経営者にいまおすすめの本6冊 「意思決定」編

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経営者や組織のリーダーの最も大切な役割は意思決定です。しかし、現代は膨大な情報があふれるばかりか、経営環境が目まぐるしく変化しており、重要な決定であればあるほど判断に迷うことも多いはずです。そんな中、経営者やリーダーは何を指針に意思決定をすべきなのでしょうか。そのヒントとなる6冊を紹介します。

『ビジネススクール  意思決定入門』

内田和成著 日経BP 1,870円

早稲田ビジネススクールにおける内田和成氏の講義「経営者の意思決定」をもとに編纂された1冊です。内田氏は、慶應義塾大学大学院経営管理研究科に学び、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)を経て、早稲田大学で教鞭を執りました。

本書はイントロダクションから始まる全4パートで構成され、この中で15のケースを取り上げています。いずれも問題解決のため経営者の意思決定が随所に求められ、それがQの形で提示されます。授業では参加者が議論しながら、時に内田氏が講義する形で解決策を導いていきます。

イントロダクションの議題は、2011年に起きた東日本大震災後の東京ディズニーリゾートランドの営業再開に関して。電力不足、福島原発、交通機関の復旧、プロ野球など他の興行の動向、休園による損失、キャッシュフロー、ステークホルダーの意思、世論など、営業再開に当たって必要となるそれぞれの要素を、いかに評価して判断するかを考えます。

パート1から4までの各章は、より内容を絞った題目を取り上げていきます。パート1「数値化の基礎」は東京オリンピック開催の半年前(2020年)、東京都江東区にある工場跡地の売却がテーマ。どの申し出に応じて売却すべきかを、それぞれの提示額と条件を分析して最も有利な答えを導き出します。

パート2「不確実性のマネジメント」では牛丼チェーン店の値下げ競争を例に、ライバル社のシナリオを推測して販売戦略を考える方法を紹介。パート3「『人間のクセ』を知る」では意思決定を左右する心理的要因、パート4「人を動かす意思決定」では提案を通す方法やリーダーの心得に関して学びます。

現実の問題は意思決定の際、客観的な正解を見つければ解決できるとは限りません。「意思決定者の考え方によって、さまざまな基準や尺度がある」と著者は語ります。そうした観点を前提に、ビジネスの意思決定に欠かせない手法や考え方を幅広く、わかりやすく教えています。

『トップの意思決定』

齊木由香著 イースト・プレス 2,200円

自分の生き方を決めるような重大な局面で、意思決定を支えるものは何か。そのヒントを探るべく、過去のノウハウや経験が通用しない難関を切り抜けてきた経営者に、和文化研究家の齊木由香氏が取材・執筆した1冊です。さまざまな業種のリーダーの、示唆に富む言葉が平易な文章でつづられています。

取材対象は日本ビジネス界を牽引する15人の経営者。「新たな領域を切り開き、発展を続ける開拓者」、「自ら事業を立ち上げ、大きく育てた創業者」、「伝統企業や名門企業で、さまざまな変革に取り組む経営者」という3つの基準で選びました。

「発展を続ける開拓者」で取り上げたのは、日本を代表するパイオニアの面々。コンビニエンスストア業態を米国から日本に導入し、小売業に変革をもたらした鈴木敏文氏(セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問、肩書は取材時のもの、以下同)、製紙会社でありながら医薬品やバイオまで事業の幅を広げる矢嶋進氏(王子ホールディングス代表取締役会長)、金融・証券業を中核に成長産業への投資事業や医薬品開発などを手掛ける北尾吉孝氏(SBIホールディングス代表取締社長)らにインタビューしています。

「自ら事業を立ち上げた創業者」では、似鳥昭雄氏(ニトリホールディングス代表取締役会長兼CEO)、宮内義彦氏(オリックス シニア・チェアマン)、住谷栄之資氏(KCJ GROUP代表取締役会長)ら著名ファウンダーを取材。「名門企業で変革に取り組む経営者」としては、黒川光博氏(虎屋代表取締役会長)、定保英弥氏(帝国ホテル取締役社長)、上原明氏(大正製薬ホールディングス代表取締役社長)ら、誰もが知る老舗企業のリーダーが登場します。

本書がユニークなのは、日本文化に精通する齊木氏が取材し、執筆している点でしょう。礼儀作法とは「礼儀=こころ」と「作法=かたち」から成り立ち、時代と共に変化するという持論を展開する著者が、15人の経営者の共通点・相違点を見いだしながら、意思決定の「拠り所」になるものを明らかにしようとしています。

『意思決定の精度と速度を上げる  思考の「ステップ」と「武器」』

桐原憲昭著 プレジデント社 1,870円

「意思決定に時間がかかりすぎる」、あるいは「意思決定しても、精度が低く失敗が多い」という悩みを解消するために書かれたビジネス実用本です。今回ご紹介する3冊の中では最も実践的なアプローチで「意思決定」に至るプロセスを解説しています。

著者の桐原憲昭氏は、電気通信大学大学院情報システム学研究科で学び、オーストラリアのボンド大学ビジネススクールでMBAを取得。その後、ヒューレット・パッカード、日本総合研究所、デルなどを経た後、15 年以上にわたって延べ1万5,000 人以上を指導してきた“思考技術のプロ”です。本書でも、さまざまなテーマを平易な言葉でロジカルに解説しています。

本書では意思決定に至る工程を5つのステップに分け、各ステップを1章ごとに解説しています。そのステップとは、①状況把握、②目的の明確化、③目標の設定、④案の作成と評価、⑤案のリスク予想と評価です。

正しくかつ速く意思決定する思考メソッドをわかりやすく教えるため、それぞれのステップの解説はケーススタディーを用いて、プロセスに沿って展開されます。その流れに基づいて作業を進めていくことで、役立つ情報の選び方やメンバーに決定内容を正確に伝える方法などが身に付き、結果的に意思決定までの時間短縮や費用削減が可能になります。本書のタイトルにもあるように、各5章の巻末にはビジネスパーソンが「武器」として使える著者オリジナルの「ワークシート」を掲載、各ステップで解説したメソッドをビジネスシーンで実践する際のポイントをまとめています。

最後の第6章では「ビジネスの応用」として、「品質トラブルの事態に、どのように対処するか?」「フィールドサービスセンターの代替先の選定を行う」という2つの例題が出され、実務に適用するための方法を解説します。

『決断の法則――人はどのようにして意思決定するのか?』

ゲーリー・クライン著 筑摩書房 1,870円

消防士、集中治療室の看護師、軍指揮官らは状況が急変する現場で、いかに決断をするのか。合理的選択を超えた「直観」や「経験則」に焦点を当てながら、認知心理学者である著者が画期的な研究をもとに意思決定のメカニズムをレポートする。

『スタンフォードで学んだ 最強の意思決定 メンバーの知恵を錬成する実践手法』

籠屋邦夫著 日本経済新聞出版 1,760円

スタンフォード大学で学んでマッキンゼーを経た著者が、さまつなことに難癖をつけて決定を遅らせる「真面目だが真剣ではない症候群」をはじめ、会社や組織に蔓延する“病”を防ぎ、メンバーの知恵を束ねて意思決定する「衆知錬成の意思決定手法」を紹介する。

『今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」』

佐藤耕紀著 同文館出版 1,760円

自衛隊の幹部は災害時や紛争地など過酷な状況下での判断を迫られる。著者は防衛大学校で20年にわたり教鞭を執った経営学者。プレッシャーのかかる場面でも的確な判断ができるように、意思決定のコンセプトやセオリーを身近な具体例を用いて解説する。

[編集]一般社団法人100年企業戦略研究所
[企画・制作協力]東洋経済新報社ブランドスタジオ

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