マレーシアやタイが人気?海外不動産投資、そのメリットとデメリット

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※百計オンラインの過去記事(2018/11/22公開)より転載

日本は、少子高齢化により人口減が確実となっています。総務省統計局の「住宅・土地統計調査結果」(平成25年版)によると、2013年の空き家数および空き家率は年々増加しており、13.5%に達しました。空き家問題は深刻で、2033年には空き家率が30.4%まで上昇するという推計もあります。こうした中、不動産のだぶつきが懸念される日本ではなく、経済成長・人口増加が著しい海外市場での不動産投資を加速する動きが出てきています。

海外不動産投資のメリット

海外不動産投資のメリットはなんといっても、成長率の高い国に投資ができることでしょう。日本の国内総生産(GDP)は1%台ですが、中国や東南アジアに目を向ければ、5~7%台という国はざらにあります。こうした国々は若年人口が多く、人口ボーナス期のメリットを享受しています。若い人が多ければ当然不動産需要も活発で世界から投資が集まります。

こうした国に投資することで、資産のポートフォリオを拡大できるのです。また、アジアの新興国では、不動産価格が日本に比べて手頃です。日本不動産研究所の調査(2018年4月現在)によると、東京の高級住宅価格を100とした場合、マレーシア・クアラルンプールは26.0、インドネシア・ジャカルタは20.1、タイ・バンコクが25.6と4~5分の1程度です。日系企業の進出が著しいベトナム・ホーチミンにいたっては、9.7という割安感があります。

海外不動産投資のデメリット1:不確実性

しかし、海外不動産投資にはデメリットも多くあります。1つは不確実性です。家賃収入というインカムゲインを目的とする日本国内の不動産投資とは異なり、多くの海外不動産投資は値上がりを見込んでのキャピタルゲインを目的とします。成長率の高いアジアの新興国には政治的、地政学的なリスクが付きまといます。例えば、軍政によるクーデターがたびたび引き起こされるタイは、「アジアの優等生」と呼ばれていました。

2018年に初めての政権交代を迎えたマレーシアや、2019年4月に総選挙が実施されるインドネシアなどもその例として挙げられるでしょう。特に近年、経済力を武器に中国人による海外不動産投資が活性化しており、多くの国が神経をとがらせています。例えば、マレーシアとシンガポールの国境で進められていた「フォレストシティー」というプロジェクトがあります。

中国不動産開発大手の碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)が主導する事業で、親中派とされたナジブ前首相のイニシアチブで推進されました。人工島4つを造成して、オフィスビルやホテル、高級住宅、インターナショナルスクール、会議場などを建設するという総工費1,000億ドルの巨大プロジェクトです。最終的には、居住者数70万人の一大都市を建設する計画となっています。

シンガポールまで目と鼻の先という立地もあり、購入者はシンガポール人も多いとされていますが、中国資本のデベロッパーだけに、大半は中国人です。中国本土から直行便を飛ばし、中国からのバイヤーを無料招待して不動産見学ツアーを行っているという評判もありました。

5月の政権交代で、13年ぶりに首相の座に返り咲いたマレーシアのマハティール首相は、このフォレストシティー事業をやり玉にあげ、「外国企業がマレーシアで、地元住民が到底購入できないような価格の外国人向け住宅を建設するのはおかしい」と発言。「同地区で不動産を購入した外国人には、長期滞在のためのビザを発給しない」とも述べました。

中国人不動産投資家の多くは、将来的な移民の可能性も考えて不動産を購入します。長期ビザが発給されないのであれば、不動産を買ってもうま味がないということで、巨大プロジェクトの先行きに暗雲が漂います。このように、新興国では政治変動に伴って政策が変更される可能性が高いです。また、リーマンショックから10年経ち、米中経済摩擦も解決の見通しが経たない中で、世界的なリセッションを警戒する声も出ています。いまは好調な新興国の経済も、世界金融危機の引き金が引かれれば崩れかねないのです。

海外不動産投資のデメリット2:現地の物件を見られない

また、海外不動産投資は現地の物件を見ずに購入するケースが多いのもリスクです。日本の不動産投資なら、現地調査や周辺の不動産会社への聞き込みを欠かさない人でも、海外投資となると勝手が違い、おざなりになってしまうケースもあります。もし海外投資をするなら「ハワイが好きだからハワイに物件を買ってみようか」くらいの意識で、よく知っているエリアに投資することがおすすめです。

また、海外ならではの商習慣の違いで物件価格を現金で一括決済したり、工事進捗ごとに払うプレビルド形式をとったりします。融資を受けて他人資本で投資ができる日本の不動産投資に比べて、効率的な投資ができているとはいいがたいです。このように、海外不動産投資も全てがバラ色ではありません。メリットだけでなくデメリットも冷静に考えて判断すべきでしょう。

著者

株式会社ボルテックス 100年企業戦略研究所

1社でも多くの100年企業を創出するために。
ボルテックスのシンクタンク『100年企業戦略研究所』は、長寿企業の事業継続性に関する調査・分析をはじめ、「東京」の強みやその将来性について独自の研究を続けています。

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