「サステナブル」がモノサシになる時代こそ、地方が元気になれる

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大都市圏に対し人口の少ない地方は課題がいくつもあるとされていますが、だからといって少子高齢化時代に地方都市が大都市に変化することはできません。むしろ、マインドセット(固定観念)を新しくすることで、地方も輝くことができると、株式会社ユーグレナ社長の出雲充氏はいいます。社会課題解決を目的とする同社を率いる出雲氏に、その方法をうかがいました。

お話を聞いた方

出雲 充 氏(いずも みつる)

株式会社ユーグレナ 代表取締役社長

1980年広島県生まれ。2002年東京大学農学部卒業。大学時代に訪れたバングラデシュの栄養問題を解決する食材を模索する中出会った微細藻類ユーグレナを活用すべく、大学卒業後勤めていた銀行を退職し、05年8月に株式会社ユーグレナを創業。同年12月、微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養に世界で初めて成功する。14年にバングラデシュの栄養問題解決のためのユーグレナ入りクッキーを届ける活動を開始。18年には日本初となるバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントが竣工、21年にバイオジェット燃料を使った初フライトを実現させた。近著は『サステナブルビジネス 「持続可能性」で判断し、行動する会社へ』(PHP研究所)。

「地方が都市を目指す」ことには限界がある

私たちユーグレナ社の地域拠点は、沖縄の八重山をはじめ日本各地にあります。私は、普段は東京という大都市にいますが、大都市圏以外の地方に行くことも多いです。地域それぞれの異なる環境、風土の中に身を置くと、気分も変わり、頭の中がスッキリした状態でものを考えることができます。

仕事の効率を優先すれば都市のほうが便利なことも多いですが、現在の延長線上にはない新しいことについて思慮を巡らすのなら、私は地方をおすすめします。

また、都市と地方の違いやそれぞれの課題、これからについて聞かれることもよくあります。

一般的には、高齢化や過疎化に直面する地方に課題が山積しており、地方がとても困っている一方、東京などの都市はうまくいっていると思われています。

その前提に立って両者を比べれば、地方には足りないものが多くあるように思え、都市に少しでも近づこうと、足りないものを加えるべく、都市化を進めることになります。

しかし、地方がどんなに努力しても東京のような都市になる日は未来永劫やってきません。それは、金銭的、時間的、物理的な制約を考えてみれば、容易にわかることではないでしょうか。いってみれば、絶対に不可能なことにあこがれ続けているのです。

地方に数々の課題があるように、都市にも都市の課題が数多くあるように私には見えます。都市がうまくいっているという前提が間違っているのではないか。そう考えるのは、私だけではないはずです。

しかしながら、「地方が都市を目指す」というマインドセットを壊すことは容易なことではありません。そのため、今までどおり都市と比べて、「これもない、あれもない、だからこれもほしい、あれもほしい」と足し算で考え、都市を目指すことになります。それだとこれまでと同じ道を進むだけであって何も変わらず、明るい未来は見えてきません。

「短所」ではなく「長所」に目を向けてみる

他方、どういう暮らしをしたいのか、譲れないものは何なのか、本当にほしいものを引き算で考えることができれば、地方のよさが見えてきます。

もちろん、根源的価値は一人ひとり、人によって違います。それを話し合う機会はないので、都市のほうがいいということになりがちですが、自分の根源的価値がわかっている人は、他人に何をいわれようと、好きなところに住んで、大切なもののために生きています。そうした人たちは、地方で幸せな生活を送っていることが多いのではないでしょうか。

ただ、私の目には、現在、地方に住む人たちも都市に住む人たちも、自己肯定感が低く、自信がないように見えます。一方、私のように、性善説でオープンに長期思考で考えていると、人に対しても、地方や都市に対しても、いいところばかりが見えてきます。私の特技は、本人よりもその人の長所に気づくこと。「これが私の短所なんです」といわれても、「えっ? それって長所だから」と私の考えを説明すると、相手は驚くと同時にとても喜んでくれます。長所にフォーカスすれば、誰もが楽しく生きていくことができるのではないでしょうか。

たとえば、地方に住めば、自然を肌で感じることができ、身体性をともなった体験が豊富にできます。デジタル化が進んだ現在では、地方にいても仕事はできますし、地方と都市を行き来して両者の「いいとこどり」をするハイブリッドな生活スタイルを実現することも十分に可能です。

これまではさまざまな理由で実現できなかった、まったく異なる2つのものを結合するハイブリッドこそが、これから先、より大切になってくるのではないかと考えています。

マインドセットを変えて地方企業も「○○初」連発を目指す

私は、2000年以降に成人したミレニアル世代、そして次のZ世代の人たちが15~64歳の生産年齢人口約7,300万人の過半数を占める2025年を境に、これまでの資本主義的価値観からサステナビリティー的価値観に主流が転換し、持続可能な社会へと世界が大きく動き出すと予想しています。

天動説から地動説に変わるような大転換を「パラダイムシフト」と呼びますが、それは過半数の人たちのマインドセットが変わるときに起きます。

ミレニアル世代以降の人たちは、これまでの資本主義に懐疑的なだけでなく、サステナビリティーに大きな価値を見出しています。それは、彼ら彼女らの現在の消費スタイルを見ても明らかでしょう。

ミレニアル世代以降の人たちが過半数になることで、政治が変わり、消費者の商品やサービスを選ぶ基準が変わります。それに対応するため企業の商品づくりやサービス内容も変わります。働き方も変わり、生活の仕方も変わるでしょう。

すべてのこと、あらゆることを「それは持続可能か(サステナブルか)」というモノサシで判断するパラダイムシフトの瞬間が、あと数年で到来すると思っています。

それを楽しみに待っていてほしいのですが、パラダイムシフトは非常に大きな変化なので、現在のマインドセットのままでいると、巨大なストレスにさらされることになります。

ストレスが小さくて済むようにするためには、今から小さく変わり続け、変わりグセをつけておくことが不可欠です。

特に地方の経営者は、古いマインドセットから新しいマインドセットに変わることを強く意識してほしいと思います。なぜなら、新しいマインドセットになった経営者とその会社から、「地方初」そして「日本初」を連発する、地方で輝く会社になることができるからです。

変わり続けることができる企業は、その地方で誰もやったことがない新しいサービスや事業に次々に挑戦し、それを実現し、次々と「○○初」を生み出すことでしょう。そうした企業が地方の中核企業となり、多くの人たちを喜ばせることで、地方がどんどん元気になっていく。そうした中核企業になることを経営者にはぜひ目指してほしいと思います。

これは夢物語でも何でもありません。地方が元気になっていく時代がもうそこまでやっていきている。私はそう確信しています。

[制作協力]株式会社東洋経済新報社

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