経営者のためのプレゼンテーションの心構えとノウハウ

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目次

まず「why」から語るべし〜相手の心を動かすポイント

人前で何らかのプレゼンテーションをする際、まずその目的を明確にすることが大切だと永井氏は言います。

「経営者が社内で話す場合、社員に考え方や行動を良い方向に変えてもらうこと、つまり変容を促すことが目的になるはず。だとすれば、内容が確実に伝わることが重要です。その意味で、話し方のテクニックを覚える前に、まず相手に伝わる内容構成をしっかりと考えていただきたいです」

そのポイントとして、最初に挙げるのが「Whyから語ること」。たしかに経営者や管理職が社員に向かって話すとき、WhatやHowを中心に語りがちで、「Why=なぜそれをするのか」という理由や意義を伝えることを怠りがちです。

「Whyとは、言い換えれば大義名分のこと。大義名分から話を始めると、聞き手の皆さんが共感しやすくなりますし、自分に置き換えて考えられるので具体的な行動につながりやすくなるのです」

「これは立場を入れ替えて、一般社員が、社長であるみなさんに対し、何か提案してくるケースをイメージしてみるとわかりやすいと思います。社員から「この掃除機は高性能です」というwhatや「吸引力が世界一なので楽にゴミが取れます」というHowを聞かされても、心は動かないでしょう。しかし『社長は定時退社を推進されていますよね。自動掃除機ロボットの導入は時短につながり、定時退社に貢献できます』という大義名分から話されたら、心が動いて、「購入していいよ」と言いたくなるのではないでしょうか。このように大義名分の共有は、相手の心を動かし、メッセージを伝わりやすくするのです」

自分はどのタイプ? 自分らしく話すための「トッププレゼン・マトリックス®」

もう一つ、相手に伝わりやすいプレゼンをする上で強調するのが「自分の個性を活かすこと」。「誰かを真似ようとしたりせず、自分らしく話すことで、緊張が和らぎ、聞き手も話を受け入れやすくなる」と永井氏は語ります。

とはいえ「自分らしい話し方」とは何なのか、自分で判断するのは簡単ではありません。そこで永井氏が開発したのが、下図に示した「トッププレゼン・マトリックス®」というフレームワークです。話し手としての特徴を「感情重視かロジック重視か」「自然体重視か個性重視か」という軸によって4類型に整理したものです。

トッププレゼン・マトリックス®

パッション型

このタイプの良い点は、話にインパクトがあって記憶に残りやすいこと。半面、興奮しやすいので話が空回りしたり、早口になりやすいという課題があるそうです。
「解決策としては、間合いをとり、途中で深い呼吸をして興奮しすぎないようにすること。あとは語調に緩急を付けて、低い声で話す場面をつくるといいでしょう」

信念型

このタイプの良い点は圧倒的な人物感で、自分語りをすると強みが発揮できる。その一方でありがちな問題点は、話が哲学的でわかりにくく感じられがちなこと。
「一般的な視点を取り入れて、話題の目線を下げて話すことが解決策になります。具体的には、話の途中にメタファーを取り入れてみるといいでしょう」

ロジカル型

良い点は、冷静で頭脳明晰なところ。数字に強いので、プレゼンの中で嫌味にならない程度に統計的な数字などを盛り込むと説得力が高まる。ただし課題として、冷たい印象を与えやすいという面があるそうです。
「共感力を示すために、なるべく笑顔で話すことを心がけてください。また話題の中に、何かチームで成し遂げた経験やエピソードを盛り込むと、共感力があることが伝わります」

優等生型

このタイプの良い点は、真面目で失敗があまりないこと。ただ、他のタイプに比べると訴求力の弱い面があるそうです。
「話すときはできるだけ単刀直入に本題や結論から入るのがいいでしょう。根拠を順番通りに説明してから最後に結論を言おうとしがちですので、結論からシンプルに話した方が相手によく伝わります」

相手に伝わる話し方 5つの実践テクニック

最後に、伝わりやすい話し方を実践するためのテクニックをお聞きしました。

①プレゼンテーションを動画撮影してセルフチェックする

事前準備は大切ですが、最も効果的な準備方法は、自分のプレゼンをスマホで動画撮影してみること。話しぶりが事前にセルフチェックできるだけでなく、過度な緊張を防ぐためにも有効です。「緊張して上手に話せないと言う人は、自分のことが客観的に見えていないことが原因。ぜひ一度録画して、ご自分を見てみてください。『意外と緊張せずに話せているな』と自覚できると、人前で話すのが怖くなくなります。」

②早口にならないように、言葉を句切りながら話す

自分は滑舌が悪いのだと気にしている方は案外多いものです。
「緊張すると普段より早口になってしまい、それが上手に話せなくなる原因になります。つまり滑舌ではなく、早口になることが問題。できるだけ落ち着いて、言葉を句切りながら話すことを心がけてください」

③「自己紹介・時事ネタ・自慢話」はやめる

聞き手が最も退屈しがちな話題が、「自己紹介・時事ネタ・自慢話」の3つです。
「これらを最初に延々と話すのは絶対にNG。『自己紹介』をするのは礼儀だと思っている方がいますが、よほどの有名人でないかぎり、聞き手は全く興味がありません。単刀直入に、相手が最も興味のあるテーマから話し始めるのがよいでしょう」

④低い声で話すことを心がける

男女を問わず、落ち着いた低い声で話すことは、相手を安心させ、その人の話に耳を傾けやすくなるのだそうです。
「特にオンラインでは高い声が金属音のように聞こえてしまい、相手にストレスを与えやすくなっています。女性の方もぜひ低い声を意識しましょう」

⑤「である調・ですます調・体言止め」を混在させて話す

プレゼン時は、たいていの人が「ですます調」で話そうと考えますが、単調になりがちです。
「そこで、あえて『ですます調・である調・体言止め』をミックスして話すことで、その人らしい独特の空気感を作り出すことができます。これはコードチェンジと呼ばれる方法で、メリハリのある言語表現をミックスさせることで、聞き手の心が動きやすくなり、説得力が高まります。ぜひ試してみてください」

お話を聞いた方

永井 千佳氏

トップ広報プレゼン・コンサルタント
ウォンツアンドバリュー株式会社 取締役

明治大学大学院 経営管理修士。桐朋学園大学音楽学部卒業。極度のあがり症のため、演奏家として舞台に立ち続けることに苦しみを感じていたが、あるとき緊張を生かし感動を伝えるための「コツ」を発見。その体験から得た学びと技術を著書『緊張して話せるのは才能である』(宣伝会議)で執筆。個性や才能を引き出す「トップ・プレゼン・コンサルティング」を開発し、経営者やマネジャーを中心に600人以上のプレゼン指導を行う。TV、新聞、ラジオなど各種メディアでも活動が取り上げられている。

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