「家系図づくり」で戸籍を取るなら、1日でも早いほうがいい理由とは? ~経営者のための「家系図づくり」[第1回]

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いま、経営者の間で「家系図づくり」が静かなブームになっています。

一見、経営者と家系図と聞くと、関係ないことのように思えるでしょう。しかし歴代の経営者の教えや功績を大切にする長寿企業では、「経営者の先祖が何者であったのか」「経営者の先祖が何をしたのか」を後世に伝えるために、家系図が用いられているのです。

本連載では、長寿企業でも実践されている、家系図の基礎知識からつくり方まで紹介していきます。

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「家系図づくり」は相続・事業承継でも役に立つ

大手信用調査機関の調査によると、2019年時点で業歴100年以上の長寿企業の数は、日本全国に約3万3000社もあります。企業を継続していくには、経営者が業績を重ね、それを次世代に承継していくしか方法はありません。だからこそ、経営者は先祖から伝わる教えや功績を大切にし、「もっと先祖のことを知りたい」という探求心を強くするのでしょう。経営者の間で家系図が人気なのは、そのような背景があるのです。

実は家系図づくりは、欧米諸国で大変人気で、ライフワークとして取り組む人もいます。先祖を遡り自分のルーツを調べていく過程で、色々な人種や民族との関係性を知り、「自分がどうしてここに存在しているのか?」という哲学的疑問が晴れていくから、といわれています。

また家系図は遺産相続においても役に立ちます。相続が発生したときに、思わぬところから相続人が現れてトラブルになった、という話を聞いたことはないでしょうか? 相続は被相続人(=亡くなった方)との関係性で、相続割合が決まります。相続人は何人いて、優先順位はどのようになっているのか。遺産相続は「争族」とも呼ばれるように、親族間のトラブルに発展することがあります。遺産相続をスムーズに行い、大切な親族と良好な関係を続けるために家系図は役に立つのです。

事業承継は事業の相続とも言えます。中小企業では、事業(企業)と経営者個人の資産・経理が明確に分離されておらず、事業承継の準備に時間がかかることがあります。新たな相続人が現れると、さらに複雑になるでしょう。
中小企業の経営者は、家系図づくりを検討してみてはいかがでしょうか。

家系図づくりに必要な5つの情報源

家系図づくりには、先祖に関わるさまざまな情報が必要ですから、まずは情報や資料を収集することから始めなければなりません。では何を参考にして情報を集めていけばいいのでしょうか。役立つ情報源の代表的なものをみていきましょう。

戸籍

家系図づくりで、まず初めに行うのが戸籍調査です。戸籍は家系図づくりにおいて、最も重要で信頼性のある情報となるでしょう。スムーズにいけば150年~200年前(江戸時代後期から明治時代)の先祖まで辿ることができます。また先祖の戸籍に掲載されている情報を丁寧に調べてたどっていけば、家族関係や兄弟関係の詳細がわかり、家系図に広がりを持たせることができます。長寿企業においては、その時代の事業に影響を与えた人物や経営者の環境について理解が深まるかもしれません。

除籍

一般的に除籍とは、戸籍に在籍されている人が、転籍・死亡・婚姻等の事由により、その戸籍から除かれることをいいます。また、前述のような理由で除籍され、最終的に戸籍に誰もいない状態になるとその戸籍は閉じられ、その閉じられた戸籍のことも除籍と呼びます。

なお、後者の意味での除籍の保存期間は、除籍になった翌年度から起算して80年でしたが、2010年の法改正により150年に変更されました。それ以前の除籍は様式により保存期限が異なります。保存期間が過ぎた除籍の保管を続けるか否かは各自治体の判断によります。つまり、古い除籍は2010年の法改正前に廃棄され、すでに取得できない場合があります。

家紋

家紋が一般に広がったのは江戸時代といわれていますが、家紋によって家柄や地位を推測することができます。もし自分の家の家紋がわからない場合は、墓石や位牌などに書かれていることが多いので確認してみるといいでしょう。家紋といえば苗字と関連したものを想像します。実際に関連するモチーフ(柄)を使用しているものもありますが、同じ苗字でもまったく違うデザインの家紋を使用していることもあります。自分の家だけでなく、親族の家紋も調べていくと、家紋の由来、変遷、親族間での違いが分かり、一族の情報がよりクリアになるでしょう。

過去帳

現在の戸籍で辿れるのは、近代日本までです。それより前の家系を調べるなら、「過去帳」などの、いわゆる「昔の戸籍」にあたる情報を調べる必要があります。過去帳は仏具のひとつで、故人の戒名や俗名、死亡年月日、享年などを記しておく帳簿です。現在の戸籍のように役所で保管されているものではなく、地域ごとに寺院を中心に存在します。そのため戸籍で最後に辿り着いた情報から、先祖が住んでいただろう地域の菩提寺などに足を運ぶ必要があります。たとえ先祖の菩薩寺がわかったとしても、必ず過去帳が存在するとは限らず、また閲覧の許可が下りない場合もあります。閲覧できた場合は、戸籍ではわかりえない時代までさかのぼり、多くの情報を得られる可能性が開けるでしょう。

現地調査

現地調査は、文字どおり先祖の所縁のある土地を訪れ、現地の人たちに話を聞いて回ることを指します。たとえ有力な情報が得られなくても、先祖に所縁のあった土地を直に感じることができる経験は、かけがえのないものになるはずです。基本的には、戸籍調査が終わった後に、その段階で一番古い先祖の所縁の土地から出向いていくのが、現地調査の効率的な始め方です。

「古い戸籍」は続々と破棄されている

戸籍は現在の本籍地(多くの場合は現在の居住地)の自治体に保管されています。先祖たちの戸籍も、それぞれが住んでいた土地の自治体に保管されています。戸籍法が改正される1955年より前の戸籍(=改正原戸籍)には、当時の家制度をふまえた家単位の記載がされています。つまり家族のほか、祖父や孫、兄弟の配偶者やその子どもまで記載されているのです。そのため古い戸籍を取得できれば、数世代前の先祖が一気に判明する可能性がでてきます。

保管中の戸籍や除籍は、役所に申請して謄本を取得し、見ることができます。
では戸籍はいつまで保管されているのでしょうか。現在の戸籍は、戸籍に記載されている全員が死亡したり、他の役所の管轄に転籍したりしない限り、永遠に保管されます。除籍は、先述のとおり除籍となった翌年度から150年で廃棄されます。改正原戸籍も同様です。保存期間は除籍と同じく、2010年の法改正により、80年から150年に変更されました。平均寿命が延びたことによる改正でしたので、今後、さらに平均寿命が延びれば、保存期間が延びる可能性はあります。

保存期間が過ぎた除籍・原戸籍は完全に破棄され、見ることはできなくなります。戸籍の破棄に通知義務はありません。保管期限が過ぎれば、その当日や役所の年度末などに、誰にも通知されることなく破棄されます。
自治体によっては保管期間が過ぎても除籍・現戸籍が残されている場合がありますが、戸籍法に規定されているため、期限の切れた戸籍謄本等を取得できることはありません。

このように、現在確認できる戸籍が、子孫の代でも確認できるとは限りません。特に古い戸籍は、遠からず破棄されていくことになるでしょう。経営者は、家族や家業のルーツを探り引き継いでいくためには、1日でも早く戸籍を確認するほうが良いかもしれません。

 
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著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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