TOKYO街COLORS VORTのある街-神田編-

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東京駅と秋葉原の間にある神田エリア。利便性に優れたビジネス街として有名ですが、文教地区に、古書店街や楽器店街などの専門街も有する多様性に富んだ街です。江戸の頃からの歴史を礎に新たな開発も進む、活気ある街の息吹を体感してみましょう。

学生文化が育んだ日本屈指の専門街

北に神田川、南に日本橋川が流れる神田エリアは、街づくり400年の歴史が香る街です。江戸時代、幕府は江戸城の南側を埋め立てるために神田山を切り崩し、外堀として神田川を開削しました。「神田」の由来は、かつて伊勢神宮への奉納米を作る田んぼがあったからとか、外神田にある江戸総鎮守「神田明神」を創建した真神田氏の名にあるともいわれています。

神田川の南側に広がる神田駿河台には、江戸時代は武家屋敷が立ち並んでいましたが、明治に入ると学校が集まる文教地区へと変貌します。現在も「明治大学」や「日本大学」のキャンパスが点在。また、建築家ジョサイア・コンドルが設計に関わった「日本ハリストス正教会教団 東京復活大聖堂」(通称「ニコライ堂」)や、川端康成、三島由紀夫といった文豪が愛した「山の上ホテル」(ウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計)もあり、アカデミックな雰囲気に満ちています。2023年3月には「中央大学駿河台記念館」の建て替えが終わる予定で、地上20階地下1階建ての館内に入るロースクールやビジネススクールが開校すれば、街はさらに活気づくでしょう。

教育施設の集積にともない、周辺には学生のニーズに対応する専門街が生まれました。世界有数の古書店街として有名な神田神保町もその一つです。神田駿河台には都内最大級の「クロサワ楽器 お茶の水駅前店」をはじめとする楽器店が軒を連ね、神田小川町の靖国通り沿いには「石井スポーツ」や「ヴィクトリア」など数十軒のスポーツ用品店が立ち並びます。今では逸品を求め、学生のみならず国内外から買い物客が集まるエリアです。

神田小川町のスポーツ用品店街
神田小川町のスポーツ用品店街

都内各所にアクセス至便なビジネスタウン

鉄道は街の発展に追随するように整備されました。学生街の入り口となるJR御茶ノ水駅が1904(明治37)年に開業し、その後1919(大正8)年には同神田駅が開業しています。かつては御茶ノ水駅と神田駅の間に万世橋駅がありましたが、1943(昭和18)年に休止されました。2013年には、その遺構である赤レンガの万世橋高架橋を活用した商業施設「マーチエキュート神田万世橋」と、地上20階地下2階建ての「JR神田万世橋ビル」が開業したことで話題となりました。昭和に入ると、東京メトロの淡路町駅や新御茶ノ水駅、都営地下鉄の神保町駅や小川町駅などの地下鉄の駅が次々に誕生。どこからでも徒歩で複数の駅が利用でき、新宿や渋谷にもアクセスしやすい利便性の高い街が形成されています。

神田川沿いの御茶ノ水駅付近を行き交う電車
神田川沿いの御茶ノ水駅付近を行き交う電車
高架下に連なるマーチエキュート神田万世橋(旧万世橋駅)
高架下に連なるマーチエキュート神田万世橋(旧万世橋駅)

御茶ノ水駅周辺が学生街であるのに対し、東京駅と秋葉原駅の間にある神田駅周辺は、多くのビジネスマンが行き交うオフィス街へと発展しました。大塚ホールディングスの「大塚製薬」や「アース製薬」、「日清製粉グループ本社」、「昭和産業」などの大手から中小まで、幅広い企業が社屋を構えています。

この界隈には江戸時代、江戸城建設のために移住してきた職人が暮らしていました。神田駅がある神田鍛冶町は鋳物師が、神田紺屋町は藍染めを手がける染物師が住んでいたことが、その名の由来だといわれています。やがて青物市場などもつくられて、職人と商人の街として繫栄。こうした歴史が礎となり、街にはビジネスマンのお腹を満たすリーズナブルな飲食店が点在しています。

老舗が多いのも特徴です。現存する東京最古の寿司店と名高い「笹巻けぬきすし総本店」は1702(元禄15)年の創業。殺菌効果のある笹に包まれた酸味の強い寿司は往時をしのぶ味です。同様に東京最古という居酒屋「みますや」は1905(明治38)年創業で、ランチも人気の名店。また、神田須田町は戦火を免れた建物に蕎麦屋や甘味処がのれんを掲げ、ノスタルジックな雰囲気に包まれています。

オフィスと住居が共栄する街づくりを

多様な文化が育まれる一方で、神田エリアを含む千代田区はバブル期の地価高騰と業務地化によって人口が減少しました。そこで千代田区では都市再生計画に着手。2013年に神田淡路町に誕生した「ワテラス」もその一つで、地上41階地下3階建てと地上15階地下2階建ての2つのビルを中心とした施設には、住宅やオフィス、店舗が設けられています。また、神田小川町3丁目西部南地区で地上22階建ての住宅を有する複合ビルの建設が決定。神田駅西口地区(内神田2、3丁目)や神田美土代町周辺地区でも住宅とオフィス、商業施設が共存する複合市街地の再開発計画が進められています。

オフィスビルを中心とした再開発も活発です。ワテラスに隣接して2013年に開業した「御茶ノ水ソラシティ」は、新御茶ノ水駅に直結。地上23階地下2階建てのビルにはオフィス、商業施設のほか、「デジタルハリウッド大学」のキャンパスが入っています。神田錦町で2015年に開業したのは「テラススクエア」。オフィスと飲食店が入る地上17階地下2階の複合ビルで、旭化成のグループ会社などが入居しています。屋上農園でワイン用のブドウが栽培されていることも話題です。また、2020年に同じく神田錦町に竣工した地上21階地下1階の「神田スクエア」は、町名から連想される錦織をテーマにした外観が特徴。任天堂のグループ会社やゲームフリークがオフィスを構えています。

現在、建設が進んでいるのは日本橋川沿いの「(仮称)内神田一丁目計画」です。2025年に地上26階地下3階のビルが竣工予定で、敷地内から日本橋川に人道橋を架けることで、対岸の大手町エリアとのネットワーク強化になると期待されています。さらに、神田錦町3丁目南部東地区や外神田1丁目南部地区でも再開発計画が進行中です。

歴史を大切にしながら新しいものを取り入れていくことで、神田の街の文化はより成熟していくでしょう。

[編集]株式会社ボルテックス ブランドマネジメント課
[制作協力]株式会社東洋経済新報社

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