労働生産性が大きく変わる!?フレックス制と裁量労働制の違いを解説

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※百計オンラインの過去記事(2018/09/21公開)より転載

働き方改革が叫ばれる現代において、就業時間に関しても新たなルールを用いて運用する企業が増えてきています。その代表とも言えるのが、「フレックス制」と「裁量労働制」の2つの働き方です。どちらも業務の遂行手段や時間配分を従業員の自由にするという部分で似ていますが、実際のところはどういった違いがあるのでしょうか。今回は、経営者として知っておくべき両者の違いについて解説してきます。

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは、従業員自身が日々の労働時間の長さや労働時間の配置(始業及び終業の時刻)を決定することができる制度のことです。ただし、日本におけるフレックスタイム制では、絶対に出社しなければいけないコアタイムと、それ以外の時間帯に分けたフレキシブルタイムを持ち合わせた働き方を示すことが多いです。例えば、1日8時間労働を課す場合、12時から16時からをコアタイムとすれば、8時に出社して16時に退社しても良いし、12時から出社して20時に帰っても良い、とするような働き方です。ざっくりと、「出社時間や退社時間を前倒したり後倒したりできる制度」と考えるとわかりやすいでしょう。

裁量労働制とは

対して裁量労働制とは、一定の業務を行う従業員について、業務の遂行方法や時間配分等の裁量を大幅に委ね、実際に働いた時間とは関係なく、あらかじめ定められた時間(みなし労働時間)で働いたものとみなされる制度のことです。このように表現すると少々小難しく聞こえてしまいますが、要は「与えられた業務を遂行できさえすれば、1週間のうち1日だけしか働かなくても良い」というルールです。フレックスタイムがコアタイムという絶対に働かなければならない時間があり、労働時間に応じた給与を支払うのに対し、裁量労働制ではそれすらも存在せず、労働内容に応じた給与を支払う制度と言えます。いわば、「出社時間をある程度自由に決められるフレックスタイム制」と「その日働くかどうかすら自由に決められる裁量労働制」ということです。

フレックスタイム制、裁量労働制で気を付けておくべきポイントとは

先に解説した情報だけをそのまま受け取ると、従業員にとってはどちらも非常にうれしい制度と言えるでしょう。しかし、懸念すべき材料がないわけではありません。特に裁量労働制の場合、経営者側としては、自分の手が届く範囲でしっかりと従業員を管理していくことができなくなるため、「本当に成果を上げてくれるか」という不安を常に抱かなければいけなくなるでしょう。また、従業員側でも「どうせ同じお金を払うならば少しでもたくさんの成果を上げさせたい」という経営者の意図に基づき、とてつもない量の仕事を任されてしまうこともあるかもしれません。もし仮に毎日寝る間を惜しんで仕事をしたとしても、裁量労働制の場合は与えられた業務に対する給与であるため、報酬がアップすることはありません。こうした背景もあり、裁量労働制は労働者を働かせ放題にさせてしまうルールだという意見もあるぐらいです。

フレックスタイム制に関しても、いくらコアタイムがあるからと言っても社員の集まる時間や帰る時間にバラつきがあるということは、それだけ社内でのコミュニケーションが取りにくくなるということでもあります。従業員に自由を与えることはもちろん大切ではあるが、その分を補填する制度やルールに関しても、同時に見て行くことが必要になるでしょう。

自分たちが最もやりやすいやり方を考えることが大切

フレックスタイム制や裁量労働制に関する話題が騒がれ、良い側面ばかり注目をされるケースが多くなっているからこそ、今回紹介した注意点などは特に気を付けながら今後の対策を進めていった方が良いでしょう。従業員にとっても経営者にとっても、手放しで喜べることばかりではないのが現状です。他が導入しているから導入する、他がやっているから自社でも導入して欲しい、といった単純な考えではなく、本当にそれで自分たちが働きやすくなるのかを真剣に考える必要があります。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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