先祖の調べ方とは?戸籍はいつまでさかのぼれるのか~経営者のための「家系図づくり」[第2回]

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記事公開日:2020/02/26    最終更新日:2023/04/19

いま、経営者の間で「家系図づくり」が静かなブームになっています。

一見、経営者と家系図と聞くと、関係ないことのように思えるでしょう。しかし歴代の経営者の教えや功績を大切にする業歴の長い企業では、「経営者の先祖が何者であったのか」「経営者の先祖が何をしたのか」を後世に伝えるために、家系図が用いられているのです。

本連載では、家系図の基礎知識から作り方まで紹介していきます。今回は、家系図づくりの第一歩となる「先祖の調べ方」について解説します。

先祖の名前と居住地の調べ方、戸籍はいつまでさかのぼれるのか

家系図づくりは、自身のルーツを辿る家系調査から始まります。自分の両親、さらにその両親(自分から見たら祖父母)、さらにその両親(自分から見たら曾祖父母)……と先祖を辿っていきます。1代を20年と計算していくと、10代遡ると江戸時代末期、20代遡ると江戸時代初期、30代遡ると室町時代になります。

そして、先祖はねずみ算式に増えていくので、10代前で1024人、20代前で104万8576人、27代前で1億人を超え、30代前には10億7374万1824人もの先祖がいたことになります。

これだけ考えても、先祖を辿ることは大変な作業であり、またロマンのあることがわかるでしょう。

最適な家系調査は調べる時代によって異なる

先祖を調べる家系調査の方法は、戸籍の取得、過去帳の閲覧、現地調査など、色々な方法がありますが(関連記事:『家系図づくりに必要な5つの情報源とは?~経営者のための「家系図づくり」[第1回]』)、調べる時代によって、最適なものは変わります。

まず江戸末期~明治時代初期、だいたい150~200年前までは戸籍調査をしていきます。戸籍とは、家族単位で国民の身分関係を証明する公的な台帳、つまり家族が記載された書類です。現在取得できる一番古い戸籍は「明治19(1886)年式戸籍」で、世代にすると平均4~5代前まで遡ることができます。

江戸時代には、日本国民はどこかの寺の檀家にならなければならないという寺請制度があり、基本的に全国民の過去帳が菩提寺に備え付けられていました。

そのため戸籍調査で重要なのは、何代前まで遡れたか、ではなく、先祖がどこに住み、何という名前だったか、ということです。それがわかると、家系調査は明治時代より前、江戸時代まで遡れる可能性が広がります。

戦国時代が先祖をさかのぼれる限界点

戸籍制度ができる前の調査は、大きく①~⑤があります。

戸籍制度ができる以前の先祖を調べる方法

① 基礎的な苗字辞典や地名辞典、旧土地台帳を集める

② 地元の郷土誌や古文書の調査

③ 中世古代系図文献の調査

④ 親族様含め本籍地付近に住む同姓の方にアンケートを取り、菩提寺や家紋、当家との関係、過去帳の有無を確認

⑤ 菩提寺に墓や過去帳の有無の確認

調査には「過去帳」が重要

そのなかで重要なのが、先祖の戒名(=死後の名前)や俗名(=生前の名前)、没年が書かれた帳簿である過去帳です。江戸時代は人の移動に制限があり、寺の変更にも制限がありました。そのため、1つの寺に先祖代々葬られているケースが高く、一気に江戸時代初期(約400年前)まで判明する可能性もでてきます。

また先祖が武士の場合、藩(=江戸時代の大名の支配領域)に提出した武士時代の系図が見つかることもあります。その場合は過去帳に頼らずに一気に遡れる可能性がでてきます。

さらに江戸時代より前の戦国時代の調査はどうでしょうか。戦国時代は資料が少なく、また人の移動が自由だった時代であったため、家系調査のひとつの限界点とされています。

苗字で1000年前の先祖との繋がりを調べる方法も

ここで、間に何代分か、およそ数十年~数百年間の空白期間ができるかもしれませんが、1000年ほど前からの大きな家系の流れを把握できる可能性がまだ残っています。これまでは家系を遡ってきましたが、今度は逆に家系を下る、つまり過去から現代に向かって考えていく、ということを試していくのです。

苗字の発祥が先祖を知るカギ

歴史人口学から見て、現代人のルーツの大半は古代・中世の名族に結びつくといわれています。そのなかで特に多くの苗字を生み出した名族は、奈良時代から平安時代にかけて権威を振るった「源」「平」「藤原」「橘」の4つの姓になります。

経済力や武力が優れていた名家ほど子孫を残しやすく、それ以外は滅び去り、淘汰されていった可能性が高く、苗字の発祥が分かれば、戸籍や過去帳の調査で判明した時代と結びつけることができるのです。

苗字は苗字辞典を使えば、そのいわれがわかります。苗字辞典で代表的なのが『姓氏家系大辞典』(角川書店)で、この本は大きな図書館であればだいたい所蔵されています。ここで例として、今現在、日本で一番多い苗字とされている「佐藤」を調べてみましょう。

苗字の調査の事例

佐藤の冒頭には「藤原秀郷の後胤・公清より~」という記述があります。後胤(こういん)とは子孫の意で、後裔という言い方もされます。つまり佐藤姓は、先祖が藤原家であったということがわかるわけです。

また佐藤の項目には備後の佐藤氏、安芸の佐藤氏、土佐の佐藤氏、薩摩の佐藤氏……と58もの佐藤姓のルーツが記載されています。戸籍調査等で調べることのできた一番古い先祖の居住地がわかれば、その項目を見ます。例えば広島県の人であったことがわかっていれば、44項目の「備後の佐藤氏」を見てみます。そこには「桑田氏の家士に佐藤氏あり」という記述があります。さらに「桑田」姓を調べてみると、4の項目に「大友氏流備前国の豪族にして福山志料に~又、備後の古城記に~家士に桑田~」という記述があります。広島県の佐藤氏が仕えた桑田氏は、この人だったのではないかと見当をつけることができるというわけです。

このように、苗字辞典を使えば、多面的に自身のルーツを調べることができます。もちろん、江戸時代以前には、現在の戸籍のような公的な資料は残っておらず、誰もその内容を保証してくれません。これについては血のつながりを証明するというよりも、「精神的な繋がりを知る」という意味合いが強くなると考えるべきなのではないでしょうか。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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