経営者にいまおすすめの本6冊 「企業変革」編

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目次

世界経済が急速な勢いで変貌する近年、企業は「変革」の必要性に迫られています。しかし、変革が不可避なものだと気づいても、どこから着手して、どのように進めるべきか、実務経験のないビジネスマンにとってはその手がかりを見つけることさえ難しい課題だと言えるでしょう。そこで、ここではそのヒントとなる6冊を紹介します。これら書籍のどこかに、あなたの会社が必要とする企業変革の概念やノウハウが記されているはずです。

『企業変革の実務  いつ、何を、どの順番で行えば現場は動くか』

小森哲郎著 ダイヤモンド社 3,080円(税込)

誰もが企業変革の「概念」と「実務」を臨場感をもって学べる

著者の小森哲郎氏は、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、事業再生や経営改革をリードするターンアラウンド・マネジャーとして出版社アスキー、カネボウ(現クラシエ)、建デポなどのCEOを歴任した人物であり、本書にはそこで得られた知見とノウハウが凝縮されています。

組織を変革する際には、業種や企業体質に関わらず、普遍的で「再現性の高い方法論」があると小森氏は語ります。また、企業の事業改革を行う際に最も重要なのは「時間軸」であるとし、設定した時計に合わせて必要な改革活動をテンポよく繰り出していけるかどうかが、事業改革を成功させるためのキーになると説明しています。

本書は2部構成。第1部の「理論編」では企業の病巣の分析、企業改革のゴールの明確化、変革プログラムの設計方法などが解説されていますが、第2部の「実践編」では、事業改革を行うためのフェーズを5つに分け、その初期プログラムを6カ月で達成するための具体的ノウハウが詳細に記されています。そのフェーズとは、変革を開始する以前の「準備」に始まり、「新体制立ち上げ」「変革プログラム設計」「本格始動・安定稼働」「成果拡大・増殖」とされています。

各社のCEOを歴任した小森氏の実経験がベースになっていることから、この本における事業改革を行う主体はあくまでCEOであり、その視点から書かれています。そのため、解説はあらゆるステークホルダーとの交渉、役員人事、会議の構成要員に関するノウハウにまで及んでいます。

一方で、とくに第2部においては、事業変革に臨む際の必要なベーシック事案から、経営に直接関わる重要事項までが時間軸を基に一貫して書かれており、経営企画部などに在籍する社内スタッフが自社改革に取り組む際にも、有効なマニュアルとして活躍するはずです。

『企業変革(CX)のリアル・ノウハウ 修羅場の経営改革ストーリー』

木村尚敬、小島隆史、玉木彰著 PHP研究所 1,155円(税込)

小説仕立てで読みやすい、中堅企業のリアルな企業変革

CXとは「コーポレートトランスフォーメーション」の略称であり、企業が持つ価値観を最適化し、組織戦略の改革を実行しながら、企業を根幹から変革することを意味します。

一般的な経営改革では、既存ビジネスモデルの成長を加速させたり、それを変更するにしても軌道修正したりするにとどまることが多い中、CXは、ときに既存の収益構造を自ら積極的に破壊して新たに構築するといった、非連続的な成長に根ざした企業変革が求められます。

本書は小説仕立ての2つの物語によって、CXに取り組むふたりの主人公が葛藤するさまが描かれています。第1部では、大手出版社の経営企画室に所属する部長(40代後半)が、斜陽産業と呼ばれる出版業界である自社に危機感を持ち、CXの概念をベースに中期経営計画を立案。経営コンサルタントとして働く友人のアドバイスを受けつつ、現状維持を望むシニアの本部長と戦いながら、その理念を社内に広げていく過程が描かれています。

一方、第2部は、ワンマン社長に振り回される地方中小企業に勤める財務マン(50代後半)が主人公。メインバンクの担当者から、新規融資を受ける条件として、同行が紹介する経営コンサルタントを社に迎えるよう条件づけられるところから始まります。そのコンサルタント南条氏は、2つの物語に共通して登場する切れ者アドバイザーという設定です。

どちらのストーリーにおいてもCXの第一歩は、自社がどのような事業でどれだけ儲けているかという収益構造を明らかにし、社内ヒアリングを行いながらロスや無駄、非効率の所在を「見える化」する作業から着手しています。

2つの物語の要所には「CXのリアル・ノウハウ」というコラムページが挿入され、具体的知識の理解が得られるよう工夫されています。経験豊かな経営コンサルタント3名が本書を執筆し、本気で会社を変えたいと考えるすべての読者に向けて、CXを極めてわかりやすく紹介しています。

『ハーバード・ビジネス・レビュー 企業変革論文ベスト10  企業変革の教科書』

ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編/DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部訳 ダイヤモンド社 1,980円(税込)

さまざまな角度から企業変革について探求できる

「ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)」とは、アメリカのハーバード・ビジネス・スクールが、1922年に同校の機関紙として創刊した世界最古のマネジメント誌であり、全世界で60万人のビジネスリーダーが愛読する論文集です。その日本語版は1976年からダイヤモンド社によって創刊され、国内ビジネススクールの教材としても活用されています。

その日本語版に掲載された歴代の論文から、企業変革に関するえりすぐりのものを集めて再編。論文とはいえ極めて平易な言葉でつづられているため、どの章もスムーズに読み進めることができます。

全10章で構成されていますが、各章はそれぞれ1名から3名の研究者が監修・執筆を担当しています。その執筆陣にはハーバード・ビジネス・スクールの教授陣だけでなく、ハーバード大学、スタンフォード大学、経営コンサルタント、IBM元CEOなど、著名なスペシャリストが名を連ねています。

各章の論文は、誰もが知る世界企業で実施された事例や、経営者へのインタビューを基にした論説記事などで構成され、さまざまな角度から企業変革について言及されています。

第1章の「企業変革の落とし穴」は1995年に執筆されたもので、企業変革を扱った論文としては最も基礎的な論文と言えます。また、2章の「説得が変革の土壌をつくる」、3章「【インタビュー】IBMバリュー:終わりなき変革を求めて」、5章「ティッピング・ポイント・リーダーシップ」は、変革の場がリアルに感じられる事例紹介の論文です。

4章の「個から始まるしなやかな組織改善」、6章「会社を変えたい人のサバイバルガイド」、7章「自己変革の心理学」は、リーダーやマネジャーの役割にフォーカスした内容であり、8章の「変革成功の『暗号』を解く」、9章の「DICE:変革プロジェクトの管理法」、10章の「プログラム型組織改革の逆説」は、変革の手法について書かれた論考となっています。

HBR誌のポリシーとして、「優れたリーダー人材に貢献する」という編集方針の下、学術誌のような難解さが排されているため、崇高な論説を雑誌感覚で読むことができるはずです。

『企業変革の教科書』

名和高司著 東洋経済新報社 4,180円(税込)

マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、現在は教鞭をとりつつファーストリテイリングや日本電産(現ニデック)など30を超える企業で次世代経営者を指導する著者が、豊かな経験に基づいた多くの事例を交えながら企業変革の方法を解説します。

『両利きの組織をつくる――大企業病を打破する「攻めと守りの経営」』

加藤雅則、チャールズ・A・オライリー、ウリケ・シェーデ著 英治出版 2,090円(税込)

「両利きの経営」とは既存事業と新規事業の両立を意味します。それを実行する際に必要となる経営理論をわかりやすく解説。AGC(旧旭硝子)で実践された事例を基に、破壊的イノベーションや企業変革のための理論が簡潔に解説されています。

『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』

サリム・イスマイル、マイケル・マローン、ユーリ・ファン・ギースト著 日経BP 1,980円(税込) 

シリコンバレーの企業幹部から注目されるシンギュラリティ大学。その専務理事をはじめ、各国で講演を行うコンサルタントや著名ライターなど3名の著者が、ビジネスを指数関数的に急成長させ、企業変革にもつなげられるような「競合より10倍以上の価値を生むビジネス」を徹底分析します。

[編集] 一般社団法人100年企業戦略研究所
[企画・制作協力]東洋経済新報社ブランドスタジオ

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