ビッグデータでみる都市・不動産市場の未来
11-1. ビッグデータとは?

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目次

都市・不動産市場の中で起こっていること、いずれ起こるであろう未来を「ビッグデータ」から大胆に予測しようと思います。最初に「ビッグデータとは?」と題して解説します。

10年ほど前から「データ駆動型社会」という言葉が言われています。私が現在勤務している一橋大学のソーシャル・データサインス学部は、このデータ駆動型社会を育成または構築していくにあたって、その社会を支える人材を育てることを大きな目標にしています。

注)日本では、2015年の第5期科学技術基本計画で、我が国が目指す未来「Society5.0」が打ち出され、その中に「データ駆動型社会」の実現が盛り込まれた。

データとは「新しい石油」であるということが「データ駆動型社会」の中で言われており、データが最も重要な資源になります。このデータは「私的な資源」であり、公共財ではないところがポイントです。

Googleのチーフエコノミストであるハル・バリアン氏は、米カリフォルニア大学バークレー校の元教授です。彼がコカ・コーラCEOに対して送った有名な言葉があります。

「10億時間前、現代のホモ・サピエンスが登場した。10億分前、キリスト教が誕生した。10億秒前、IBMのパソコンが発売された。Googleの検索は、朝から10億回行われている」

人類が成長する過程で、我々はさまざまな学習をしてきました。時間単位で考えると10億時間かけて学習してきたことが、ホモ・サピエンスの登場から現在の人間に至るまでの知的な進化をもたらしました。

これを分単位に切り替えると、キリスト教が誕生した時から2000年以上が過ぎたことになりますが、10億分かけて我々は学習を行い、文明を発達させてきました。

さらに秒単位に切り替えると10億秒前に初めてIBMのパソコンが発売され、それらを使って我々は学習してきました。そしてGoogleの検索がわずか1日で10億回行われているのなら、この1つ1つの学習によって知能が成長していくことになります。

データとは、知的な生産を行うため、また知識を蓄積していくための重要な資源となります。さらに、データは、見えなかった社会を描写する力を強くしていきます。データという新しい資源を発掘し、付加価値を生産し、社会がどのように成長していくのか。それを実現するには、成長戦略の策定が重要です。

ビッグデータに求められる8つの「V」

かつて「情報はタダ」と言われてきましたが、データ資源は「タダ」ではありません。それによって、非常に膨大な量の情報が蓄積されるようになり、これを我々は「ビッグデータ」と呼ぶようになりました。では、資源としての「ビッグデータ」には、どのような要件が必要なのでしょうか。

「ビッグデータ」の要件として、2001年に米国ガートナー社の副社長兼アナリストであったダグラス・レイニーが提唱した「レイニーの定義」がよく使われてきました。3つの「V」、すなわちデータの量が非常に大きいことを指す「ボリューム(Volume)」、即時性を指す「ベロシティ(Velocity)」、多様性を指す「バラエティ(Variety)」という要件を満たしたものを「ビッグデータ」と呼んできました。

最近では、8つの「V」に成長しており、ビジュアルを兼ね備えていることを指す「ビジュアライゼーション(Visualization)」や、「正確性が高い」という尺度の「ベラシティ(Veracity)」などを含めて「ビッグデータ」と考えられています。

注)8つの「V」:Value(価値)、Virality(拡散性)、Viscosity(粘度)、Visualization(視覚化)、Veracity(正確性)、Volume(データ量)、Velocity(即時性)、Variety(多様性)

「データ駆動型社会」の育成は、データに依存します。AIは基本的に予測や分類することに長けていますが、データがあって初めて実現できます。データを扱う学問には古くから統計学がありますが、「Garbage in, Garbage out, ゴミからはゴミしか生まれない」という有名な言葉があります。

上質なデータを手に入れることによって、予測の精度が高まります。そのためにも、資源となる良質なデータをどのように手に入れていくのか。データは予測の主な補完財であり、予測のコストが下がるほど、データの価値が高まっていくことになります。

我々はデータをいかに発掘し、データをいかに生産していくのか。貴重なデータは、発掘しなければ得られません。発掘できないデータは、生産をするしかありません。このようなデータをどのように生成していくのかが重要です。

スピーカー

清水 千弘

一橋大学教授・麗澤大学国際総合研究機構副機構長

1967年岐阜県大垣市生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科博士後期課程中退、東京大学大学院新領域創成科学研究科博士(環境学)。麗澤大学教授、日本大学教授、東京大学特任教授を経て現職。また、財団法人日本不動産研究所研究員、株式会社リクルート住宅総合研究所主任研究員、キャノングローバル戦略研究所主席研究員、金融庁金融研究センター特別研究官などの研究機関にも従事。専門は指数理論、ビッグデータ解析、不動産経済学。主な著書に『不動産市場分析』(単著)、『市場分析のための統計学入門』(単著)、『不動産市場の計量経済分析』(共著)、『不動産テック』(編著)、『Property Price Index』(共著)など。 マサチューセッツ工科大学不動産研究センター研究員、総務省統計委員会臨時委員を務める。米国不動産カウンセラー協会メンバー。

【コラム制作協力】有限会社エフプランニング 取締役 千葉利宏

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