経営者がいま読むべき6冊 「ビジネス思考術」編

「経営者がいま読むべき6冊 「ビジネス思考術」編」のアイキャッチ画像

目次

物事を論理的に考え実行する力は、ビジネスマンに欠かせないスキルの一つです。これまでの経験から、自分なりの手法やノウハウを確立している人も多いでしょう。しかし、世界経済の転換や技術革新など、企業を取り巻く環境が大きく変化する今こそ、ビジネス思考の「基本」に立ち返ることで新しい発想が得られるはずです。そうしたヒントを探るため、人気の名著からロジカルシンキングを日本に普及させた入門書まで、厳選6冊をご紹介します。

①『イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」』

安宅和人著 英治出版 1,980円(税込)

イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」の書影

物事の本質を見極め、生産性を向上させる思考力

長時間働いて大量の業務をこなしているのに、思うような成果が出ない――そんな経験はありませんか。その場合、そもそも取り組むべき“仕事”の設定を見直す必要があるかもしれません。

本書の筆者である安宅和人氏は、外資系コンサルティング会社・マッキンゼーで経営コンサルタントとして勤務した後、イェール大学で脳神経科学を研究。その幅広い経験を通して、ビジネス分野でもサイエンスの世界でも「圧倒的に生産性が高い人」には共通の手法があることに気がつきました。その鍵となるのが、タイトルにある「イシューからはじめる」という考え方です。

企業経営はもちろん、ビジネスの場面ではさまざまな問題にぶつかります。多くの人はその問題をまず「解決すべき」と考えますが、安宅氏は「人が『問題だ』と思っていることのほとんどは、実はその局面で本当に解決するべき問題ではない」と断言。本書において、この「今、本当に解決するべき問題」のことを「イシュー」と呼び、限られた時間の中で仕事や研究の成果を出すには、取り組む前にまず正しくイシューを設定すべきだと主張します。一方で、イシューを見極めないままやみくもに働くことを筆者は非効率な「犬の道」と呼び、そこに踏み込んではならないと説きます。

では、どのようにイシューを見極めたらよいのでしょうか。まず第1章「イシュードリブン」で著者は“よいイシュー”の条件を、1.本質的な選択肢であり、そこから先の方向性に大きな影響を与えること、 2.深い仮説があること、3.明確な答えが出せること、と定義。イシュー特定までの道筋として、たとえば自分よりその分野に詳しい人に相談する、「So What(だから何)?」を繰り返す、欲しい結果から考える、などのアプローチ方法やコツも紹介します。

こうしてイシューを設定した後は、その解の質を高め、生産性を向上させる作業の進め方を第2章・第3章「仮説ドリブン①・②」で説明。さらに第4章「アウトプットドリブン」で分析・検証方法を、そして最終章「メッセージドリブン」でプレゼンテーションや報告書など、人に伝える形でまとめるための具体的な手法へと展開していきます。 各章であげられる事例やコラムには、著者のビジネスの知見だけでなく研究分野である脳神経科学に基づいた根拠も提示され、納得感の高い内容になっています。

②『ロジカル・シンキング――論理的な思考と構成のスキル』

照屋華子、岡田恵子著 東洋経済新報社 2,420円(税込)

ロジカル・シンキング――論理的な思考と構成のスキルの書影

ロジカルシンキングの入門書として知られる、思考力を養う名著

コミュニケーションの方法が多様化している現代において、論理的にメッセージを伝えるロジカルシンキングの技術がこれまで以上に求められています。

本書は、体系立ったシンプルで実践的なロジカルコミュニケーション技術の会得を目的に執筆されました。ここでいうロジカルコミュニケーションとは、主にビジネスの場面において、論理的なメッセージを伝えることで相手を説得し、自分の希望する反応を引き出すこと。取引先や顧客への提案、社内での報告や会議など、さまざまな場面でこのスキルが必要になります。著者はこのコミュニケーション手法はあくまで「技術」であるとし、センスや才能の有無は関係なく、訓練すれば誰でも必ず「論理的な伝え手」になれると言い切ります。

本書は大きく3部で構成されており、第1部ではまずコミュニケーションの前に必要な、相手に伝えたいテーマの確認と落とし穴について解説します。たとえば、プレゼンテーションの内容が気づかないうちに重複していたり、脈絡のない話になったりした経験はないでしょうか。そういった無秩序な思考を論理的に整理する技術として、第2部では情報やデータを「論理を作るための部品」として整理する方法を紹介。そしてそれが、ロジカルシンキングの基本概念である、話の重複や漏れ、ずれをなくすための「MECE(ミッシー)」と、話の飛びをなくす技術の「So What?/Why So?」の2つの手法です。そして第3部では、整理された「部品」を論理として組み立て、構成するための技術とノウハウについて言及。ビジネスの現場で役立つ2つの論理パターン「並列型」「解説型」を説明します。

2001年の発売以来、「ロジカルシンキングの入門書」として長く読み続けられている本書。マッキンゼーでコミュニケーションのスペシャリストとして勤務し、顧客やコンサルタントなどへ研修を行ってきた著者の経験を基に、各章には実践に則したトレーニング問題やFAQも収載されています。技術の習得は練習あるのみです。本書の例題を解き、さらに日常生活やビジネスの場で実際に使って訓練を積むことで、ロジカルシンキングを活かしたコミュニケーションスキルが身についていきます。

③『世界一やさしい問題解決の授業』

渡辺健介著 ダイヤモンド社 1,320円(税込)

世界一やさしい問題解決の授業の書影

わかりやすい事例やイラストで問題解決の思考法がすぐに身につく

本書は問題解決やロジカルシンキングの基本となる考え方やツールを、親しみやすい文章とカラフルなイラストを交えて、タイトル通り「やさしく」解説しています。

著者はイェール大学やマッキンゼー、ハーバード・ビジネススクールなどを経て、人材育成事業を行う渡辺健介氏。「主体的に考えて行動する人材を育成するために、早期から問題解決能力の教育を行う必要性がある」という考えの下で執筆された本書は、読者層を中高生に想定し、3つの授業に見立てて構成されています。中高生に降りかかる問題を例に取ったストーリー形式で進みますが、紹介される思考方法やツールは、専門的な用語こそ使われていないものの、実際にビジネスの現場で採用されているもの。初めてロジカルシンキングの思考法に触れる人にとっても、理解しやすい内容になっています。

導入パートである1限目では、問題解決能力の重要性と、問題解決の基本的な流れを解説。問題解決能力とは、現状を正確に理解して問題の原因を見極め、効果的な打ち手を考えて実行する力のこと。そのスキルが身につけば、日常生活で直面するあらゆる問題を自分で解決できるようになり、その結果、最短距離で夢や目標にたどり着くことができると著者は語りかけます。

2限目には、具体的な事例に対して、問題解決の手法でどう解決できるかを紹介します。たとえば、中学生バンドが自分たちのコンサートへ集客するにはどうしたらいいかというお題があったとします。バンドのメンバーはまず、コンサートへ訪れる観客が少ない原因を洗い出すため、観客となりうる潜在的顧客を「分解の木」というツールを用いてタイプ別に分けました。さらに、その潜在的顧客がコンサートに来ない理由を「はい、いいえの木」を基に深掘りして、仮説を立てていきます。そして、仮説が正しいかを確かめるために「課題分析シート」で整理しながら情報収集し、検証。この結果をふまえて、打ち手となる効果的なアイデアを出し合い、具体的な実行プランに落とし込んでいきます。

3限目もわかりやすい事例に沿って展開。映画監督を夢見る中学生が、パソコンを手に入れるまでのストーリーを軸に、足りない予算を工面するための具体的な目標設定、および達成までの道筋を考え出していきます。 このような問題解決の思考法は、「知っている」と「使いこなせる」の間には大きなギャップがあります。そのため、まずは日常生活の中で問題解決の手法で考える“癖”をつけてほしい、と著者は締めくくります。

④『ビジュアル ビジネス・フレームワーク[第2版]』

堀公俊著 日本経済新聞出版 1,320円(税込)

ビジュアル ビジネス・フレームワーク[第2版]の書影

思考の枠組み”を意味するフレームワークは、ビジネス思考力に欠かせない要素。本書では、アイデア出しや意思決定、資料作成など、あらゆる場面で実際に役に立つビジネス・フレームワークをフルカラーで約200種類紹介する。

⑤『デザイン思考が世界を変える[アップデート版]: イノベーションを導く新しい考え方』

ティム・ブラウン著 千葉敏生訳 早川書房 2,200円(税込)

デザイン思考が世界を変える[アップデート版]: イノベーションを導く新しい考え方の書影

ビジネス思考力の一つである「デザイン思考」。製品開発や問題解決において、“人”を中心にニーズを掘り起こす創造的なアプローチが特徴だ。その必要性や方法論を、具体例を交えて説明。初版(原書)は2009年で、2019年に最新事例を盛り込み刷新されたロングセラー。

⑥『仮説思考――BCG流 問題発見・解決の発想法』

内田和成著 東洋経済新報社 1,760円(税込)

仮説思考――BCG流 問題発見・解決の発想法の書影

世界をリードする経営戦略コンサルティングファームが実践している「仮説思考」を徹底解説。情報収集の段階から仮の全体像や結論を考えることで、仕事のスピードと質が圧倒的に上がるコンサルの思考法。

[編集] 一般社団法人100年企業戦略研究所
[企画・制作協力]東洋経済新報社ブランドスタジオ

経営戦略から不動産マーケット展望まで 各分野の第一人者を招いたセミナーを開催中!

ボルテックス グループサイト

ボルテックス
東京オフィス検索
駐マップ
Vターンシップ
VRサポート
ボルテックス投資顧問
ボルテックスデジタル

登録料・年会費無料!経営に役立つ情報を配信
100年企業戦略
メンバーズ