッジ」を立ち上げ、富裕層に対して富の半分以上を慈善に使うことを公約するよう運動を行っています。

バフェットは「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」以外にも複数の慈善団体へ寄付を行っています。

そのひとつである「スーザン・トンプソン・バフェット財団」は、ウォーレン・バフェットの最初の妻であるスーザン・トンプソン・バフェットの名前を冠した慈善団体です。

この財団は、教育、家族計画、社会問題に対する研究など、幅広い分野でのプロジェクトを支援しています。特に、全米の大学生に対して奨学金を提供するプログラムでは、多くの学生が高等教育を受ける機会を得ています。
また、世界の女性と子どもの健康と権利を向上させるためのプログラムにも多額の資金を提供しています。

そのほか、彼の父の名前にちなんで名付けられた「ハワード・G・バフェット財団」、バフェットの息子ピーター・バフェットが2006年に設立した「ノヴォ財団」、バフェットの娘スーザン・バフェットが創設した「シャーウッド財団」にも寄付していて、2023年の時点で、バフェットの生涯の累計寄付額が515億ドルに達したと報じされました。

これらの活動を通じて、バフェットは自身の巨大な富を社会に還元し、世界のさまざまな問題の解決に貢献しています。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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