経営者にいまおすすめの6冊 「チームづくり」編

「経営者にいまおすすめの6冊 「チームづくり」編」のアイキャッチ画像

目次

多くの経営者が関心を寄せる課題である「チームづくり」。組織やチームの在り方は、時代の変化とともに、日々見直されています。そうしたスピード感の中で、リーダーが「チームづくり」のためにできることは何でしょうか。今回は、ビジネスで成果を上げるチームづくり、そのヒントとなる6冊を紹介します。

『だから僕たちは、組織を変えていける —やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた』

斉藤徹著 クロスメディア・パブリッシング 2,068円(税込)

なぜチームづくりが必要なのか。根本から問い直す組織の教科書

インターネットの発展やソーシャルメディアの普及、新型コロナウイルスによるパンデミックなどにより、人々の価値観や人生観はここ数十年で急激にアップデートされました。

ビジネスの世界が転換期を迎える中、著者である斉藤徹氏は、多くの企業の戦略や方針は時代の変化から取り残されていると指摘。本書はそうした現状に違和感を持つ人へ向けて、「たったひとりから組織を変える」ために、知識や技術、組織論などを体系化しすぐに実践できるメソッドとしてまとめたものです。

1章では、まず産業史をたどり、現代の組織の形が生まれた経緯を解説。続く2章では、今必要とされている組織の在り方やリーダー論を提示します。

3章は、“組織の中でメンバーが安心して発言できる状態”を意味する「心理的安全性」の必要性に言及。この言葉を生み出した経営学者エイミー・C・エドモンドソン氏の研究を取り上げ、「規律の厳しいチームより、非難傾向の低い『やさしいチーム』のほうが、ミスが少ない」という検証結果を紹介します。

4章では人の心を動かす「思考」の枠組みに触れ、組織をつくる上で重要な心理学的知見を提示。心理学者のティム・カッサー氏とリチャード・ライアン氏の研究で明かされた「キャリアやお金といった『外的な目標』を持つ人より、社会貢献や自己成長といった『内的な目標』をゴールにする人のほうが幸福度が高い」という検証結果などを引用しながら、「何のために働くのか」という仕事の意味を問いただします。

これを受けて、仕事の「内発的動機づけ」にフォーカスしたのが5章です。ここでは、メンバーの「自分でやりたい」という“自律性”、「能力を発揮したい」という“有能感”、「人々といい関係を持ちたい」という“関係性”、この3つの心理的欲求が満たされることが、組織の生産性に寄与すると語られます。

最終章では、システム思考を研究するダニエル・キム氏が提唱した「成功循環モデル」を基盤に、われわれが目指すべき新しい組織の姿を指し示します。

全体を通して図解やイラストがふんだんに盛り込まれており、巻末には具体的な取り組み事例をインタビュー形式で掲載。経営者からいちメンバーまで、組織をよりよくしたいと願うすべての人にとって必読の書といえるでしょう。

『「僕たちのチーム」のつくりかた メンバーの強みを活かしきるリーダーシップ』

伊藤羊一著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 1,870円(税込)

個人の強みを最大限に発揮することが、チームづくりの要になる

経営者の皆さんは、「従業員のモチベーションに温度差がある」「メンバーが何を考えているかわからない」などの悩みを感じることはないでしょうか。本書は、そんな「もやもや」を抱えるリーダーへ向けて、チームメンバー全員で目標に向かい、成果を上げるための手法を紹介しています。

著者は、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の学部長、大手IT企業の企業内大学で学長などを務める、次世代リーダー育成スペシャリストの伊藤羊一氏。

伊藤氏は序章で、リーダーが直面するさまざまな課題を挙げ、それらを乗り越えるための「メンバー一人ひとりの強みを生かしきる」という視点を紹介。そのために、リーダーは何を成し遂げたいかという「志」を持って、「チームを導くためのアクション」をすることが必要であると述べます。

1章では、ビジネスをする上で「新しい価値の創造」や「仕事の意味」が今まで以上に求められるようになった現状と、その時代背景を解説。これからは、高度成長期に多くの日本企業で定着した「ヒエラルキー型組織」ではなく、個人が主体的に考える「フラットなチーム」をつくろう、と提言します。

そんなフラットな場において、リーダーは指導者ではなく「ファシリテーター」の役割を担うべきである、と伊藤氏は考えます。そして、リーダーとして信頼を得るためには、「指示」の質ではなく、「メンバー一人ひとりと真摯にどう向き合うか」が重要であると分析。そこで2章から6章にかけて、1on1ミーティング、会議、部署横断プロジェクト、ゴール設定など、あらゆる場面におけるメンバーとの関わり方について、具体的な手法を解説します。

ここで挙げられた1on1ミーティングとは、「リーダーが定期的に時間を割いてメンバーの話を聴く場」のことで、本書でも重要なポイントの一つとして語られています。伊藤氏自身の経験則にもとづく効果やエピソードに加えて、メンバーから話を引き出すための質問例なども紹介されます。

「あなたはどうする?」と題された終章で伊藤氏は、本書で書かれた手法は身につけるべき「スキル」ではなく、すぐに変えられる「スタンス」であると総括。リーダーシップはまず「Lead the self」、つまり「リーダー自身が自分をリードして変わっていけるか」が何より大切であると結論づけます。

『チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方』

中原淳・田中聡著 日本能率協会マネジメントセンター 2,200円(税込)

組織論の第一人者たちが提唱する、チームづくりに必要な3つの視点と行動原理

本書は、チームワークにおける新しい知見である、「チームワーキング」について解説。著者は立教大学経営学部でリーダーシップ開発、チームワークの研究に取り組む中原淳氏と田中聡氏です。

膨大なデータを分析した著者の研究によると、「成果の出るチーム」には「チームメンバー全員が動き、チームの状況を俯瞰する視点を持って、共通の目標に向かいながら、相互にフィードバックを続けている」という特徴があることが明らかになりました。

この状態を著者は、「チーム(Team)」に「ワーキング(Working)」を付け加えて「チームワーキング」と名付けました。「常に動き続けている」という意味の進行形「ing」がキーワードになっています。

チームを「チームワーキング」へと導くためには、「3つの視点」と、「3つの行動原理」が必要であると著者は考察します。

「3つの視点」とは、チームの全体像を常に捉える「チーム視点」、みずからもリーダーたるべく当事者意識を持ってチーム活動に貢献する「全員リーダー視点」、チームを「動き続けるもの、変わり続けるもの」として捉える「動的視点」です。

「3つの行動原理」とは、目標を握り続ける「Goal Holding(ゴール・ホールディング)」、動きながら課題を探し続ける「Task Working(タスク・ワーキング)」、相互にフィードバックし続ける「Feedbacking(フィードバッキング)」です。

本書の後半では、これら3つの行動原理を、現場でよく起こりうるケースとデータを用いて具体的に解説。たとえば「Task Working (タスク・ワーキング)」の章では、会社の「人材不足」を解決する戦略を立案することになったチームが、「何が課題なのか」を見極めないまま解決策を検討し、失敗に陥ったケースを紹介。ビジネスの現場では「解くべき課題」が初めから明確であることはほとんどなく、実際にはチームでアクションしながら精度を高めていくことが必要とされるのです。

著者は、この「チームワーキング」は、チームで活動する際のベースとなる基礎スキルであるとし、ビジネスマンだけでなくあらゆる人々に身につけてほしい、と締めくくっています。

『チームが機能するとはどういうことか──「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』

エイミー・C・エドモンドソン著、野津智子訳 英治出版 2,420円(税込)

心理的安全性の提唱者である著者が、20年以上にわたる実地調査から得た考察やフレームワークをまとめた1冊。チームの形を模索し続ける動的な活動である「チーミング」という概念をもとに、「学習力」と「実行力」を兼ね備えた「チームづくり」を説く。

『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』

ピョートル・フェリクス・グジバチ著 朝日新聞出版 1,540円(税込)

アメリカのビジネス誌が調査した「働きがいのある会社ベスト100」で、何度も1位を受賞したグーグルのチームづくりを解説。生産性の高いチームをつくるために重要な「心理的安全性」を高めるノウハウを中心に、あらゆる企業が取り入れやすい具体的な取り組みを紹介する。

『みんな違う。 それでも、チームで仕事を進めるために大切なこと』

岩井俊憲著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 1,650円(税込)

チームづくりにおけるリーダーの在り方を「アドラー心理学」に基づいて提唱。 人間関係を「横の関係」と捉え、「建設的」な視点を持って、「組織や社会への貢献」を重視する考え方や手法を伝授する。一人ひとりの価値観や考え方が多様化している現代にこそ役に立つ内容だ。

[編集] 一般社団法人100年企業戦略研究所
[企画・制作協力]東洋経済新報社ブランドスタジオ

経営戦略から不動産マーケット展望まで 各分野の第一人者を招いたセミナーを開催中!

ボルテックス グループサイト

ボルテックス
東京オフィス検索
駐マップ
Vターンシップ
VRサポート
ボルテックス投資顧問
ボルテックスデジタル

登録料・年会費無料!経営に役立つ情報を配信
100年企業戦略
メンバーズ