不動産価格指数(国土交通省)とは【研究員コラム】

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経済指標とは、各国政府や民間企業などによって作られる「経済活動を表す統計」です。1つの指標をとおして定点的に経済を把握することで独自の気付きが得られることがありますし、自身の経済にかかる主張を裏付ける客観的なデータとして経済指標を活用することもできます。

今回、国土交通省の「不動産価格指数」を取り上げ、その性質について見ていきます。

不動産価格指数(不動産価格指数)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html

不動産価格指数(国土交通省)とは

不動産価格指数とは、国土交通省が実施する「不動産の取引価格情報提供制度(不動産取引当事者に対して行ったアンケート調査にもとづいた情報を、国民に対して提供する制度)」で蓄積されたデータなどを活用し、同省が推計した不動産の統計です。

国土交通省のホームページでは、「不動産価格指数(住宅)」「不動産価格指数(商業用不動産)」「不動産取引件数・面積」という3つのExcelが定期的に更新されています。それぞれ、算出期間は2008年4月以降です。実際に不動産の取引がされた月から、統計が公表されるまでの期間は約3カ月で、公表後3カ月間は改訂が行われます。

また、Excelの数字が更新されるだけでなく、プレスリリースも2018年7月以降、ほぼ毎月25日以降に出しています。まれに、2カ月分がまとまって発表されることもあります。実際にExcelで更新された内容の要点を把握するには、プレスリリースを見るのが最適です。

不動産価格指数(住宅)

「不動産価格指数(住宅)」は、住宅総合, 住宅地, 戸建住宅, マンション(区分所有)を対象用途としています。

地域は、全国, ブロック(北海道, 東北, 関東, 北陸, 中部, 近畿, 中国, 四国, 九州, 沖縄), 都市圏(南関東, 名古屋, 京阪神), 都府県(東京都, 愛知県, 大阪府)が対象です。

2010年1~12月までの算術平均(すべての値を足し合わせて、値の数で割ったもの)を 100 として基準化しています。

算出頻度は、月次です。

不動産価格指数(商業用不動産)

「不動産価格指数(商業用不動産)」は、「商業用不動産総合」「建物付土地総合, 店舗, オフィス, 倉庫, 工場, マンション・アパート(一棟)」「土地総合, 商業地, 工業地」を対象用途としています。

地域は、全国, 都市圏別(三大都市圏, 三大都市圏以外の地域, 南関東圏), 都府県別(東京都, 愛知県, 大阪府)が対象です。三大都市圏は、南関東圏(埼玉, 千葉, 東京, 神奈川), 名古屋圏(岐阜, 愛知, 三重), 京阪神圏(京都, 大阪, 兵庫)の総合を指します。

不動産価格指数(住宅)と同様に、2010年1~12 月までの算術平均(すべての値を足し合わせて、値の数で割ったもの)を 100 として基準化しています。

算出頻度は、全国・都市圏では四半期, 都府県は年次です。

不動産取引件数・面積

「不動産取引件数・面積」は、不動産価格指数を補完する目的で、土地と建物が一緒になった取引の件数や面積を示す資料です。対象用途は、戸建住宅, マンション(区分所有), 店舗, オフィス、対象地域は、不動産価格指数(住宅)と同じです。

算出頻度は、月次です。

商業用不動産の推移を可視化したグラフ

「不動産価格指数(商業用不動産)」より、店舗, オフィス, 倉庫, 工場, マンション・アパート(一棟)を用途、全国を地域として作成したグラフを、以下に掲載しました。全国が対象地域となっているデータは、季節特有の傾向を除く「季節調整」がなされています。

不動産価格指数(商業用不動産)

2022年12月19日現在、同年Q2(第2四半期)が最新データであり、2022年においてはどの用途の不動産も2010年平均水準より高いことが読み取れます。

有用な経済指標を活用する

マクロ経済や不動産市況を分析するにあたり、国土交通省の不動産価格指数は有用です。マクロ経済のデータや、地価公示(国土交通省作成)といった別の不動産データとあわせて活用することで、経済に対する視野が広がっていきます。

経済に関心があり独自の分析を行っていきたい方は、まずは1つ観察する経済指標を見つけてみては如何でしょうか。

【参考文献】
国土交通省 不動産価格指数
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html(2022年12月19日閲覧)

著者

安田 憲治

一般社団法人 100年企業戦略研究所 主席研究員

一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。塩路悦朗ゼミで、経済成長に関する研究を行う。 大手総合アミューズメントメント企業で、統計学を活用した最適営業計画自動算出システムを開発し、業績に貢献。データサイエンスの経営戦略への反映や人材育成に取り組む。
現在、株式会社ボルテックスにて、財務戦略や社内データコンサルティング、コラムの執筆に携わる。多摩大学社会的投資研究所客員研究員 。麗澤大学都市不動産科学研究センター客員研究員。
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