TOKYO街COLORS-浅草橋問屋街編- VORTのある街

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秋葉原の東に広がる浅草橋は、古くから人形や文具、玩具の問屋街として知られるエリア。一方で大手企業の社屋が入る大型複合施設が開業間近で話題を集めています。東京駅や日本橋へアクセス至便ながらも下町の風情が漂う街は、つねに活気に満ちています。

浅草橋は街道が通り川が合流する、江戸の頃から交通の要衝

日本橋を起点に北へと延びる奥州街道(江戸通り、国道6号線)。その道筋で神田川に架かる「浅草橋」が、橋の北側に広がる浅草橋エリアの名の由来です。浅草橋が初めて架けられたのは江戸時代初期の寛永13(1636)年のこと。その名は同時期に橋のたもとに建てられた浅草御門にちなみます。

町名・地域名の由来になった「浅草橋」の欄干

江戸幕府は江戸城の警護のために、主要交通路の要地に「見附(みつけ)」と呼ばれる門を築きました。浅草御門もその一つで、街道の先に浅草寺があることからそう名づけられたようです。こうした歴史に基づき、昭和9(1934)年に神田川の北側が整備された際に町としての浅草橋が誕生。現在、御門はありませんが、橋のそばに「浅草見附跡」の石碑が立っています。

江戸時代は舟運(しゅううん)が物資輸送の根幹でした。そのため、神田川と隅田川の合流地点にあたる浅草橋エリアは交通の要衝として繁栄しました。合流地点のちょうど北側で、神田川に架かる「柳橋」の北に位置する地域にはかつて花街があり、幕末の頃には大いににぎわったようです。特に舟遊びが盛んで、神田川の川面に浮かぶ屋形船が往時の風情を今に伝えています。

現在も交通の利便性は高く、「浅草橋駅」にはJR総武線と都営地下鉄浅草線の2路線が乗り入れ。東京駅までは途中乗り換えで10分ほどとアクセスがよく、羽田空港・成田空港には浅草線と京浜急行電鉄・京成電鉄との相互直通運転を利用すれば乗り換えなしで行くことができます。また、半径1キロ以内に秋葉原駅や両国駅、蔵前駅、馬喰町駅、馬喰横山駅、東日本橋駅などがあり、目的地に応じた路線の使い分けも可能です。

ちなみに浅草御門の由来となった浅草寺のある浅草は浅草線で2駅、約1.5キロ離れています。間違えて電車を降りてしまう人も多いようで、浅草橋駅には注意書きが貼られています。

創業100年超の老舗も多い日本有数の問屋街

浅草橋駅から外に出ると、奥州街道沿いには人形や文具、玩具の店が軒を連ねています。この街が日本有数の問屋街として発展し始めたのも江戸の頃。雛祭りが庶民の間で盛んになった江戸中期、市中各所に雛市が立つようになりました。浅草橋(当時は浅草茅町)の雛市は特に有名で、街道沿いには次第に人形や玩具を扱う問屋が増えていったといいます。

今ものれんを掲げる正徳元(1711)年創業の「吉德」は東京最古の人形専門店です。ほかにも天保6(1835)年創業の「久月」や、明治44(1911)年創業の「五色」といった人形の老舗が浅草橋駅周辺に点在。一方、享保9(1724)年創業の「増田屋コーポレーション」など玩具のメーカーや問屋は蔵前駅周辺に集中しています。

文具の専門商社として名高いのは上場企業の「シモジマ」です。大正9(1920)年の創業で浅草橋5丁目に本社を置き、街道沿いの浅草橋本店には国内外の文具好きが足を運びます。同じく浅草橋5丁目にある「ツバメノート」は黒澤明監督も愛用した大学ノートを製造販売する紙製品メーカー。また、柳橋1丁目の「日本文具資料館」ではさまざまな年代の文具を展示しています。

この問屋街に近年増えているのが手芸用品店です。最も規模が大きいのはアクセサリーパーツの専門店「貴和製作所」で、街道沿いに浅草橋本店と支店、クリスタル館の3店舗を展開。ほかにもリボンや手作り手芸キットの専門店が点在し、ものづくりに携わる人も多く訪れています。

ショッピングの後はグルメも楽しみたいところ。歴史ある街には老舗がつきもので、石臼挽きの十割そばが香り高い「江戸蕎麦手打處 あさだ」は安政元(1854)年の創業。ひと皿にカレーライス、ハヤシライス、オムライスが盛られた三色ライスが名物の「洋食 一新亭」も明治39(1906)年から愛され続ける名店です。また、明治30(1897)年に果物店として開業した町中華「(みず)(しん)菜館」は、2018年に5代目が中華料理とワインのペアリングを楽しめるワインバー「水新はなれ (ホン)」をオープン。斬新な切り口で客層を広げています。

おかずを調達するなら文久2(1862)年創業の佃煮専門店「鮒佐」へ。塩煮だった佃煮にしょうゆを使ったのはこの店が始まりだとか。また、浅草橋エリアの鎮守「鳥越(とりごえ)神社」の西側にある「おかず横丁(鳥越本通り商盛会)」は戦前の建物も残るレトロな街並みで、創業100年を超える鮮魚店や茶葉販売店が点在しています。

エリア北側に鎮座する「鳥越神社」、その西側にあるレトロな雰囲気の「おかず横丁」

この春には大手企業が入る大型複合施設が完成

古きよき時代の風情の中に新たな文化が芽生えているのも浅草橋の魅力。近年の再開発事業においては2013年、浅草橋1丁目の中学校跡地に「浅草橋ヒューリックホール&カンファレンス」が竣工しました。建築家・隈研吾氏のデザインコンセプトを基に設計された複合ビルで、オフィスのほかに多目的ホールや貸会議室を備え、多くのイベントが催されています。

以降しばらく大規模な事業はありませんでしたが、最近再び活発化。2023年3月には蔵前1丁目の開発街区にオフィス棟、物流棟、住宅棟からなる大型複合施設「蔵前JPテラス」が全面開業します。オフィス棟には大手生活用品メーカー「ライオン」の本社が入り、物流棟は「日本郵便」が運営。地上23階建ての住宅棟には賃貸住宅や高齢者住宅、保育所などが入ります。物流棟の屋上に広がる庭園や貸し菜園は住民の憩いの場。すでに郵便局が開業しており、ほかの施設も順次開設される予定です。

また、柳橋2丁目では「(仮称)東商センタービルマンション建替え事業」を立ち上げ。2026年10月の完成をメドに、地上34階地下1階建てのタワーマンションの建設計画が進行中です。ビジネスにショッピング、食事と多くの人が行き交う街のにぎわいはこのエリアに立ち並ぶVORTにも伝わってきます。

[編集]株式会社ボルテックス ブランドマネジメント課
[制作協力]株式会社東洋経済新報社

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