自分のルーツを遡る「家系図」はどのように作成すればいいのか?~経営者のための「家系図づくり」[第4回]

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いま、経営者の間で「家系図づくり」が静かなブームになっています。

経営者と家系図と聞くと、あまり関係ないことのように思えるかもしれません。しかし歴代の経営者の教えや功績を大切にする業歴の長い企業では、「経営者の先祖が何者であったのか」「経営者の先祖が何をしたのか」を後世に伝えるために、家系図が用いられているのです。

本連載では、家系図の基礎知識から作り方まで紹介していきます。今回は、家系図作成時のルールについてみていきましょう。

家系図に正式なフォーマットはあるのか?

静かなブームとなっている家系図ですが、世間の大半の人は作成経験を持ちません。このため「どうやって書くべきなのか?」と迷ってしまう人も多いでしょう。

実は家系図に正式な書き方というものはなく、フォーマットは自由。ある程度見た目が美しく、規則性の感じられる配置の中に、祖先へのリスペクトが込められていれば良いのです。そうは言っても、あまりに斬新な表記では重みがないので、一般的に存在する家系図を雛形にしていくと良いでしょう。

【家系図の代表例】
・横系図…横軸に展開していくので、最終的には巻物のかたちで納める
・縦系図(縦/横型)…縦軸に展開していくので、最終的には掛け軸などのかたちで納める

なお格調ある家系図は、一般的に毛筆でしたためられています。普段から書道等の嗜みのある人でしたら話は別ですが、家系図作成に際して同時に毛筆にも挑戦してみようとすることは、心得の無い初心者にはハードルが高いでしょう。さらに書き損じが許されないことはもちろん、その日の天候によって墨の濃淡が生じやすいため、素早く一日で仕上げる必要も出てきます。

また家系図にはたくさんの「線(=系線)」が登場してきますが、こちらを真っ直ぐ正確に、定規を当てたように描くのは、プロでも至難の業。実際、毛筆を得意とする業者から「家系図作成には対応できない」との答えが返ってくることもあります。依頼者はまず家系図作成の専門家を探すことが先決。そのうえで、彼らに記して欲しい内容をまとめていくと良いでしょう。

「そこまで本格的でなくても良い。冊子形式でこざっぱりとした家系図を作れないだろうか」という場合には、「イラストレーターやエクセルなどのPCソフトを使用した簡易な家系図」を作成可能な業者に依頼するという選択肢もあります。

こうした場合でも「表紙に和紙を使用する」「家紋を入れる」などの注文はできるはずなので、それなりに見栄えの良い仕上がりが期待できます。何より、毛筆の巻物や掛け軸形式の家系図作成に比べ、作成コストを抑えることが可能となるでしょう。

家系図には何をどこまで記載すべきか?

資料さえ残存していれば、家系図に記載する先祖の数は無限大になります。10代遡れば1,000人以上、30代遡れば10億人以上になるので、具体的な線引きを設けなくてはなりません。

まず記載したいのは「直系の先祖・子孫」です。作成者にとっては最も近しい関係にあたりますので、資料やスペースの許す限り、情報を遡っていきたいものです。また「直系先祖の兄弟姉妹」まで記載する範囲を広げておくと、厚みのある家系図としてより見栄えが良くなるでしょう。

ただし「直系先祖の兄弟姉妹の配偶者・子供」にまで範囲を広げてしまうと、かなりのスペースが必要になってきます。優先したい先祖の資料が多く残っているという場合には、全体のバランスを見ながら掲載の有無を検討するようにします。

家系図の表記ルールを知る

家系図には以下のような表記ルールがあります。

■人物の関係により、系線の表記が異なる

家系図には、家系に属する多くの人々の名前が掲載されます。その関係性を表現するのが「系線」です。

まず夫Aと妻Bは並列に表記し、その間は二重の系線で繋ぎましょう。また夫婦の間に生まれた子供は、二重系線の間から一本の系線を伸ばし、表記します。子供が何人かいる場合は、一本の系線を途中から分けるかたちで子供C、子供Dの表記に繋いでいきます(養子Eがいるという場合、Eに繋がる線だけを二重系線にする)。その際、年長者を右側から順番に表記していきましょう。

なお縦系図の場合はスペースの許す限り系譜が続き、横系図の場合は親、子供などひとつの単位ごとに記載を続けながら左方向へ進行。最終的に巻物のかたちでまとめられます。

■再婚があった場合は元夫婦を一本線で結ぶ

夫Aが妻Bと離婚し、妻Fと再婚したという場合の表記についてです(以下、妻Bが夫Aと離婚し、夫Fと再婚したという場合も同様)。

AとBの間は二重系線ではなく一本の系線で繋ぎ、AとFの間を二重系線で繋ぐようにしましょう。BとFの間にそれぞれ子供を儲けていた場合、1.で紹介した表記法と同様にすべてを記載します。ただし前妻Bの名前は再婚相手のFに比べ小さく表記します。

前妻Bとの間に子供を儲けなかったという場合、Bは「家系に深く関わらなかった人物」と解釈し、家系図に記載しないこともあります。ただし夫婦関係の悪化による離婚等ではなく「病気や事故などで子供を授かる前に、Bが亡くなってしまった」という場合には、なるべく記載するようにします。

なお家系図においては性別、世代などで分け隔てを生むことなく、平等に表記していくことが、ルールの一つとなっています。

■名前以外に表記する事柄

シンプルな家系図は先祖の名前のみを記載するかたちで作成されますが、希望によってはより細かな情報を記載した精緻な内容を目指すことも可能です。

たとえば人の生年・没年月日、続柄や性別、本籍地、妻の旧姓など。あまり情報が多過ぎると仕上がりが見づらいものとなり、また作成にかかる労力が増加してしまうので、全体量を見ながら調整していくようにしましょう。

多くの場合、家系図の作成は外部の専門家へ依頼します。ただし丸投げでは物足りませんし、愛着も湧きません。家系図に記載するための情報を自身の手で探し、手書きの簡易表やエクセルなどにわかりやすくまとめたうえで依頼するのが、最良の方法と言えそうです。

先祖の情報を数代前まで遡るなかで自らのルーツを再確認する。それは素晴らしい体験に違いありません。作成の過程で得られる感動を大切にしながら、家系図づくりを進めてみてはいかがでしょうか。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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