相続でもめないために!財産目録作成のポイント

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※百計オンラインの過去記事(2019/03/08公開)より転載

2018年7月の民法の一部改正で、相続法が見直されました。改正された項目のひとつに、「財産目録の一部をパソコンなどで作成することが可能になった」というものがあります。これまで、財産目録の作成は手書きに限られていたため、株式や不動産を多く所有している場合など、作成するだけで一苦労という人も多かったでしょう。そのため今回は、時代に合わせて目録のパソコン作成が認められたことによるメリットや、財産目録作成のポイントを見ていきましょう。

パソコン作成のほか、通帳のコピーや登記事項証明書添付も可能に

財産目録のパソコン作成は、遺言制度に関する見直しの一環です。自筆証書遺言に添付する別紙の財産目録については自筆でなくてもよいのですが、財産目録の各頁に署名押印を求められます。パソコンで作成するほかに、通帳のコピーや登記事項証明書を添付するといった方法が考えられます。

パソコン操作に長けている人の場合は自ら作成すれば良いのですが、パソコン操作が苦手で第三者に作成してもらう場合は注意が必要になります。子どもや親族などの相続当事者に依頼した場合、事前に相続財産の内容が明らかになることで、いらぬトラブルを呼ぶ可能性もあるためです。

また、これまで自筆の遺言書は自宅で保管されることが多かったため、方式不備(日付や署名・押印など)、紛失や偽造といったトラブルが発生することも珍しくありませんでした。今回の改正では、自筆証書遺言(原本)を法務局に保管する制度が創設されました。保管可能となるのは、法務省の「法務省令で定める様式」で作成した「無封」の遺言書に限りますが、こうした制度も念頭に置くと良いでしょう。

相続争いの7割超が資産5,000万円以下、「争続」は他人事ではない

「相続なんてまだ先のこと」「我が家には相続するような財産なんてないから大丈夫」と他人事のように感じている人も多いかもしれません。

ただ、2015年の相続税法の改正で基礎控除額が引き下げられたことで、資産家でなくとも相続に悩む人が増えました。実際、「司法統計」によると、家庭裁判所が扱った遺産分割事件のうち遺産総額5,000万円以下が7割超となり、1,000万円以下というケースも約3割に上ります。こうしたデータを見ると、「争続」は他人事ではないことが実感できるでしょう。

昨今のペーパーレス化の波も、相続争いの一端になりつつあります。手数料優遇などを目的に通帳に記帳せず「エコ通帳」などの名目のオンラインバンキングで口座の明細を記録している人や、Eメールでクレジットカードの明細を受け取る人も多いでしょう。

突然家族が亡くなった場合、パソコンやEメールのパスワードがわからないために、「一体どこの銀行にどういった口座があり、いくらくらいの残高があるのか。どういったクレジットカードを持っていて、どこにいくらの負債があるのか」と、相続すべき負債や資産を正確に把握することも難しくなるケースがあります。そうなると、残された家族は、葬儀の手配などであわただしい中、残された手がかりをもとにしらみつぶしに当たっていくしかないのです。

手間がかかっても全てを把握できればいいのですが、あるはずのものがなかったり、ないはずのものが出てきたりすると、親族間で深刻なトラブルを呼ぶこともあります。
残された家族のことを考え、遺産分割協議をスムーズに行うためにも、財産目録の作成をこまめに行うことをおすすめします。もし、作成を手間に感じるのであれば、通帳やクレジットカードを並べて写真に収めておくだけでも遺族の負担軽減になるでしょう。

また、ペイオフを考慮して口座を分散させている人も多いですが、不要な口座は閉鎖して財産をまとめておくことも必要です。

家族間でのマネーの話はタブー?最後の日に向けた準備を

日本では、家族間でマネーの話をするのをタブー視する風潮があります。相続について気になっていたとしても、まるで親が早く亡くなるのを期待しているかのようで、子どもの側からは話を切り出しにくいというのが本音でしょう。しかし、高齢化社会が進む中で、あらゆる人の身に相続問題が降りかかる可能性があります。

ここは、財産を残す側が「立つ鳥跡を濁さず」の精神を持ち、責任を持って最後の日に向けた準備を周到に進めておくべきでしょう。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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