「ダイバーシティ・マネジメント」とは?企業のグローバル展開には必須の経営戦略

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※百計オンラインの過去記事(2016/03/15公開)より転載

ダイバーシティ・マネジメントの目的は「経営効果を上げること」

「ダイバーシティ・マネジメント」とは、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供し、価値の創造につなげる経営」を指します。つまり、社員がいきいきと働ける場を提供することとも言えますが、福利厚生だけを目的としたものではありません。本当の目的は多様な人材がその能力を発揮することで問題の発見や解決につなげ、結果として経営上の成果を上げることです。

グローバル化が進む現在、企業は多様化する顧客ニーズを的確にとらえ、新たな収益機会を生み出す必要があります。また、急速に変化する市場環境にも柔軟に対応し、ピンチをチャンスに変える素早い行動力も求められています。

このように多様化するニーズや環境の変化に対応するために、社員の質を多様化し、その能力を発揮できる場を提供することで、企業はこれまでにない価値を継続的に創造することができるのではないでしょうか。

日本のダイバーシティ・マネジメントの実態

ダイバーシティ・マネジメントは本来、経営成果の獲得を目的とするものですが、日本の場合は収益性というよりは採用比率、登用比率といった機会均等を図る指標が成果として求められる傾向にあるようです。

日本に導入されるにあたり、雇用形態や勤務形態に焦点があてられ、企業の社会的責任や人権的な配慮にとどまる部分が多くありました。背景として、米国などと比べ民族や人種の違いを意識することが日常生活において少ないこと、ライフスタイルの選択がそれほど多様化していないことなどが影響していると見受けられます。また、日本では女性が仕事と生活を両立することが難しいケースもあり、こうした実情も理由としてうかがえます。

一方で、経済産業省は2012年度からダイバーシティ・マネジメントによって企業価値が向上した企業を表彰する取り組みを始め、2015年度からは新たなフェーズとして重点テーマを設定した「新・ダイバーシティ経営企業100選」を実施しています。また、同省は東京証券取引所と共同で女性の活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として選定、「女性のキャリア支援」と「仕事と家庭の両立支援」の二つの側面からスコアリングを行い、財務面でパフォーマンスのよい企業を公式ホームページで発表しています。こうした官・民を挙げての取り組みにより、日本におけるダイバーシティ・マネジメントのさらなる進展が今後期待されています。

経営効果にはブランドイメージの向上などの相乗効果も

ダイバーシティ・マネジメントの経営効果として、主に以下の4つが挙げられます。

1. 新規性ある商品の開発
多様な人材が異なる分野の知識・経験・価値観を持ち寄ることで「新しい発想」が生まれ、製品・サービスの新規開発・改良に寄与

2. 経営の効率化
多様な人材が能力を発揮できる働き方を追求することで、製品・サービスを開発・製造・販売する上でのプロセスの効率性を高める

3. ブランドイメージの向上
多様な人材を活用すること、およびそこから生まれる成果によって、顧客や市場などからの評価が高まり、顧客満足度、ブランドイメージの向上に貢献

4. モチベーションの向上
自身の能力を発揮できる環境が整備されることでモチベーションを高め、また働きがいのある職場に変化することが期待できる

ダイバーシティ・マネジメントでは、これら4つの効果が複合的に現れることで、相乗効果を生み出すとされています。先に紹介した経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」のサイトでは、この取り組みによって誕生した商品やサービス、技術革新などのイノベーション事例が紹介されています。また間接的な効果として、顧客満足度や社会的認知度など外的評価の向上、従業員のモチベーションや満足度など職場内での成果もあわせて紹介されています。

具体的には、
・女性管理職者の活躍によるモチベーションの喚起と競争における優位性を獲得
・顧客の課題を発見し解決する生活者視点で女性社員の技術開発が加速
・優秀な女性の活躍による健康美事業、店舗事業の躍進と事業展開
このような事例が挙げられています。

グローバルに事業を展開する企業にとって、ダイバーシティ・マネジメントはもはや不可欠と言えるでしょう。国内でも少子高齢化が進んでいることから、女性や高齢者、外国人など多様な人材を活用することが、企業戦略としてますます重要視されています。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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