100年企業レポート vol.10 長野編

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目次

はじめに

日本は創業100年を超える長寿企業(本レポートでは『100年企業』と呼ぶ)が世界で最も多い国である。その理由や影響を与える要素が何であるかを探ることを、本研究のテーマにした。そして各都道府県の100年企業の特性や傾向を明らかにし、100年企業を創出しやすい環境や要因について分析を行うことが本研究の目的である。

1.長野県の100年企業に関する分析

長野県 街の景色

長野県は内陸に位置し、中部・関東地方の8つの県と接する日本で最も多くの都道府県と隣接する県であり、面積は全国4位。高い山に囲まれた盆地を多く含む長野県は、その地域特性を活かし、レタスや白菜、りんご、ぶどうなどの農産物を多く生産している。特に夏秋のレタス生産量は全国で最も多い。

長野県の100年企業数は、958社であり、全国9位である。

江戸時代の参勤交代をきっかけに多くの街道が整備された。その主要の街道として長野県の中山道(なかせんどう)がある。1キロにもわたって宿や商店、茶屋などが並び、江戸と京都を結ぶ道として多くの人々に利用されたのだった。

本レポートでは、100年企業数に相関の高い指標別にレーダーチャートを用いて、長野県の特性を分析した。

歴史的な背景から100年企業の輩出率が平均を上回る

長野県は、100年企業数と100年企業輩出率どちらもTOP10に入っている。その理由として、古くから交通の要所であったため宿泊業などが栄えたことや、豊かな自然資源を活用した産業の発展が進んだことなどが挙げられる。
近年、精密・電気機械工業やハイテク情報機器産業へと歴史と共に変化を遂げてきた長野県は、働き世代(生産年齢人口数)と働き先(事業所数)は平均程度であり、雇用環境も良好である。環境変化に適応しながら、新たな分野へ挑戦する地域性が、長野県の企業を支えている。

2.長野県の100年企業データ

①創業年は『明治後期』が最多

創業年の時代別では、最多が『明治後期』の構成比41.3%であった。次いで『大正以降』の23.4%、『明治前期』の21.6%、『江戸時代』の13.3%の順である。
江戸時代以降、長野県は交通の要所であったことから宿泊業が栄えたため『旅館・ホテル』が多い。明治以降になると市域拡大や鉄道開通などが進んだため、道路整備などの工事業が増えたと思われる。
恵まれた気候、清らかな水などを活かした歴史のある『清酒製造業』も多い。

②創業年TOP5

長野県の創業年TOP5は下記の5社である。
第1位の株式会社佐久ホテルは、全国で34位となっている。

③市町村別は『長野市』が最多

市町村別100年企業数では長野市が170社で最多であった。
1位の長野市では、『呉服・服地小売業』が7社と最も多く、次いで『土木工事業』、『貸事務所業』の2業種がそれぞれ6社である。
2位の松本市は、100年企業数144社であり、業種別に見ると『旅館・ホテル』が10社と最も多く、次いで『清酒製造業』、『婦人服小売業』の2業種がそれぞれ4社である。
3位の飯田市は、100年企業数81社であり、業種別に見ると『日用紙製品製造業』が7社と最も多く、次いで『菓子小売業(製造小売)』が4社、『味噌製造業』、『婦人服小売業』の2業種がそれぞれ3社の順である。

④産業は『サービス業』が全国7位

産業別では、『卸売・小売業、飲食店』が444社(構成比46.3%)と最も多かった。次いで、『製造業』214社(同22.3%)、『建設業』141社(同14.7%)の順である。
雄大な自然環境や歴史的建造物に恵まれた全国有数の観光地である長野県は、宿泊業をはじめとする各種サービス業が盛んであり、サービス業が全国7位となっている。

⑤業種は『旅館・ホテル』が最多

業種別では、『旅館・ホテル』が53社で最多であった。温泉施設やスキー場などの観光施設に恵まれている長野県は『旅館・ホテル』の件数が全国2位である。
2位は『清酒製造』が39社であった。豊かな自然に恵まれた環境は酒造りに最適であり、古くから続く酒造が多い。
その他上位には、『木造建築工事業』、『一般土木建築工事業』などの建設業も多い。産業の発展とともに、道路や橋梁、ダム、砂防堰堤、流路工、トンネルなどの整備が進んだためと考えられる。

⑥資本金は『5千万円未満』が約8割

資本金別では、『1千万円以上~5千万円未満』が構成比54.0%と最も多かった。次いで、『1千万円未満』が28.3%、『5千万円以上~1億円未満』が6.0%の順である。
資本金トップは長野県信用農業(業種:信用農業協同組合連合会)が548億円。以下、北野建設株式会社(業種:一般土木建築工事業)が91億円、アート金属工業株式会社(業種:アルミ・同合金プレス製品製造業)が23億円の順であった。
上位10社のうち卸売・小売業が4社、製造業が3社であった。

⑦従業員数は『10人未満』が5割超え

従業員別では、『4人以下』が構成比36.7%と最も多かった。次いで、『10~49人』が30.3%、『5~9人』が21.9%の順である。10人未満で5割を超える。
長野県の100年企業の多くは小規模企業であるが、株式会社ツルヤ、社会医療法人財団慈泉会の2社が従業員1,000人を超える。

⑧売上高は『1億円未満』が最多

売上高別では、『1億円未満』が構成比44.1%と最も多かった。次いで、『1億円以上~10億円未満』が41.3%、『10億円以上~100億円未満』が11.2%の順である。
売上高上位10社のうち、卸売・小売業が6社と最も多く、次いで製造業が2社であった。

⑨本業以外に貸事務所業を行っている企業は19社

長野県で本業もしくは副業にて不動産業を行っている企業は67社であり、構成比では全国9位となっている。
そのうち、本業以外に貸事務所業を行っている企業は19社存在しており、上場企業は0社であった。
貸事務所業との組み合わせは業種で見ると様々であるが、産業別で見ると卸売・小売業が多い。

データについて
・本レポートにおいて、創業100年以上経過した企業を『100年企業』と定義する。
・本レポートでは、信用調査機関の企業データから、創業年が1919年(大正8年)以前の企業を抽出した。

※創業年について
創業年が「○○年間」等のように元号もしくは時代のみ判明している場合は、その元号もしくは時代の最終年を創業年としている。ただし、江戸時代は前・中・後期に分けている。

※対象企業について
営利企業を中心としているが、非営利団体(学校、病院など)も含む。ただし、宗教法人は除いている。

※クラスター分類について
・本レポートの全国編にて、47 都道府県を7 クラスターに分類している。各クラスターについての詳細は全国編参照。

※本レポート記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本レポートは情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。

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著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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