不動産投資するなら資産管理会社を作った方がいい5つの理由

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※百計オンラインの過去記事(2016/07/22公開)より転載

不動産による収入が一定額を超える場合は、管理会社を設立する方がいいと聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。その目的は主に節税対策とされていますが、どんな効果が実際に得られるのでしょうか?よくわからない人も多いでしょう。そもそも管理会社とは、オーナーの持つ不動産物件の保有や管理を行うもので、会社の設立には手間も費用もかかります。そのため、一般的には不動産収入が2,000万円程度になると節税効果が得られるとされています。そこで、収入2,000万円という事例でそのメリットを検証します。

管理会社設立のメリット5つ

1. 給与所得控除が適用できる
給与所得には控除があります。仮に給与収入が1,200万円超ならば230万円の給与所得控除(2016年)となり、給与所得は970万円に抑えられます。

2. 福利厚生の充実
福利厚生費は基本的に経費になるため、節税効果を得ながら福利厚生の拡充が可能となります。具体的には以下のような項目が経費勘定で利用できます。

● 小規企業共済
主に退職金を準備するための共済です。払い込み時に全額経費となるだけでなく、受け取り時も節税効果があります。分割受け取りならば公的年金として扱われ、一括受け取りならば退職所得控除が適用となります。

● 経営セーフティ共済(倒産防止共済)
無担保、無保証人で貸し付けが受けられます。通常の貸し付けの他、取引先が倒産した場合の貸し付けは必要度が高いので安心です。こちらも全額経費となります。

● 保険加入できる
役員や法人として保険に加入できます。掛け金は貯蓄性が高い場合、資産として扱われることもありますが、掛け捨て部分は原則経費です。また、途中解約はかえって損になる場合もあります。加入の目的をはっきりさせ、保険料が総額でいくらになるのか、払い続けることが出来るのかなどもしっかり見極めた上で、福利厚生・節税効果を得ることが理想的です。

これらは経費拡充による節税効果と、退職金の積み立てや保険の加入による事業リスクの担保としての効果も得られます。

3. 適用税率が下がる可能性
個人事業主の場合、税率は超過累進課税といい、所得が増えるほど税率が高くなる仕組みです。4,000万円超の場合、税率は45%にも上ります。一方、法人税の税率はほぼ一定となります。企業の規模や法人区分によって異なるが、中小企業ならば年800万円以下の収益に対しては19%、800万円超の部分に対しては23.4%と決まっています。

4. 法人特有のメリット
法人と個人事業主との違いは他にもあります。例えば青色申告の損失繰越金控除期間は個人事業主だと3年間ですが、法人の場合は9年間(平成29年4月1日以後に事業開始ならば10年)となります。

他にも離れた物件を所有している場合、旅費規程を作成し、旅費を出張費として節税することもできます。

5. 相続対策にもなる
管理会社設立により、相続対策としても活用できます。「2.」の福利厚生の充実で既述したように、小規模企業共済や中小企業倒産防止共済は、退職金として利用可能です。これを相続税の納税資金として活用することもできます。自分で積み立てをせずとも資金が用意できるのも魅力です。また、家族を管理会社の役員や株主にすれば資産分散にもなります。

会社設立の流れと注意点

これらの利点はありますが、会社の設立には手間も費用もかかります。主な流れをみてみましょう。
1. 名称、所在地、発起人など、基本事項の決定
2. 定款の作成と認証(公証役場)
3. 発起人による株式の引き受け、出資金の払い込み
4. 設立登記
5. 会社設立

費用面をみてみますと、定款に貼る収入印紙代や公証役場の手数料代など25万円程度が必要とされています。しかし、この初期投資だけではなく継続費用も発生するので注意が必要です。

法人の継続費用

法人には固定費というべき税金があります。我々は住民税という税金を払っていますが、法人にも「法人住民税」なるものが存在します。資本金1,000万円以下、従業員数50人以下の最小区分の場合、年7万円となります。これは赤字でも発生する費用となります。また、法人の納税手続きは個人事業よりも煩雑になるため、決算時には税理士を必要とすることもあるでしょう。そもそも節税が目的ならば、目的を確実に達成させるために設立前から専門家の助言を仰ぐことを推奨します。

管理会社の設立は節税効果が得られる一方、正確な設立手続きや決算の厳格化も求められます。しかし、それさえ乗り越えれば大きな節税効果が得られます。個人事業主のままでいるという選択も含め、管理会社設立を検討してみてはいかがでしょうか。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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