経営者にいまおすすめの本6冊 「ファンマ」編

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SNSなど大量の情報があふれる現代において、新規顧客獲得を狙った大規模キャンペーンや期間限定プロモーションといった従来型のマーケティング手法は通用しなくなりつつあります。そんななかで注目が高まっているのが「ファンマーケティング=ファンマ」です。芸能やスポーツの世界では、熱狂的な「ファン」の消費が市場を大きく押し上げています。これを企業ビジネスに応用することで、自社の商品やサービスを長期的に“推し”続けてくれるファンを増やすことはできるのか。ファンづくりに特化した解説書6冊をご紹介します。

その施策はまだ有効か? 「ファンマ」という答え

『ファンベース』

佐藤尚之著 筑摩書房 1,078円

人口の減少や高齢化、情報過多などを背景に、新規顧客の獲得は年々難しくなっています。そうした時代にあって、生活者の消費を継続的に促すために不可欠なのが「ファンベース」という考え方だと、著者の佐藤尚之氏は指摘します。

ファンとは、企業が提供するブランドや商品価値について支持・共感し、継続的に購入してくれる存在です。そうしたファンを販売活動のベースに据え、企業価値や売り上げを中長期的に上げていくアプローチです。

従来のマーケティングでは、新規顧客の開拓が重要視されてきました。そのため販促活動においても、スポット的なデジタル広告や店頭イベント、キャンペーンといった単発・短期の施策が効果を上げてきました。しかし、情報が溢れる昨今では、もはやこうした施策だけでは顧客に届きにくくなっています。

この状況を打開するカギがファンベースです。

企業の売り上げというものは、実際には少数のファンがその大半を支えています。つまりファンを大切にし、そのライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を上げることこそが、企業収益の安定や成長に直結します。

積極的に新規顧客を増やさなければ売り上げが増えないのではないか、業績に反映されるまでに時間がかかりすぎるのではないか、といった不安もあるでしょう。しかし佐藤氏は、「現代は明らかにフェーズが変わった」と指摘し、ファンをベースにした中長期的施策を早急に進める必要性を強調しています。

もちろん、従来型の手法のすべてが無意味になるわけではありません。中長期的なファンベース施策を軸としつつ、短期・単発施策を連動させる全体構想が重要になります。生活者の課題を解決し、笑顔を生み出すことが企業の本懐だとすれば、それらに役立つ商品やサービスが長く安定して売れ続けるようにすることは最大の社会貢献といえます。

本書では、広告業界で30年以上のキャリアを持つ著者が、なぜマーケティングのフェーズが変わったのか、どうしていまファンベースが求められているのか、具体的にはどういった施策があるのかなどの内容を網羅的に押さえ、豊富な事例とともにわかりやすく解説しています。

ファンマという発想から2年間でファンが25倍増

『ファンをつくる力 デジタルで仕組み化できる、2年で25倍増の顧客分析マーケティング』

藤掛直人著 日経BP 1,760円

著者の藤掛直人氏は、DeNAが運営する、Bリーグのプロバスケットボールチーム「川崎ブレイブサンダース」の事業戦略マーケティング部長を務める人物です。デジタルを生かしたファンづくりを実践し、同チームの売り上げをわずか2年間で約2倍に伸ばすことに成功しました。

この目覚ましい成果の要因に関して、藤掛氏は「SNSの普及によって顧客の熱狂が伝播しやすい時代でもある」からと分析しています。

藤掛氏によれば、ファンという存在はスポーツや芸能だけでなく、あらゆる商品やサービスにおいても重要な役割を果たしています。ファンとは「ブランドやプロダクトの個性を支持し、意識的にリピートし続けてくれる人」だと藤掛氏は定義し、有名な「パレートの法則」(2割のコアファンの売り上げが、総売り上げの8割を占めること)を引用しつつ、ファンの重要性を強調します。

さらに、「ファンをつくる力」はB to Cだけでなく、B to Bを含むあらゆるビジネスに不可欠だと主張します。増収や市場拡大といった営業課題の多くはファンの存在によって解決する場合が多く、ファンづくりの手法は再現性のある形で仕組み化できるというのが藤掛氏の考えであり、それが本書の主題の1つにもなっています。

本書では、ファンづくりの仕組みとして3つのプロセスが提示されています。

第1は「個性の定義と体現」。自社ならではの独自性を明確にし、すべての施策に一貫性を持たせることの重要性が説かれています。

第2は「体験価値の最大化」。データ収集や分析を徹底し、既存ファンの満足度を高める必要性が解説されています。

第3は「体験人数の増加」。デジタルを活用して新規層にリーチし、ファン層を拡大することが提案されています。

藤掛氏は、「個性の定義と体現」による共感を、ファンづくりの土台としつつ、実際の成果につながるのは第2の「体験価値の最大化」と、第3の「体験人数の増加」だと指摘しています。なぜなら、どれほど共感を得られても、それが良い商品・サービスであり、かつそれを体験できなければファンは増えないからです。

この3つのプロセスを高い精度で回すことができれば、ファンがファンを生み、好循環の波に乗ることができると藤掛氏は分析しています。

ファンマで再定義する「正しい」タイアップ

『ファンダムマーケティング ~「今日の売上」と「明日の売上」を両立させる~』

高野修平著 技術評論社 2,200円

著者の高野修平氏は、現在は「プロモーションが届かない時代」だと指摘します。その理由の1つが、情報のパーソナライズ化です。

SNSなどでは利用者の興味・関心に即した情報ばかりが表示され、それ以外はアルゴリズムによって排除されます。こうしたパーソナライズ化の仕組みによって、企業がプロモーションを行っても、そもそも発信した情報が見込み顧客にまったく届かず、商品やブランドを広く認知してもらうことが困難な事態が発生しています。

こうした時代には、従来型のタイアップの効果も低下します。例えば、「知名度最優先」で、商品イメージと親和性がないタレントをキャスティングしたり、タイアップを単なるプロモーション手段として扱ったりした結果、ブランディング強化につながらず、短期的な施策に終わってしまったケースなどが本書では紹介されています。

「プロモーションが届かない」状況を打開する手段として高野氏が推奨するのが「ファンダムマーケティング」です。ファンダムとは、特定の人物や商品、作品などを深く愛し、熱心に応援するファン集団とその文化を意味します。本書ではファンダムの力を活用し、認知・興味・購買からファン化に至るまでを一貫して設計するマーケティング手法が解説されています。その中核として紹介されているのが、「正しいタイアップ」という考え方です。

タイアップは長い歴史を持つプロモーション技法である一方、そのあり方を体系的に論じた書籍はほとんど存在せず、さまざまな形態のもの(ダブルネームやアライアンス、書籍化・映画化やキャスティングなど)が「タイアップ」の言葉でひとくくりにされる傾向にありました。しかし近年、その形は大きく変化しています。

従来のタイアップでは、一時的に売り上げが伸びてもファンは生まれず、ブランド資産も蓄積されないため、毎回ゼロからクリエイティブを作り直す必要がありました。これに対し、ファンダムマーケティングを生かしたタイアップは、継続的なファン形成とブランド価値の蓄積を可能にします。こうした手法は大企業だけに留まらず、あらゆる企業が取り組むことができるマーケティング手法だと高野氏は指摘しています。

『熱量ドリブン ファンマーケティング新戦略』

クラスター株式会社著 プレジデント社 1,870円

企業や、その商品・サービスに愛着を抱いてくれる「熱量」の高いファン。こうした熱心なファンをいかに育成するかが、近年のマーケティングにおける重要テーマである。ファン育成の成果を測るバロメーターの1つになるのが、意外にも「雑談」だ。雑談を自然発生させる場とはどのようにつくられるか。新時代のコミュニケーションのツボを解剖する。

『推し活経済 新しいマーケティングのかたち』

瀬町奈々美著 リチェンジ 1,980円

これからの消費活動を担うZ世代の8割が「推し活」を実践しているという。彼らは自分が推すヒトやモノを「広めたい、支えたい、応援したい」と、熱狂的な想いを持ち行動している。本書では、「推し」や「推し活」の要素を取り入れて成功した企業を紹介しつつ、何が人々を熱狂させるのかを分析する。

『ファーストフォロワーのつくりかた 事例で学ぶ「製品・サービスの価値をファンと共に生み出す」ためのマーケティング』

高橋遼著 翔泳社 1,980円

ファン獲得の出発点として注目したいのが「ファーストフォロワー」だ。自社の商品やブランドへのロイヤルティーが高く、周囲を巻き込む力を持つ彼らは、ファンマの要となる存在である。ファーストフォロワーと向き合うことでファンに響く商品が明確になり、その魅力を広く伝えることができる。本書は、各企業がファーストフォロワーとどのように関係を築いてきたのかを、インタビューを通してひもといていく。

[編集]一般社団法人100年企業戦略研究所
[企画・制作協力]東洋経済新報社ブランドスタジオ

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