経営者にいまおすすめの本6冊 「生成AI」編

「経営者にいまおすすめの本6冊 「生成AI」編」のアイキャッチ画像

目次

近年の生成AIブームの火付け役となった「ChatGPT」は、2022年11月にOpenAI社が公開すると、わずか数カ月でアクティブユーザー数1億人に到達しました。今では、ChatGPTに連動する形で、さまざまな生成AIが爆発的に普及しています。もはや生成AIは単なるトレンドではなく、ビジネスの根幹に影響を及ぼす革新的要素といえるでしょう。そこで今回は、生成AIの基本的な技術や最新動向、活用法など、ビジネスパーソンがいま知っておきたい知識が得られるおすすめの6冊を紹介します。

『生成AIで世界はこう変わる』

今井翔太著 SBクリエイティブ 990円

生成AIの活用はホワイトカラーの代替を意味するのか

著者は、東京大学大学院で生成AIのコア技術でもある「強化学習」を中心に研究をしている今井翔太氏です。本書では、今井氏がこれまでの研究によって得られた知見をベースに、今われわれが目の当たりにしている生成AI革命の背後にある技術や、生成AIが仕事や暮らしに与える影響、そして今後予測される未来について多面的に考察されています。

まず第1章で著者は、生成AIを、新たに文章や画像、音声などを作り出すことができる人工知能技術の一種と定義。この技術がもたらす変革について詳述します。続く第2章では、現在の主要な生成AIの技術を解説。ここで、生成AIの基盤技術となっているディープラーニング(深層学習)が誕生するまでの歴史的経緯や仕組みなども語られます。

第3章は、生成AIが仕事と暮らしに与える影響にフォーカスします。かつては「特別なスキルを必要としない低賃金労働であるほど、コンピューターやAIによる自動化の影響を受ける可能性が高い」と主張されてきました。しかし、近年はその逆で、「高度な判断力や創造的な思考が必要とされる、いわゆるホワイトカラーと呼ばれる職種こそが影響を受けるだろう」と予測されています。

第4章では、創造性がない人間であっても、生成AIの活用によって質の高いコンテンツを生み出せる現状を踏まえ、生成AIが文化・芸術に与える影響を考察します。ここで今井氏は「創作」を「個人の持つ感情や思想、ストーリーが反映された創作的行為」と定義付け、生成AIは「創作者」ではなく、あくまで「創作のためのツール」であると見なします。

第5章はより中長期的な視点に立ち、生成AIによって将来的に生じる影響や問題、そして未来への展望を、今井氏の視点から論じます。巻末には、今井氏が所属する研究室の長であり、AI研究の第一人者として知られる松尾豊氏との対談を収録。これからのAI時代に必要とされるマインドやスキルなどが語られます。

生成AIの技術とそれを取り巻く社会情勢が驚くべきスピードで変化する中、本書は今井氏が今後も普遍的に重要だと考える技術的基礎と社会的影響の話題を中心に執筆されています。これらを正しく理解することで、生成AI革命のさなかに「どう生きるか」を考えるためのヒントが得られるでしょう。

『生成AI時代の「超」仕事術大全』

保科学世著 東洋経済新報社 1,980円

生成AIの活用時に必要な「全体最適」の思考

「生成AI技術を使いこなせるか否かで、今後ホワイトカラーの仕事の効率は天と地ほどの差が生まれるに違いない」。アクセンチュアのAI部門で日本統括を務める保科学世氏はこう警鐘を鳴らします。

本書は、ChatGPTをはじめとする生成AIを活用する方法や、身に付けるべきスキル、リスク対策、未来予測など、ビジネスパーソンが生成AIとどのように向き合うべきかを網羅的に解説したものです。

構成は大きく分けてプロローグ、パート1「仕事術編」、パート2「仕事の未来編」の3部。プロローグでは、まずChatGPTの原理である「大規模言語モデル(LLM)」の仕組みやその発展の背景に触れた後、画像、動画、音声といった多岐にわたる生成AIの種類を解説します。さらに、現時点ですでに個人や企業で実装されている生成AIの事例を紹介します。

2023年4月に行ったアメリカ人を対象にしたアンケートによると、業務におけるChatGPTの使用用途として、アイデア生成、文章などのコンテンツ生成、メール返信、コード生成、レジュメやカバーレターの作成、プレゼン資料作成などが挙げられています。パート1「仕事術編」では、このようなビジネスシーンでの実践方法やテクニック、必要なスキルなどを具体的に解説します。

AIから精度の高い回答を得るために欠かせないのが、「プロンプト」と呼ばれる指示文です。そこでこのパートでは、効果的なプロンプトの作成手法や例文も掲載。実際の業務ですぐに使える内容となっています。さらに、生成AIを活用するうえで具体的に起こりうるリスクとその軽減策も詳述します。

パート2「仕事の未来編」では、生成AIが社会に与えるインパクトを、業界や職種別に考察。経済活動だけでなく、教育や政治などの文化活動への影響にも触れます。

大規模言語モデル(LLM)の力は、産業革命に匹敵する影響を及ぼす可能性があると考えられています。どんな業界であれ、ビジネスにおいて生成AIによる価値を最大化するためには、部分最適にとどまらず、現在の業務プロセスをゼロベースで見直し、組織構造、情報システムなどの再構築を行うBPR(Business Process Re-engineering)が必要である、と保科氏は提言します。

『生成AI 真の勝者』

島津翔著 日経BP 1,980円

人類は生成AI活用を止めることはできない

本書は、日経BPシリコンバレー支局の駐在記者である島津翔氏が、生成AIを巡る「5つの覇権争い」を詳細に解説した1冊です。イノベーションの中心地である米国シリコンバレーでの現地取材を基に、生成AI革命の背景にある企業や人々の動きがリアルに描かれます。

本書は覇権争いの領域ごとに章立てられており、第1章は生成AIのコア技術である「AIモデル」を紹介します。「ChatGPT」を世に送り出したOpenAIは、もともと“対グーグル”を念頭に置いた組織でした。本章ではそんなOpenAIとグーグルという2社を中心に、目まぐるしく進化する技術開発の最前線に迫ります。

第2章は、生成AIに欠かせない「AI半導体」をめぐる覇権争いに言及。AI半導体とは、AIの機械学習や深層学習の計算を効率的に処理するためのチップを指します。島津氏はこの領域で目下一人勝ちを続ける米国のNVIDIA(エヌビディア)へ密着取材を行い、同社がAIブームを先取りできた理由を解き明かします。島津氏は、日本の半導体関連企業にも今後チャンスがあると考察し、商機をつかむための手がかりを提示します。

第3章では、生成AIアプリケーションを開発するための「プラットフォーム」の勢力図を整理。OpenAIとの提携を武器に顧客を獲得しているマイクロソフト、クラウド業界最大手のAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)、矢継ぎ早に機能拡張を行うグーグルなどを取り上げます。

第4章は、生成AIに関する「国家間競争」がテーマです。島津氏の独自調査によると、2022年時点での生成AI関連特許出願数は中国が圧倒的な首位で、2位が米国、3位韓国、4位欧州、5位日本と続きます。その背景には、デジタル領域で中国政府が他国サービスを禁止しているという事情もあります。一方、生成AIの技術を規制するルールづくりにおいては各国の戦略にばらつきがあり、国家間での覇権争いの結論はまだ出ていないと島津氏は分析します。

第5章はタイトルに「人類vs.AI」と掲げ、人間と機械の競争と、AIの負の側面について考察します。2023年にはAIを理由に、米国内で1カ月間に約4,000人が解雇されたとの調査データもあります。また、中国ではAIによる世論操作が横行し、ウクライナやイスラエルでは「AI兵器」が実際に導入されています。

それでも、得られる恩恵の大きさを考えれば、人類はAIの開発を止めることはできないでしょう。そんな中でわれわれは、人間対AIではなく、コンピューターとどのようにパートナーシップを構築するかという考え方にシフトする必要がある、と島津氏は述べています。

『ChatGPT 120%活用術』

ChatGPTビジネス研究会著 宝島社 1,390円

hatGPT初心者のための入門書。登録方法のほか、文章の編集や作成、アイデア発想のためのブレインストーミング、エクセルの関数やグラフ作成など、生成AIの活用例を多岐にわたって解説する。

『実践 生成AIの教科書 ――実績豊富な活用事例とノウハウで学ぶ』

株式会社日立製作所 Generative AIセンター 監修 リックテレコム 2,420円

日立グループのデータサイエンティストやAIの研究者などが集結する日立製作所 Generative AIセンターが監修。生成AIの基礎知識から、生成AIプロジェクトの進め方、企業における代表的な活用法に至るまでのノウハウを提供する。

『生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方』

梶谷健人著 日経BP 1,980円

生成AIなどの戦略アドバイザーとして10社以上の企業に関わる著者が、生成AI技術を事業戦略や組織強化にどのように活用するか、具体的なステップやポイントを解説。経営層や事業リーダー、サービスづくりに関わるビジネスパーソンにとって必読の1冊。

[編集]一般社団法人100年企業戦略研究所
[企画・制作協力]東洋経済新報社ブランドスタジオ

経営戦略から不動産マーケット展望まで 各分野の第一人者を招いたセミナーを開催中!

ボルテックス グループサイト

ボルテックス
東京オフィス検索
駐マップ
Vターンシップ
VRサポート
ボルテックス投資顧問
ボルテックスデジタル

登録料・年会費無料!経営に役立つ情報を配信
100年企業戦略
メンバーズ