経営者にいまおすすめの本6冊 「ファイナンス思考」編

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ファイナンスとは、直訳すると「調達」「原資」という意味で、企業がどのように資金を調達し、運用するか、その意思決定を行うことを指します。世界経済が変遷するいま、一人ひとりのビジネスパーソンが財務諸表への理解を深め、数字を意識した意思決定を行うことは、会社全体の経営の質によい影響を与えるはずです。ここに紹介する6冊の書籍は、そうしたファイナンス思考を向上させる大きなヒントとなるでしょう。

『「専門家」以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書』

西山茂著 東洋経済新報社 2,420円(税込)

ファイナンス思考の概念やイメージがわかる入門書

数字の専門家ではなく、あらゆるビジネスパーソンやリーダーを対象に書かれているのが本書。決算書やファイナンスに関する基礎知識、経営に関する数字のポイントなどが平易な言葉でわかりやすく解説されています。

ビジネスリーダーが数字を理解し、現場と数字を結びつけることができれば、数字が意味を持ち、数字が現場を語るようになり、予測の数字にも魂が入ってくる——。そう語る著者の西山茂氏は、早稲田大学ビジネススクールの教授であり、自身が代表を務める会社で会計監査、企業買収支援、株式公開支援、企業研修などを行う公認会計士でもあります。

西山氏は、複雑になりがちな企業の数字をスムーズに理解できるよう、経営に関する数字を「ファイナンス」と「アカウンティング」に大別しています。ファイナンスとは、企業外部の投資家の立場から扱われる数字であり、アカウンティングとは企業の立場から扱われる数字を意味します。アカウンティングはさらに2つに分類され、企業業績を外部に報告するための財務諸表などをベースにした「財務会計」と、企業内部で経営管理をするための「管理会計」に分けられています。

本書はファイナンス8テーマ、財務会計8テーマ、管理会計6テーマの計22テーマを扱います。これらを通読することで、単に財務諸表を読めるようになるだけではなく、新規事業への投資や、競合企業・取引先企業の状況分析など、ビジネスシーンにおけるさまざまな場面での数字に対する感覚がわかるようになるはずです。

それぞれのテーマはストーリー仕立てのシナリオで始まるため、ビジネスの現場を想起しやすいよう工夫されています。また、各話題には具体事例がふんだんに盛り込まれていることも、読者の理解度を深めるに違いありません。わかりやすい説明でありながら、企業活動における会計のテーマを網羅した内容は密度が濃く、決算書とファイナンスを学ぼうとする方々にとって実践的な一冊になるはずです。

『決算書×ビジネスモデル大全 会社の数字から儲かる仕組みまでいっきにわかる』

矢部謙介著 東洋経済新報社 1,980円(税込)

ファイナンス思考に欠かせない、決算書の新しい読み解き方

基本的な決算書の読み方といえば、「まずはB/S(貸借対照表)、P/L(損益計算書)、CF計算書(キャッシュ・フロー計算書)の構造を覚え、どんなお金がどの勘定項目に入るかを確認すればよい」と、教わることでしょう。しかし、それだけでは決算書を“読める”とはいえません。決算書に並ぶ数字を見るだけではなく、その内容を読み解く必要があります。

本書はその企業の状態や特徴、強みと課題を把握する決算書の読み方を指南します。誰もが知る東証プライム上場企業の決算書を見ながら、そこに記載されている数字が、その企業のビジネスモデルや、過去・現在がどのような状況なのかを丁寧に解説。その企業の収益構造がひと目で理解できます。

また同業他社の実際の決算書が比較検証されているところも本書の魅力。住宅メーカーや外食、100円ショップなど、身近な企業の決算書を比較しながら、それぞれの決算書の数字がどのような特徴を持っているかを分析します。一読すれば、同じ業界でも企業ごとに何が違うのか、ビジネスモデルの違いを鮮明に理解できます。

著者の矢野氏は、外資系コンサルティング・ファームを経て、現在は、中京大学で経営学の教授を務めています。決算書を読み解くためには「その会社が手掛けているビジネスそのものに対する理解が必要不可欠」であり、「ビジネスモデルに対する仮説を立てながら読む」視点を持つことが重要だと語ります。

本書は同業他社の比較にとどまらず、グローバル経営を推し進める成長企業のポジティブな面や、粉飾決済を行った企業のネガティブな側面も解説。環境変化によってビジネスモデルを大きく変えなければならない事態に直面した際の、経営改革と決算書の関係にも言及しています。この一冊で、決算書の本質的な活用法を見出すことができるでしょう。

『ゼロからわかるファイナンス思考 働く人と会社の成長戦略』

朝倉祐介著 講談社 1,650円(税込)

ファイナンス思考の要点が漫画と本文で思うままに理解できる

業績が伸びずに悩む会社の事業を、ひとりの経営コンサルタントが社員とともに改善していく……。このようなストーリー展開でファイナンス思考を学ぶことができる本書。ファイナンスや財務三表に関する予備知識がなくても、その概要を短時間で理解できるよう工夫されています。

著者の朝倉祐介氏は、競馬騎手養成学校から東大法学部、さらにはマッキンゼー・アンド・カンパニージャパンを経て、大学在学中に自ら設立した会社の代表を務めるという経歴を持ち、ミクシィの元CEOとしても知られています。朝倉氏は、ファイナンスとは経済活動を成立させる根本原理としてとらえ、その思考を理解することは、財務に関わる人々だけでなく、あらゆる企業人にとって重要だと語ります。

冒頭で朝倉氏は、ファイナンスをサッカーのルールにたとえています。サッカーの技術が高くても、その大会がリーグ戦なのか、トーナメント戦なのか、あるいは試合時間は何分までで、延長線はあるのか。そうした大会のルールを理解していなければ、最善な戦略は立てられないといいます。会社に置き換えても同じことで、ファイナンスを知らない営業担当者は最善の戦略を立てられない、と指摘します。

本書は財務三表の読み方に特化した解説書ではなく、株式会社がおかれている資本主義社会という舞台の説明から始まります。さらに、会社とはどのような仕組みの上で事業を行っているのか、なぜ会社は成長しなければならないのかなど、すべての企業が向かうべきベクトルが示されるとともに、現行の資本主義社会の中で企業が果たすべき役割なども解説されています。

また、著者は、PL(損益計算書)だけを意識して目先の数字を追ってしまう「PL脳」の危険性と弊害についても触れ、財務三表の読み方と本来の意味についても示します。財務三表から何が読み取れ、どう行動すべきか。実践的なファイナンス思考が身につきます。

『増補改訂版 道具としてのファイナンス』

石野雄一著 日本実業出版社 2,750円(税込)

日産の再生に携わった著者が17年間でさらに深めたファイナンスへの理解を基に、2005年のベストセラーを全面改訂。難しい数式は避けて「Excelに任せる」をコンセプトに、実務に役立つファイナンス思考を明快に解説。

『中小企業社長のための会計・経理の強化書』

加藤弘之著 幻冬舎 990円(税込)

中小企業が伸び悩む要因は経理機能の弱さにあり。中小企業こそ監査を導入すべきと主張する著者が、「コンサル監査」を実施することで企業がどのように変革するのか、ファイナンス思考に基づいて解説。

『CFO思考 日本企業最大の「欠落」とその処方箋』

徳成旨亮著 ダイヤモンド社 1,980円(税込)

4年連続で「ベストCFO(最高財務責任者)」を受賞し、CFOこそ「日本経済復活の鍵」と考える著者が、ファイナンス思考を含めた思考の重要性をあらゆる組織人に解説。

[編集] 一般社団法人100年企業戦略研究所
[企画・制作協力]東洋経済新報社ブランドスタジオ

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