CFOに求められるファイナンシャルスキルとは?
~「会社の番頭」の選び方・育て方[第2回]

ひと昔前、会社の役職といえば、会長、社長、部長などと、日本語で統一されていましたが、近年はすっかり横文字の役職名も定着しました。

最もわかりやすい例が、CEO(Chief Executive Officer)です。日本語に訳すと最高経営責任者で、旧来の役職名の中では代表取締役が最も近いでしょう。日本では、代表取締役と社長職(President)を兼任していることが多いため、CEOと社長がよく混同されています。そしてここ数年、新たに認知され始めているのがCFO(Chief Financial Officer)です。

本連載では、CFOの職務内容、必要なスキル、そして育成法などについて解説していきます。今回は、CFOに求められるスキルのうち、ファイナンシャルスキルについて紹介します。

CFOの「基本のキ」であるファイナンシャルスキル

CFOは企業の経営陣のなかで、財務の責任者となるポジションです。会社の資金情報を全体的に把握している立場であり、具体的な数字を活用して、今後の経営方針に影響を与えます。また他の経営陣から求められる要求に対し、財務面から意思決定を行うという特徴を持っています。

さらにCFOは財務だけでなく、経理と税務という企業内のファイナンシャル業務すべてを統括していく立場でもあります。資金や売上をしっかりと管理し、掌握していなくてはなりません。税務も加えたすべてにおいて具体的な情報を持ち、そのうえで経営企画にも参画できる人材がCFOにふさわしいと言えるでしょう。つまりCFOにとって、ファイナンシャル業務に関わるスキルは、「基本のキ」にあたるのです。

CFOが統括するファイナンシャル業務とは、以下の通りです。

■財務…企業内のキャッシュフローを管理し、必要に応じて資金調達を行う。
(総合計画立案、キャッシュフロー管理、資金調達・運用、売上債権・買掛債務・負債管理、キャッシュマネジメント、IPOなど)

■経理…企業の売上を把握したうえで経費を処理し、具体的な利益を算出する。(総合計画立案、経理・決算処理、会計デューデリジェンスなど)

■税務…各種の税、および税務調査対応。
(総合計画立案、各種税務など)

CFOはファイナンシャル業務の最高責任者なので、これらの実務を直接担当するわけではありません。とは言えいずれの総合計画立案においても、CFOのスキルに基づく手腕が、大いに発揮されることになるでしょう。

ファイナンシャルスキルはどのように向上するか

CFOの業務のなかでも財務については、大企業での就業経験が大きく物を言います。大企業の財務部で経験した本格的な資金調達は、CFOにとって貴重な財産となるからです。こうした業務に5~10年間程度身を投じていた人物は、CFO候補として有望な存在といえるでしょう。

一方、経理や税務については、中小企業での経験が有用となります。大企業の場合は社員数が多いため、なかなか重要な業務を担当できないからです。中小企業で経理・税務のさまざまな行程を経験することが、CFOとしての基盤をより確かなものにしていきます。

つまり、大企業で実践的に財務を学んだ後、中小企業で経理の要職に就いた人物であれば、素地が固まっていると考えて良いでしょう。

なおファイナンシャル業務に関する資格としては、財務会計や監査、そして税法についてひと通りの知識を修めた証となる公認会計士の取得が、評価のバロメーターのひとつとなり得ます。さらにUSCPA(アメリカ公認会計士)を取得している人もいるでしょう。その受験においては出題・解答ともに英語が使用されるため、必然的に語学力も高い人物であることが証明されます。

CFOのファイナンシャルスキルと企業規模

冒頭でも述べたように、CFOはさまざまなスキルを要求される要職であり、ファイナンシャルスキルのほか、企業の経営企画にまつわるスキルも必要不可欠です。

しかしひと口にCFOといっても、企業規模により発揮すべきスキルには強弱が生じてきます。

意外にもCFOの影響力が弱いのは、国内の大企業です。社員の層が厚いことで、本来の役割からは外れ、先進的な組織体であることの象徴のような役回りになってしまうケースがあるようです。こうした事情を鑑み「日本の大企業では、プロフェッショナルなCFOが育たない」と嘆く声も挙がっています。逆にCFO発祥の地であるアメリカに本社を持つ外資系企業では、ファイナンシャル業務より、経営企画およびマネジメント業務に能力を発揮するCFOが高く評価される傾向にあります。

CFOの業務内容のなかで、ファイナンシャルに大きな比重がかかってくるのは、中小企業、ベンチャー企業、そして再生企業です。

まず中小・ベンチャー企業の場合、まだ経営が多角化していないことから、経営計画や戦略についての発案はそれほど必要とされていなく、本来の商品力で企業基盤を確かなものしていく段階にあります。こうした企業のCFOは、ファイナンシャル業務を中心に、企業価値の検証などの業務を遂行しながら、CEOの役割を補佐していくことになるでしょう。

CFOが最大限のファイナンシャルスキル発揮を求められるのは再生企業です。債務超過や赤字収支など、財務上の問題を抱えた企業が進退を賭けている状況下にあるため、当然だといえます。もちろん財務面で早急に結果を出しながら、CEOやCOOと同等の立場で経営企画業務にも携わっていかなくてはならず、その責任は重大です。

CFOに求められるスキルは、ファイナンシャル業務だけでも多岐に渡ります。経験豊かな人物でなければ務まらない職だといえるでしょう。

 

[人気記事はこちら]
100年企業レポート vol.01 全国編
事業承継税制の上手な利用ポイント
間違いのない後継者の選び方、育て方
企業の不動産財務分析から見えること
オフィスツールと労働生産性の考察

記事一覧に戻る

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。 ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する 調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

100年企業戦略研究所 ロゴ